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2026年08月01日

AIという「部下」を使いこなすスキル
~AI時代に求められる新しいマネジメント力~

AIスキルとは、ビジネスにおいてAIを意図通り活用できる力であり、AI知識はスキルの前提となります。経産省の情報処理推進機構(IPA)が策定したデジタルスキル標準(DSS)で定義されているAIスキルは、機械学習などを含む広義のAIを対象とし、AIを利用するビジネスパーソンとAIの実装や運用を担う専門人材の双方が対象となっています。一方、昨今は生成AIが急速に進化し、あらゆるビジネスパーソンによって広く活用されています。そこで今回は、ビジネスパーソンによる生成AI活用に焦点を当て、AIスキルが注目される背景、求められるAIスキルの全体像とその強化のポイントについて考察します。

AIスキルが注目される背景

AIスキルが注目される背景

図表1:AIスキルが注目される背景
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多くの企業が中期計画や事業戦略にAIを掲げる中、AI活用ができる人材の確保が喫緊の課題となっています。そこで各社がまず取り組むのは、社員のAIスキル向上に向けた研修プログラム整備です。しかし、日々の業務に追われる社員にとって、AIを学ぶ時間を捻出するのは簡単ではありません。また、単に「AIを活用していこう」という掛け声だけでは活用が進まないことも分かってきました。そこで、最近は社員のAIスキルを人事評価や昇給条件に反映する人事施策や手当支給を行う企業も急速に増えてきています。また、社外からの採用においても、AIスキル保有者にはプレミアムが付き、募集給与が10%~30%高くなると言われています。
一方、社員にとっても、上記のような企業施策に合わせて、自身のAIスキルを強化する必要が生じています。また、会社に号令をかけられるまでもなく、仕事の生産性を高め、成果を上げていくための強力な武器となるAIスキルを、自主的に身につけておこうとする社員も少なくありません。

ビジネスパーソンに求められるAIスキル全体像

ビジネスパーソンに求められるスキルと知識

図表2:ビジネスパーソンに求められるスキルと知識
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ビジネスパーソンが、AIを活用するためにはどのようなスキルや知識が必要となるか、AI活用プロセスのタスクに沿って見ていきましょう。
最初の「目的設定」タスクでは、課題解決策の仮説や完成イメージを設定します。このタスクで必要となるのが、問題領域の専門知識や問題分析スキル、そして課題解決企画スキルです。
次の「指示」タスクでは、AIに仕事をさせるための指示を行います。指示の巧拙によって回答品質は大きく左右するため、プロンプト設計スキルと自分の意図を的確に言語化するスキルが重要となります。
続く「回答生成」タスクは、指示に基づいてAIが回答を作成します。このタスク内に書かれている、生成AIの仕組みや特性の知識、AIのリスクや倫理に関する知識、そしてAIエージェントやRAGの知識は、ビジネスパーソンが保有すべき様々なAIスキルの前提知識となります。
「回答評価・修正」タスクでは、AIからの回答の妥当性を評価し、目的に対するズレを修正します。AIからの回答はあくまでたたき台であり、この品質を引き上げていくのはビジネスパーソンの重要な役割です。ここで必要となるAIスキルが、その回答根拠や論理に関しての正確性の評価スキルです。このスキルについては、以前のコラム*(1)でもエビデンスの目利きとして取り上げました。さらに、目的に対する回答評価スキルを磨く必要があります。
最後の「業務組込み」タスクは、成果を業務標準として適用していきます。このタスクでは、成果の評価や実務への適用スキル、そして業務標準化のスキルが必要となります。

AI固有スキルだけでなくDX共通スキルも強化

AI固有スキルとDX共通スキル

図表3:AI固有スキルとDX共通スキル
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AI活用プロセスでは様々なスキルが必要とされますが、それらのスキルは、「DX共通スキル」と「AI固有スキル」に大別されます。DX共通スキルとは、AI活用プロセスの両端の目的設定タスクと業務組込みタスク内のスキルであり、AI技術に限らずDX施策における共通スキルとなります。一方、AI固有スキルとは、プロセス中央にある指示、回答生成、回答評価・修正のタスク内のスキルが相当します。この部分のスキルは、DX施策で利用するデジタル技術によって異なります。例えば、データサイエンス技術であればデータ分析スキル、RPA技術であれば業務自動化の設計スキルが求められます。
AIを活用し成果に結びつけるには、「AIから意図通りの回答を引き出すこと」と、「その意図の元となる課題解決案の価値が高く、実際に成果につなげること」の両方が条件となります。前者においては、プロンプト設計スキルや回答評価・修正スキルなどのAI固有スキルが必要です。一方、後者においては、DX共通スキルが不可欠となります。課題に対してどのような解決策があるのか、その完成イメージの質が高ければ高いほど、AI回答も成果につながりやすくなるためです。
つまりAIを上手に使うためのAI固有スキルだけでなく、AIに任せる仕事や目的の価値を決めるDX共通スキルも強化していくことが求められます。

AIスキルの本質は部下のマネジメント

AI活用プロセス内では、AIに適切な指示を与え、その成果の評価と改善指示を繰り返しながら、目的とする成果につなげていきます。これは、管理者が部下に指示し、適宜その状況の確認とアドバイスを行いつつビジネス成果につなげていく、部下のマネジメントによく似ています。ただし、AIは人の部下以上に優秀な成果を出すかもしれませんが、状況や空気を読むことは不得手であり、反省もせず、最終的な判断や責任を担うこともできません。いわば、適切な指導と監督を必要とする“新人部下”のような存在です。このように、これからのビジネスパーソンには、AIという新人部下に適切な指示を与え、途中の成果を適宜確認しながら仕事を委ねていくスキルが求められます。AIスキルの本質は、AIを使うことではなく、AIをマネジメントすることにあるといえるでしょう。
AIに適切な仕事を与え、AIから期待通りの回答を引き出し、それを実業務での効果まで確実につなげていくスキルを併せ持つことで、業務生産性を高め、新たな価値を創出するAI活用が増えていくことを期待します。

ご参考
*1:デジタル/AI時代に求められる“エビデンス”の目利き

2026年8月

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