はじめに

コベルコシステムについて「製造業向けのSAP導入に強い会社」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

実際、当社は長年にわたり製造業のお客様を中心に、SAP導入や業務改革をご支援してきました。その実績と経験は、私たちの大きな強みの一つです。

一方で、意外に知られていないかもしれませんが、当社はエンジニアリング・工事業のお客様に対しても、数多くのSAP導入プロジェクトを手掛けてきました。さらに、その経験とノウハウを体系化したテンプレートとして「HI-KORT for Eng.」もご提供しています。

今回は、製造業だけではない、コベルコシステムのもう一つの強みについてご紹介します。

プロジェクトで利益を生み出す業界ならではの難しさ

製造業とエンジニアリング・工事業は、一見すると似ているようにも見えます。

どちらも受注・設計・調達・製造(施工)といったプロセスを持ち、多くのステークホルダーが関わります。しかし、経営の視点で見ると大きな違いがあります。

製造業では、製品を繰り返し生産していく中で、その効率や原価を改善していくことが基本命題です。それに対し、エンジニアリング・工事業は案件ごとに内容が異なる「プロジェクト型ビジネス」が前提にあります。

例えば、プラント建設や設備工事、大規模インフラ案件などでは、一つのプロジェクトが数年に渡ることも珍しくありません。案件ごとに仕様も異なり、調達先や施工条件も変化します。

そのため、経営層が知りたいのは「今月の売上や利益はいくらか」だけではありません。

  • ・この案件は予定通り利益が確保できるのか
  • ・コスト超過の兆候はないか
  • ・将来的な損失リスクはどこにあるのか

こうした問いに対して、リアルタイムに答えられるかが重要になります。

しかし実際には、販売システム、プロジェクト管理システム、購買システム、会計システム、さらにはExcelなどにデータや情報が分散しており、案件の状況を横断的に把握するのが難しいケースも少なくありません。

気づいた時には利益が圧迫されていた。あるいは、完工して初めて採算悪化が明らかになった。このような課題は、多くの同業企業が抱えているのではないでしょうか。

エンジニアリング・工事業におけるSAP ERPの役割

こうした課題に対して、大きな力を発揮するのがSAP ERPです。

SAP ERPというと会計システムのイメージを持たれがちですが、その本質は企業全体の業務情報を統合し、経営判断に必要なデータをリアルタイムで提供することにあります。

特にエンジニアリング・工事業では、受注から設計、調達、施工、検収、売上、入金回収までの一連のプロセスの、一貫した管理が求められます。

販売管理、プロジェクト管理、購買管理、原価管理、会計管理がそれぞれ独立している状態では、全体最適は実現できません。

SAP ERPはこうした情報を統合し、案件ごとの損益状況や進捗状況の見える化を可能とします。

経営層はリアルタイムに採算状況を把握でき、現場は正確なデータに基づいて意思決定できるようになります。

つまり、SAP ERP導入の目的は単なるシステム刷新ではありません。経営の見える化であり、プロジェクト型ビジネスの競争力向上そのものなのです。

なぜコベルコシステムがエンジニアリング・工事業をご支援できるのか

SAP導入において重要なのは、システムやパッケージの知識・技術だけではありません。その業界特有の業務・実務の理解が欠かせません。

エンジニアリング・工事業には、案件別採算管理、工事進捗・状況に応じた収益認識、複雑な購買プロセス、多数の協力会社との連携、資機材管理など、独特の業務要件があります。

私たちはIBM社との協業を含め、多くのSAP導入プロジェクトに携わる中で、こうした業界特有のノウハウを蓄積してきました。

そしてもう一つの強みは、製造業で培った経験です。原価管理、調達管理、工程管理などの領域は、製造業とエンジニアリング・工事業に共通する部分も少なくありません。製造業で磨いてきた業務改革の知見と、エンジニアリング・工事業で培ったプロジェクト管理の知見。その両方を持ち合わせていることが、コベルコシステムならではの特長だと考えます。

ノウハウを形にした「HI-KORT for Eng.」

こうした経験をプロジェクトごとに属人的に活用するのではなく、業界向けの資産として体系化したものが「HI-KORT for Eng.」テンプレートです。

SAP導入においては、システムの機能面もさることながら”どのような業務プロセスを採用するか”が成否を左右します。

ゼロから業務設計を行う場合、多くの時間とコストを要します。また、検討の方向性を誤れば、プロジェクトそのものが大きなリスクを抱えることにもなります。

HI-KORT for Eng.には、これまでの導入経験から得られた知見やベストプラクティスが盛り込まれています。お客様は実績に裏付けられた業務モデルを活用しながら、より効率的かつ確実にSAP導入を進められます。

なお、最新の取り組みとしては、従来のオンプレミス版やプライベートクラウド版だけでなく、パブリッククラウド版も整備予定です(=「HI-KORT C for Eng.」)。ぜひご期待ください。

これからのエンジニアリング・工事業に求められるもの

昨今、エンジニアリング・工事業を取り巻く環境は大きく変化しています。

人材不足や技術継承の課題に加え、案件の大型化や複雑化も進んでいます。さらに資材価格や外注費の変動も大きくなり、これまで以上に精緻な採算管理が求められる時代になりました。

こうした環境の中で競争力を維持するためには、経験や勘だけに頼るのではなく、データに基づいた経営判断が不可欠です。

SAP ERPは単なる基幹システムではありません。プロジェクト状況を見える化し、迅速な意思決定を支える経営基盤です。そしてその基盤構築の成否が、今後のビジネスを左右すると言っても過言ではありません。

おわりに

コベルコシステムは、「製造業に強いSAPパートナー」としてご評価いただくことが多くあります。その評価は、私たちにとって大変ありがたいものです。

しかし実は、私たちにはもう一つの顔があります。それが、エンジニアリング・工事業におけるSAP導入と業務改革をご支援してきた経験です。

もし、プロジェクト採算の見える化やERP刷新、SAP S/4HANAへの移行をご検討されているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。

製造業だけでなく、エンジニアリング・工事業で培った知見を十分に活かしながら、お客様の変革をご支援してまいります。