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2020年08月01日

製造現場のIoT活用について

第二回目の今回は、「製造現場のIoT活用」についてです。
昨今、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉をよく聞きます。DXとは、Wikipediaによると”「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。 デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる 。” と書かれています。

製造業の設計、調達、製造、物流、製品保守それぞれの各プロセスの横の連携、生産管理、製造管理、現場の縦の連携、その両方が、DXの対象になりえます。
製造業でDXに取り組む目的としては、以下があげられます。

  1. 製造業のサービス化
    製品(“もの”)から製品の使い方、使われ方(“こと”)に移行する。
    “もの”を販売するだけではなく、その、”もの”がなすべきことを最適になされるようなサービスを組み込む。これは、横の連携全体と、保守サービスの拡張を伴います。
    例としては、航空機のエンジンモニタリング、コンプレッサの最適運転支援、建設機械の最適運転支援など事例も多く発表されています。
  2. 個客を対象とした個品・大量IT生産
    一人一人の顧客ニーズに合わせた、個品、大量生産への対応。
    すでに自動車産業、靴メーカの事例にあるように、個人のオーダに応じて、柔軟に対応し、個品生産計画、工程自動組み換え、などに取り組まれています。
  3. 生産性向上、品質向上
    過去からずっと取り組まれていること。
    製造現場ではここが足元になり、ここがしっかりしていないと、前述の新たな革新もなかなか進みません。生産性向上、品質向上を考えたとき、現場で何が起こっていたのか、今起こっているのかを知ることが重要です。「3現主義」「5ゲン主義」(現場、現物、現実、原理、原則)と言われている通り、「現場、現物、現実を迅速かつ正確に把握し、原理を見出し、原則を確立する。」が重要になります。
    ITを活用して、現場を把握する。原理を見出す。このためには、現実を測定し、データとしてITの中に仮想的に再現することも必要になってきます。これが「デジタルツイン」です。
以上を図に示すと図1になります。

IoT-デジタルツイン-DX関係図

図1:IoT-デジタルツイン-DX関係図

図に示すように、IoTはデジタルツインを実現しDXを実現するための基礎になります。しかしまた、単に現場のデータを集めるための仕組みにすぎないとも言えます。
したがって、何を実現するための基礎なのかを明確にして進めていかなければなりません。
今回は、この目的を生産性・品質向上に絞って説明します。

生産性・品質改善は常に過去との対比、他との対比で効果を測り続けねばならず、そのためには定量的、比較可能な(基準が揃った)指標を用いることが重要です。
そのための世界標準としてISO22400が定義されています。ISO22400は、生産性、品質、能力、環境、在庫管理、保全の6分類で合計34個のKPIを定義しています。
それぞれの指標は、IoTで得られるもの、生産管理システム、製造管理システム、品質管理システム、設備保全管理システム、その他から得られるものがあります。
例えば、比較的よく使われる総合設備効率を例に見てみると以下の図2になります。

i2008_2L.jpg

図2:総合設備効率
(クリックして拡大できます)

操業時間は、生産管理システムが、計画停止時間は、製造管理システム(MES)が持っていますが、設備故障停止時間、段替え時間、チョコ停などは、IoTで設備情報から求めなければなりません。
次に生産稼働率を見てみると以下の図3になります。

i2008_3L.jpg

図3:生産稼働率
(クリックして拡大できます)

計画停止を含む設備能力時間はほぼ常数ですが、1個当たりの所要時間、生産数は都度計測し加算していかなければなりません。生産カウンター、生産タイマーの値を収集する手段が必要でしょう。
以上ISO22400の2つのKPIについて、IoTを活用しデータとして収集・蓄積できそうだということを説明してまいりました。
今回は、物事を測る、比べる。そのためのものとしてISO22400を例に紹介いたしました。次回は実際に現場からどのようにデータを集めるのか、そして集めたのちにどのように活用できるのかについて、『産業機械(PLC)との接続方法、活用事例』としてご紹介いたします。

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事例で解説!IoTで製造現場の「5ゲン」を見える化
デジタルトランスフォーメーションを実現するためのIoT活用・実現方法

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※このコラムに対するお問い合わせフォーム
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2020年8月

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