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2026年09月01日

データ活用はなぜ成果につながらないのか
~“見るだけ”で終わらせない意思決定プロセス~

企業にとってデータ活用はDXを実践するための中心的な手段です。そのため、これまでデータ活用に向けたデータ統合やBIツールの配備、人材育成に積極的に取り組んできました。
また、基幹システムの刷新も一段落し、蓄積されたデータの活用に取り組む企業も増えています。しかし、多くの企業がデータ活用に取り組んでいる一方で、その取り組みが必ずしも成果に結びついているとは言えません。今回は、データ活用で十分な成果が出ない理由と、そこで何をすべきかについて考察します。

十分な成果を出しているデータ活用は少数

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図表1:データ活用に関する調査結果
<ソース:ガートナー社の調査結果(*1)を基に作成>
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データ活用は企業共通の優先課題ですが、十分な成果を出すことは簡単ではありません。データ活用の成果に関する最近の調査結果によると、「十分成果を出せている」と回答した企業は2割強にとどまり、多くの企業では成果が限定的な状況にあります。これまでも多くの企業がDX投資の根幹としてデータ統合やBIツールの配備などデータ活用環境を整備してきました。ところが、この2年間ではデータ活用の成果を出している企業の割合は増えるどころか、むしろ減少しています。なぜ成果が出ないのでしょうか。

形骸化するデータ活用:「環境整備で満足」、「見て終わり」

データ活用の成果が出ない理由を、データ活用の事例をもとに、見ていきましょう。
成果が出ないデータ活用事例
図表2:成果が出ないデータ活用事例
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データ活用に取り組む企業は、「人の勘や経験に頼ることなく、データを基に判断していこう」と方針を掲げます。そこで、「データを整え、BIツールを配備すれば、より良い判断ができるようになるはず」と考え、まずデータ活用のシステム環境構築に注力します。さまざまなデータを整備し、ダッシュボードを用意することで、プロジェクトはほぼ完了したかのような達成感が生まれます。ところが、現場は最初のうちはデータを見ていても、やがて見なくなり、BIツールも使わなくなっていきます。そこで、社員のデータリテラシーを高める研修を行い、データ活用を啓蒙しますが、現場はデータを見ても、行動が変わるわけではありません。また、多くのKPIが示されても、それによって会議の内容が変わることはありません。「データはある。BIツールも使える。でもデータを見るだけで何も変わらない。」このような「見て終わり」の状態がなぜ起こるのでしょうか?
その本質的な理由は、見る機会が与えられても、それが判断や行動の変化につながっていないからです。言い換えれば、データ活用が意思決定に結びついていないのです。

データ活用は意思決定の一部であり、手段

意思決定プロセスを構成する5つのタスク.JPG
図表3:意思決定プロセスを構成する5つのタスク
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データ活用は、何らかの意思決定を行い、その実行につながらなければ意味がありません。つまり、データ活用は意思決定の手段であり、意思決定プロセスの一部なのです。意思決定プロセスは5つのタスクから構成されます。最初の「課題設定」タスクでは、何を意思決定するのかというビジネス課題と、その意思決定者を特定します。次の「意思決定方法定義」タスクでは、意思決定の選択肢を設定し、その判断に必要な情報や判断基準を定義します。例えば、予知保全は保全部長が意思決定し、「今週、予知保全を実施する・しない」を選択肢として、「故障損害の予想額と保全コストを比較して決定」するという判断基準を設定します。その上で、意思決定に必要な情報を集める「データ活用」タスクが登場します。故障損害予想額を計算するための振動や温度のデータ収集、故障発生確率の基準値との比較、そして故障時の損害額と補修コストとの比較計算を行います。その結果を基に、保全部長は定期保守を待つことなく、予知保全を行うことを決定し、その意思決定に従って、予知保全を実行します。このように、データ活用そのものが目的なのではなく、より良い意思決定を行うための手段となります。

成果を上げるデータ活用のカギとなる意思決定プロセス遂行力

日本情報システム・ユーザー協会(JUAS(*2))が毎年行っている企業IT動向調査において、データ活用の課題として過去3年にわたり1位に挙げられているのは、「データ種類の不足」や「データ量の不足」ではなく、「データ活用に関する人材の質的不足」です。

過去3年のデータ活用における課題ランキング
図表4:過去3年のデータ活用における課題ランキング
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この質的不足とは、単なるデータ分析スキルの不足ではありません。ビジネス課題の解決に向けて、必要なデータ活用を検討し、その結果を意思決定や成果につなげる力の不足と言えます。本稿ではこれを意思決定プロセスの遂行力不足と捉えています。
企業の実態を見ると、意思決定プロセスの前半である課題設定や判断基準の定義が十分に行われていないケース、データ活用で止まり、プロセス後半の意思決定や実行につながっていないケースが少なくありません。従って、企業がデータ活用で成果を上げるためには、意思決定プロセス全体を継続的に回していくことがカギとなります。
データ活用のシステム基盤はIT部門が主導しますが、意思決定プロセスの推進は担当部門が曖昧で、後回しになりがちです。これからは、事業部門とIT部門そして人事部門が協働で、意思決定プロセスの標準化や研修拡充、ノウハウ共有、そして伴走支援を行うことで、データ活用に関する人材の質的不足が解消されることを期待します。


ご参考
*1:
プレスリリース:Gartner、日本企業のデータ活用に関する最新の調査結果を発表:全社で十分な成果を得ている組織の割合は2.4%にとどまる
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20260108-data

*2:
企業IT動向調査報告書 2026
https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf

2026年9月

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