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2026年10月01日

成果を生み出すデータ活用とは
~成否を分ける意思決定プロセスの企画・設計~

企業におけるデータ活用の実態を見ると、データ活用基盤の整備は進められても、成果が十分に挙げられている企業は少数です。期待通りにデータ活用の成果を挙げていくためには、データ活用そのものではなく、データを活用した意思決定から行動までのプロセスを企画・設計し、実行していくことが重要です。(*1前回のコラム参照)そこで今回は、データ活用で成果を生み出すための意思決定プロセスの企画・設計の方策について考察します。

意思決定プロセスの企画・設計段階
図表1:意思決定プロセスの企画・設計段階
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方策1:ビジネス課題と意思決定者を明確にする

【現状】 「データを集めて可視化すれば、社員が課題を見つけて活用してくれるはず」との期待のもとに整備したダッシュボード上のKPIや綺麗なグラフを、利用者はただ見ているだけで、意思決定に何ら役立っていません。

意思決定に役立っていないデータ活用
図表2:意思決定に役立っていないデータ活用
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【方策説明】 意思決定に役立つデータ活用を促進するための第一の方策は、「どのようなビジネス課題に対し、誰が意思決定を行うのか」を明確にすることです。データ活用とはデータを見て終わりでなく、それが人の意思決定に役立たなければ意味がありません。意思決定する際には、必ずビジネス上の課題があるはずです。そして、意思決定することで行動が起こり、ビジネス成果が生まれます。確認したデータが意思決定に役立つか否かは、データを見る人の課題意識次第です。自身の課題と無関係なKPIやデータが示されても、全て他人事になります。このように経営者や現場が必要とするデータとは、彼らが単に見て満足するデータではなく、ビジネス課題に関する意思決定に役立つデータでなければなりません。

方策2:意思決定を行動につなげるために、選択肢と選択基準を設定する

【現状】 データを見てなんらかの意思決定をしたものの、行動につながっていません。例えば、会議で選択肢の中からA案で進める方向で合意したが、誰が次の行動を行うか決まっていません。或いは、責任を取りたくないために行動を曖昧にし、中途半端な決定で終わっています。

意思決定から行動につながらないデータ活用
図表3:意思決定から行動につながらないデータ活用
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【方策説明】 意思決定に基づく行動は、意思決定の段階で決めるものではなく、選択肢を設定する段階であらかじめ決めておくべきものです。例えば、「A案を選んだ場合は誰が何を実施するか」、「どの業務を止めて人繰りをするか」までを選択肢とセットで決めておきます。人・もの・金の裏付けがなければ、その選択肢は実行には至りません。意思決定にはトレードオフが伴うため、必要なリソースの裏付けだけでなく、何を削る・中止するかまで決まっていないと現場は動けません。さらに、選択肢だけでなく、選択基準の曖昧さも排除します。「前月に比べ、著しく低下した場合」といった曖昧なものではなく、明確な選択基準を設定します。

方策3:成果を出し続けるために、課題・選択肢・選択基準を更新する

【現状】 これまで有効に機能し、成果が出ていたデータ活用も、企業の内外環境が変わると通用しなくなります。

成果が出なくなったデータ活用
図表4:成果が出なくなったデータ活用
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【方策説明】 データ活用の前提となっていたビジネス課題も、事業計画の立案サイクル等に合わせてビジネス課題と意思決定者の見直しを行います。また、これまで通用していた意思決定の選択肢や選択基準も、例えば需給の優先度や社内リソース、設備条件の変化によって適切ではなくなる場合があります。そのため、新たな選択肢の追加設定や、選択基準の妥当性を適宜更新していきます。

データ活用の成果は企画・設計段階で大半が決まる

以前は、データ活用の用途は集計・可視化・確認が中心で、あらかじめ目的や手順を決められない非定型業務が対象と考えられていました。そのため、多くの企業では「できるだけ多くのデータを収集・統合し、様々なデータ分析機能を用意しておけば、それなりの成果は出せるはず」との目論見でデータ活用が行われてきたのですが、大半は十分な成果を出せていません。
一方、最近のデータ活用は、意思決定に役立ち、ビジネス成果を生み出すことが求められます。そのため、上記3つの方策に共通するのは、データ活用による意思決定や行動から逆算し、その前提となるビジネス課題、選択肢、選択基準をあらかじめ設計した上で、データ活用基盤を用意するという考え方です。つまり、データ活用を意思決定プロセスの中で位置づけ、その企画・設計段階で課題・選択肢・選択基準を明確にすることで、意思決定と行動につなげ、成果を生み出していきます。
ものづくりにおいて、商品価値の大半が決まるのは、上流の商品企画や設計段階です。同様に、データ活用の成果も、意思決定プロセスの実行段階ではなく、その上流となる企画・設計段階で大きく左右されます。意思決定に役立つデータ活用を周到に企画・設計していくことで、十分な成果を収める企業が増えることを期待します。

ご参考
*1:
前回のコラム参照:データ活用はなぜ成果につながらないのか
https://www.kobelcosys.co.jp/column/monozukuri/20260901/
*2:
DWH(Data Warehouse:分析用にデータを集約・蓄積する仕組み)

2026年10月

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