業務効率化の波とともに、SaaS(Software as a Service)はあらゆるビジネスシーンに浸透しました。営業支援、経理、人事、マーケティング、自社のあらゆる業務領域で、複数のSaaSを組み合わせて活用する「ベスト・オブ・ブリード」の時代。
その一方で、「SaaS選定の方法」は意外なほどアップデートされていないのが現実です。

昔ながらの「機能比較表」や「価格の一覧表」だけを使ってSaaSを選ぼうとしていませんか?

それは、変化の早いSaaSというプロダクトを“静止画”で比較しようとするようなものです。

比較した時点で情報は古くなる

SaaSは、インストール型ソフトと決定的に異なります。それは、「常に進化し続ける」という前提です。オンプレミス製品では「このバージョンにこの機能がある」と言えましたが、SaaSでは昨日まで存在しなかった機能が、今週のアップデートで使えるようになることは当たり前です。

つまり、比較表を作った瞬間から、その情報の鮮度は落ち始めているのです。

よくあるのが「A社はこの機能がないから却下」という判断。しかし、実際にはA社が来月のアップデートでその機能を搭載予定だった、というケースも珍しくありません。SaaSの“現在の姿”だけを切り取って比較するのは、将来性を見誤る原因になります。

「価格」だけで選ぶと、あとで高くつく

もう一つの落とし穴が、価格比較だけで選んでしまうこと。特に初期段階では、「安いから」という理由でプロダクトを選びがちですが、これも大きなリスクです。

なぜなら、SaaSの価値は、単純な価格以上に「組織にどれだけフィットするか」によって決まるからです。

サポートの質、導入支援の有無、セキュリティ基準、他システムとの連携のしやすさ、社内展開のスピード。これらはすべて、初期費用や月額料金には表れにくい“隠れたコスト”です。価格が安くても、運用が複雑で現場に浸透せず、結局使われなくなるようでは本末転倒です。

むしろ、自社の業務フローや組織文化との相性を重視するほうが、結果としてROIは高くなります。

SaaS選定の3つの新基準

SaaS選定において、今後は以下のような視点がより重要になります:

  • 1.プロダクトの進化速度と方向性
    →リリースノートやロードマップの確認、開発チームの姿勢
  • SCM(サプライチェーン管理):発注、需給調整、供給遅延対応
  • PLM(製品ライフサイクル管理):図面管理、設計変更、承認フロー
  • EHS(環境・衛生・安全管理):事故報告、点検結果の記録

これらのシステムは専門性が高く、UIも決して使いやすいとは言えません。現場では**「とりあえず紙で回す」文化**が根強く残っているのも実情です。
しかし、こうしたシステムにもDAPを導入すれば、

  • 作業者がシステムを迷わず使えるようになる
  • 教育コストや立ち上がり期間を大幅に短縮できる
  • 運用ルールの逸脱(例:未入力・誤入力)を抑制できる
  • 監査や品質トレースにも耐えうる運用が定着する

といった効果が期待できます。

DAPは「現場知」と「IT」の橋渡し役

製造業のDXにおいて、課題となるのは**“システムと現場のギャップ”**です。ERPや周辺システムの導入が進んでも、現場で「うまく使われない」ことが多く、結局エクセルや紙に逆戻り…というケースも少なくありません。
DAPはそのギャップを埋め、ITシステムを「使えるもの」へと変えていく仕組みです。特に、多拠点・多言語・多世代にまたがる製造業では、その効果は計り知れません。

最後に──製造業のデジタル化を“定着”させる鍵

製造業のDXは、「導入」だけでは成功しません。「現場に根づいて初めて価値を生む」のです。
その意味で、DAPは単なる補助ツールではなく、**現場力とITをつなぐ“不可欠な要素”**となっていくでしょう。
ERPの成功も、MESの活用も、PLMの定着も、すべては現場が使いこなせてこそ。
デジタル化の“最後の一手”がDAPである──そう考える企業が、これから増えていくはずです。
ご興味のある方は、是非弊社までお問い合わせください。