社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2024年

パリ五輪で金メダル確実と言われたレスリングの須崎選手は、1回戦で敗れるも3位決定戦で敗者復活を果たし銅メダルを獲得しました。大きな挫折を短時間で乗り越えるためにどれだけ心の整理が必要だったことでしょう。柔道日本男子の井上康生前監督も、気持ちを立て直すことの大切さを経験し、仕事にも通じる示唆を与えてくれています。

2024年パリ五輪では、日本は金20個を含む計45個のメダルを獲得しましたが、不透明な判定に泣かされSNSやメディアでも批判が相次ぎました。開催国に有利な判定があった背景には、審判が観客からの同調圧力の影響を受けた可能性があります。企業における同調圧力は帰属意識につながりますが、過度になると大切な判断を惑わせ、不正の温床につながります。経営者は社員が自由に発言できる場をつくることが大切です。集団で浮いている声こそ流されない貴重な意見である可能性があるからです。

青鳥特支は今年の夏、甲子園地方大会で単独チームとして出場しました。障害のある選手にとって、ルールを覚え硬球を打つことは困難を伴います。しかし青鳥特支の久保田監督は全国の特支に参加を呼びかけ、元プロ選手の指導や甲子園経験のある強豪校との合同練習を実現させました。この経験が甲子園地方大会への出場を果たすまでの成長に繋がったのです。企業においてもダイバーシティ&インクルージョンがうたわれています。昨今はテクノロジーの進化により障害者の方の労働環境改善が進んでいますが、何よりも人と人との関わり合いが重要ではないでしょうか。

日本高野連は甲子園球場での暑さ対策として「朝夕2部制」に着手しました。成功の鍵は、熱心な高校野球ファンの理解と支持を得ることです。一方、職場ではクールビズやオフピーク出勤などがあります。働き方に関する価値観は世代によって異なり、企業は、時代に即した社内規程の改定が求められています。社員の服装や勤務時間を柔軟にして健康と安全を確保しながら、顧客への印象や企業イメージを維持することが大切です。

タイガー・ジェット・シン氏は、リング上ではヒール(悪役レスラー)としてアントニオ猪木氏と対決し観客を恐怖に震え上がらせてプロレス界を盛り上げました。完璧にヒールを演じきる姿は、まさにプロフェッショナルです。私たちも仕事で新しい役割を与えられた時には、その役をプロとして全力で演じることが重要です。様々な役を経験することで一流の役者すなわち一流のビジネスマンになっていくのではないでしょうか。




高速水着や厚底のレーシングシューズのように、技術革新がルール形成を追い越すことは、スポーツ界に限りません。近年、生成AIなどの先進技術が利用可能ですが、社内ルールの整備が追いつかず活用が遅れる事態になればビジネスチャンスを逃す可能性もあります。経営陣が先進技術に関する情報を頻繁に得るとともに、新たな社内ルールを作るプロセスが迅速かつ適切に実行されているかを注視することが大切です。

高校野球界で金属バットが導入されたのは1974年。木製バットよりも耐久性が高く、経費節減や資源保護が目的でした。そして2024年のセンバツからは、打球の速度を抑制する新基準バットが採用となります。時代の要請に応えるために新しいテクノロジーは登場しますが、同様の状況はスポーツに限りません。国や企業にも当てはまり、早急にリスキリングに取り組み、新しいテクノロジーを活用できるかが、競争力や成功を左右する要因となり得ます。

環境変化が激しい中、ビジネスの世界でも戦略の複雑性は競争相手に勝つために必要である反面、組織の足並みが乱れ実効性が落ちることがあります。この状況を回避するために、今まで続けてきた習慣などを一旦断ち切り、シンプルな戦略に徹することが有効です。その好事例が、昨年のラグビーW杯フランス大会のイングランド代表と南アフリカの対戦にあります。

高校生年代の最強サッカーチーム青森山田のスローガンは「百戦百打 一瞬の心」。選手たちは試合本番をイメージし、基本スキルを磨く練習を全力で行います。レギュラー争いは厳しく、完璧すぎて面白くないと好感を抱かない「判官びいき」の声があがっても当たり前のことを愚直に徹底的にやり切ります。この「凡事徹底」は、松下幸之助氏が好んで使った言葉ですが、日本企業にとっても成長につながる王道のようです。

長年続く少子化の影響で学校スポーツに打ち込む生徒は確実に減り続け、救済措置として合同チームでの出場が認められるケースは増加傾向にあります。これからは様々な垣根を越えて共創していく時代です。指導者はベクトルを合わせ、多様性を認める雰囲気作りなどチームビルディング能力が必要となります。これは企業におけるプロジェクトチームのリーダーにも通じるものがあります。

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