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2019年09月01日

デジタル化とものづくり⑫
~あなたの会社もIoTプラットフォーマーになれる!~

今回のテーマは製造業のデジタル化のビジネスモデルの一つ、IoTプラットフォームです。 (※1)GAFAに代表されるオンライン・プラットフォームが、PCやスマホを介して個人が発するデータを活用するのに対し、IoTプラットフォームでは、製品の利用時に生まれるデータを活用します。

IoTプラットフォームでは、メーカーが製造・販売した自社製品の利用現場に生じる稼働データや運用データを収集・分析し、障害を未然防止する手厚い保守や機器の最適な利用方法を提案するサービスが基本です。(図1)

基本となるIoTプラットフォーム

図1:基本となるIoTプラットフォーム

メーカーはIoTプラットフォームを通し、サービス提供の対価を得て、製品の販売拡大につなげることができます。本格的なIoTプラットフォームの先駆けとして、GE社が2013年に立ち上げた「プレディックス」が有名です。(※2)飛行機エンジンや発電用タービン等のIoTプラットフォームである「プレディックス」は、デジタルツインなどデジタル技術を駆使した完成度の高いサービスで、「プレディックス」のIoT事業はGE社の成長の柱となるはずでした。しかし、結果として売り上げは伸びず、GE社の事業収益に貢献するに至りませんでした。その原因の一つとして、「プレディックス」の対象機器が実質的に自社機器に止まっていたためと言われています。

そこで、自社製品だけでなく他社の機器もサービス対象にする、オープンなIoTプラットフォームが必要だということが浮かび上がります。(図2)

オープンなIoTプラットフォーム

図2:オープンなIoTプラットフォーム

オープン化によって接続機器台数が増えるとデータ量も増えていき、「ネットワーク効果」と呼ばれるプラットフォーム・ビジネス特有の経済価値が高まります。サービスを利用している企業に対し、より付加価値の高いサービス、包括的な稼働管理サービスが提供できます。シーメンス社のIoTプラットフォーム「マインドスフィア」は、自社製品に加え、他社製品、さらに既に設置されている製品にも後付けで接続できるモジュールを提供することにより、今では世界で140万以上の機器が繋がっています。このようなオープンなIoTプラットフォームの場合、サービス利用が自社製品の販売に直結するとは限りません。しかし、お客様にとっては大きなメリットがあります。そのことを示すように、シーメンス社のIoT関連事業は既に1兆円を超え、プラットフォーム・ビジネスを牽引しています。

IoTプラットフォームは、仲間を増やしていくことでサービスの幅を広げ、収益源も増えていきます。(図3)

仲間とのIoTプラットフォーム

図3:仲間とのIoTプラットフォーム

例えば自動車メーカーは自動車に車載通信モジュールを搭載して車両情報や運転情報を収集し、車の乗り方やメンテナンスに関するサービスを提供するIoTプラットフォームを構築していこうとしていますが、このIoTプラットフォームには、保険会社や交通機関、飲食店や医療機関などの仲間が加わっていく予定です。これにより、利用者は自動車のメンテナンス、保険加入、店・宿泊の予約、そしてライドシェアやタクシー、鉄道などを含めた最適経路提案など、幅広いサービスが提供されていきます。このような仲間によるIoTプラットフォームは、仲間が提供する様々なサービスが補完し合い、相乗効果をもたらすことが期待できます。 利用者にとっては、一体型のサービスが受けられ、サービス選択肢が広がっていくことになります。

留意すべきはIoTプラットフォームでは、工場や農場、建設や医療の現場、そして航行や自動車走行で発生する大量のリアルデータを収集し、そのデータを送り出す役割を果たすのは製品だということです。 GAFAのようなオンライン・プラットフォームと異なり、IoTプラットフォームでは製品が主役となります。従って、製品がお客様の現場に選ばれ、利用されないとIoTプラットフォームは成り立ちません。さらに、IoTプラットフォームが継続・進化していくには、現場で製品が継続利用されるように製品そのものの価値が高まっていかねばなりません。

IoTプラットフォームは、産業機器、FA機器、エンジン等を扱う大手メーカーの専権サービスではありません。中堅・中小規模のメーカーでも、その製品が市場において広く受入られていれば、IoTプラットフォーム構築に有利な立場にいることになります。最近は、オンライン・プラットフォームでも巨大となったGAFAに陰りが見られる一方、小粒ながら一芸に秀でたカテゴリーキラー的なオンライン・プラットフォームが出始めています。ものづくり技術をもち、身軽に立ち回れる中堅・中小のメーカーが、コンソシアームを組んだ仲間作りで存在感のあるIoTプラットフォームを構築することもできます。

あなたの会社がユニークなIoTプラットフォームを考案されることを期待します。

※1:デジタル化とものづくり⑩ ~製造業のデジタル化成功事例は?~
https://www.kobelcosys.co.jp/column/monozukuri/20190701/

※2:AIとものづくり④ 社会インフラの安全を支えるAI
https://www.kobelcosys.co.jp/column/monozukuri/20170601/

2019年9月

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