標準機能と製造業ならではの業務の両立を支える「HI-KORT C」

「SAP Cloud ERPに興味はあるものの、製造業の複雑な業務に本当に対応できるのだろうか」

「標準機能を使うと言われても、現在利用している設計や生産管理のシステムと、どのようにつなげればよいか分からない」

「導入を始めてから追加開発や要件変更が増え、費用やスケジュールが膨らむことは避けたい」

製造業のお客様がSAP Cloud ERPを検討する際、このような不安を感じることは少なくありません。

SAP Cloud ERPのPublic Cloud版は、標準機能をできるだけ活かしながら業務を見直し、継続的に新しい機能を取り込んでいくクラウド型のERPです。

一方、製造業では、販売、購買、生産、在庫、原価、会計といった業務が複雑につながっています。さらに、設計情報を管理するシステムや、生産現場を支えるシステムなど、ERP以外の仕組みも重要な役割を担っています。

そのため、SAP Cloud ERPが製造業で使えるかどうかは、ERPの機能だけでは判断できません。

大切なのは、標準機能をどこまで使い、製造業ならではの業務をどのように補い、周辺システムとどう役割分担するかを整理することです。

その検討と導入を支えるために、コベルコシステムが整備を進めているのが「HI-KORT C(ハイコートシー)」です。

SAP Cloud ERPは製造業でも使える。ただし、導入の進め方が重要

結論から言えば、SAP Cloud ERPは製造業でも活用できます。

ただし、これまでの業務をそのままシステム上に再現しようとすると、Public Cloud版の良さを十分に活かせない可能性があります。

Public Cloud版では、まずSAPが用意している標準機能を確認し、その機能に合わせて業務を見直していく考え方が基本になります。

ここで重要になるのが、次のような判断です。

  • ・現在の業務のうち、標準機能で対応できるものは何か
  • ・自社の強みとして残すべき業務は何か
  • ・ERP以外のシステムで管理した方がよい業務は何か
  • ・どのシステム間で、どのデータを受け渡すのか
  • ・導入後のデータ活用やAI活用をどのように見据えるのか

こうした内容を毎回白紙の状態から考えると、検討に時間がかかるだけでなく、部門間の認識が合わず、後から要件が増える原因にもなります。

SAP Cloud ERPを製造業で活用するには、製品の選定だけでなく、導入前の整理とプロジェクトの進め方まで含めて準備する必要があります。

HI-KORT Cとは?

HI-KORT Cは、製造業のお客様がSAP Cloud ERPのPublic Cloud版をスムーズに導入するための「製造業向け導入アセット」です。

ここでいう導入アセットとは、導入時に必要となるノウハウや資料、周辺システムとの連携、業界向けの機能などを整理したものです。

HI-KORT Cには、SAP Cloud ERPの導入を進めるうえで必要となる、導入の進め方、業務のひな型、各種ドキュメント、周辺システムとの連携、業界向け機能などが一通りまとめられています。

これらを一式で活用することで、必要なものを個別に集めたり、毎回ゼロから導入の進め方を組み立てたりする必要がありません。何から準備すればよいか分からない段階でも、全体像を確認しながらプロジェクトを具体的に進めやすく、導入準備の負担も抑えやすいことが、HI-KORT Cの特長です。

また、HI-KORT Cでは、お客様の業務や業界の特性に合わせて、必要な機能やオプションを選び、組み合わせて活用できます。

たとえば、次のような活用が考えられます。

  • ・業界特有の外部システムと連携する
  • ・原価・生産・収益・財務などの情報をレポートで確認する
  • ・現場の業務状況や経営状況を把握しやすくする
  • ・蓄積したデータを業務改善や意思決定に活用する

このような機能やオプションを組み合わせることで、SAP Cloud ERPに蓄積されたデータを、日々の業務改善や経営上の意思決定に活用しやすくなります。

その結果、データに基づく意思決定を支える、データドリブン経営の基盤づくりにもつながります。

HI-KORT Cが支える内容は、大きく次の三つに整理できます。

1.導入時に「何を決めればよいか」が分かる

ERP導入では、最初に決めなければならないことが数多くあります。

たとえば、導入する業務の範囲、会社全体の業務の流れ、部門ごとの役割、システム上で使用するコード、データ移行の方法、テストの進め方などです。

HI-KORT Cでは、こうした検討に使用できる資料を用意しています。

具体的には、対象業務を整理するための一覧、業務フローのサンプル、部門や組織の構成を考える資料、設定内容を記録する資料、テストやデータ移行に関する資料などです。

お客様にとって大切なのは、資料の名称そのものよりも、これらを使って何を整理できるかです。

これらの資料を活用することで、次のような効果が期待できます。

  • ・何から検討すればよいかを把握しやすくなる
  • ・関係部門で共通のイメージを持ちやすくなる
  • ・確認漏れや認識の違いを減らしやすくなる
  • ・後から発生する手戻りを抑えやすくなる

資料を一から作るところから始めるのではなく、あらかじめ用意された型を見ながら、自社に必要な内容を確認していく。

それによって、導入プロジェクトを具体的な状態から始めやすくなります。

2.設計や生産現場のシステムとのつながりを整理できる

製造業では、ERPだけですべての業務を管理しているわけではありません。

設計部門では、製品や部品の情報を管理するシステムが使われています。生産現場では、製造指示や実績、在庫の動きなどを管理するシステムが使われている場合があります。

一般的に、設計情報を管理する仕組みはPLM、生産現場を管理する仕組みはMESと呼ばれます。

SAP Cloud ERPを導入する際、これらのシステムをすべてERPに置き換える必要はありません。

重要なのは、

どの情報を、どのシステムで管理するのがよいか

を最初に整理することです。

たとえば、製品や部品の設計情報は設計システムで管理し、そのうち生産や購買に必要な情報をSAP Cloud ERPへ渡す。製造実績は現場のシステムで記録し、在庫や原価の計算に必要な情報をSAP Cloud ERPへ連携する、といった役割分担が考えられます。

このように、それぞれのシステムが担当する範囲を明確にすることで、同じ情報を複数のシステムで管理したり、導入後に連携方法を大きく見直したりするリスクを抑えやすくなります。

コベルコシステムでは、製造業で必要になりやすいPLMやMESとの連携について、共通して活用できる機能や検討材料の整備を進めています。

連携機能の整備に加え、ERPと周辺システムの役割分担を導入初期から一緒に考えられることも、HI-KORT Cの役割です。

3.業界ごとに異なる業務にも対応しやすい

同じ製造業でも、自動車部品、産業機械、工事・エンジニアリングなどでは、業務の流れや必要となる機能が異なります。

SAP Cloud ERPの標準機能を活かすことは重要ですが、標準機能だけでは対応しにくい業界特有の業務もあります。

HI-KORT Cでは、SAP Cloud ERPの標準機能を基本としながら、業界ごとに必要となる機能を補う考え方を取り入れています。

ここで大切なのは、必要な機能をすべてSAP Cloud ERPの中に作り込むことではありません。

SAP Cloud ERPの標準機能を使う部分、周辺システムに任せる部分、業界向けの機能で補う部分を整理し、それぞれの役割を切り分けることが重要です。

たとえば、業界特有の外部システムとの連携や、原価・生産・収益・財務などを確認するためのレポートについては、周辺システムや業界向け機能を活用して補う方法があります。

このように役割を整理することで、SAP Cloud ERPの標準機能や継続的なアップデートを活かしながら、製造業の現場に必要な業務にも対応しやすくなります。

HI-KORT Cを活用すると、導入はどう変わるのか

HI-KORT Cが目指しているのは、資料や機能を増やすことではありません。

お客様が導入時に感じる迷いや不安を減らし、プロジェクトを進めやすくすることです。

導入の検討を始めやすくなる

業務フローや確認資料が用意されているため、何もない状態から議論する必要がありません。

自社の業務と用意された型を比較することで、検討すべきポイントを見つけやすくなります。

手戻りを減らしやすくなる

導入初期から業務の範囲や周辺システムとの関係を確認することで、後になって発生する要件追加や設計変更を抑えやすくなります。

追加開発を抑えやすくなる

SAP Cloud ERPの標準機能や、共通化された連携の考え方を活用することで、すべてを個別に設計・開発する導入を避けやすくなります。

導入後のデータ活用につなげやすくなる

業務とデータの流れを整理しておくことで、導入後の分析や業務改善、将来のAI活用にも取り組みやすくなります。

HI-KORT Cでは、導入期間の短縮やリスクの低減、プロジェクトのスムーズな立ち上げ、追加開発の抑制、業務標準化などを目指しています。

ただし、HI-KORT Cを使えば、すべての判断が自動的に決まるわけではありません。

お客様ごとに、業務、組織、既存システム、予算、プロジェクト体制は異なります。

HI-KORT Cは、決められた答えをお客様へ当てはめるものではなく、お客様に合った答えを、より早く具体的に見つけるための仕組みです。

SAPと製造業の両方を理解していることが、コベルコシステムの強み

SAPの機能に詳しいだけでは、製造業のERP導入を進めることはできません。

一方で、製造業の業務に詳しいだけでも、SAPの標準機能や継続的なアップデートを十分に活かすことは難しくなります。

コベルコシステムの強みは、SAPと製造業の両方を理解し、業務とシステムを一緒に考えられることです。

さらに、導入して終わりではなく、稼働後の保守や改善まで継続して支援します。

HI-KORT Cは、これまでの導入経験を一部の担当者だけが持つノウハウにせず、次のお客様にも活用できる形にしたものです。

実際のプロジェクトで得られた知見を取り入れながら、より使いやすい仕組みへと継続的に改善していきます。

まとめ

SAP Cloud ERPは、製造業でも活用できます。

ただし、ERPの標準機能だけを見て導入を判断するのではなく、製造業の業務や周辺システムとの関係まで含めて考えることが重要です

HI-KORT Cは、製造業のお客様がSAP Cloud ERPのPublic Cloud版を導入する際に、検討の迷いや手戻りを減らすための仕組みです。

導入時に使える資料、設計や生産現場のシステムとの連携、業界に合わせた機能を組み合わせることで、SAPの標準機能を活かしながら、製造業に必要な業務にも対応しやすくします。

「SAP Cloud ERPが自社に合うか分からない」

「何から検討すればよいか整理できていない」

「現在使っている設計や生産管理のシステムとの連携に不安がある」

そのような段階から、コベルコシステムはお客様と一緒に整理していきます。

SAPを導入することだけを目的にするのではなく、導入後に無理なく使い続け、業務改善やデータ活用につなげていくこと。

それが、HI-KORT Cを通じてコベルコシステムが目指している導入支援です。