社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2020年06月01日

新型コロナ時代の新たな日常とは
~不況を普通に~

紫陽花

緊急事態宣言は5月14日に39県が解除され、このコラム起草時点の21日には関西3府県の解除も決まりました。残る首都圏と北海道の5都道県が宣言期限の31日までに解除されるかはまだ見通せませんが、解除されてもこのコロナ禍は長期戦の覚悟が必要です。安倍首相のメッセージにも「コロナとの共生」とか「新たな日常のスタート」という言葉が出てきました。

そこで「新たな日常」について考えてみたいと思います。在宅勤務でのテレワーク、Web会議やオンライン飲み会など緊急事態宣言下でやむなくやってみたところ、案外いいじゃない、という部分を日常として残そうという事でしょうか。3密を避ける行動はどこまでが緊急事態でどこからが新日常なのでしょうか。解除後の第2波、3波に備えるステージ(第2 Stage)とワクチン完成でパンデミックが終息した後(アフターコロナ)のステージ(第3 Stage)で新日常の在り方も異なります。第2 Stageでは3密回避が日常ですが、第3 Stageになると人は元来3密を志向する行動特性を持っているので恐らく元に戻るでしょうね。政府や首長のメッセージは第2 Stageの過ごし方を新日常とするニュアンスが強いですが、このコラムでは第3 Stageも見据えて考えてみました。

飲食店が第2 Stageで3密を避けた運用をすると稼働率が50%位で頭打ちになり、これでは損益分岐点を超える売上が確保できないと推測できます。そうなるとお店を閉めるか3密を無視するか、値上げして稼働が低くても利益確保するかのいずれかに分かれます。消費者は、感染リスクはあるが従来通りのコスパで飲食するか、多少高くても美味しくて雰囲気が良く安全なお店を選ぶかの選択をする。どちらも嫌ならTake Outか家庭料理、これが新日常なのでしょうね。第2 Stageでの外食産業の売上をマクロで捉えると3密回避で自宅での食事が増え、緊急事態時よりはましでも従来と比べれば数十%は下がるでしょう。第3 Stageになると3密回避は恐らく元に戻るでしょうが、それまでに閉めたお店は元には戻りません。飲食店だけでなくイベント施設や建設業、食品スーパーなど19業種で第2 Stageでの新たな生活様式のガイドラインが出されましたが、3密回避で経営的には苦しい時期を凌ぐ必要がある業種が多くなりそうです。第2 Stageがいつ終息するかは現時点では見通せませんが来年の東京オリンピックが開催できるためには後1年以内でそうなる必要があります。心からそれを願いたいものですね。

第2 Stageを生き残った事業体もその後、アフターコロナで勝ち抜くには第3 Stageの新日常を理解し、必要な変化をしなければなりません。思えば昭和から平成に移ってすぐにバブルが崩壊し、空前の不況で株価も土地もGDPも暴落しました。でもしばらくすると、この状況は不況ではない、これが普通なのだ、経費節減、固定費削減で損益分岐点を下げないと生き残れない、と各企業が脇を締めてきました。タクシーチケットの乱発や、接待の2次会3次会が当たり前だった時代が、最終電車で帰宅、2次会自粛となり当時もタクシー業界とナイトクラブは深刻な打撃を受けましたが、今ではこれは普通の事ですね。平成の30年はGDPも株式時価総額も増加せず失われた時代と揶揄されたりもしますが、日本企業はバブル崩壊の教訓から財務体質の強化を計って今日まで生き残ってきました。タクシー業界とナイトクラブも淘汰され、ニーズの変化を捉えた質の高い所が残りました。これは平成の新日常を生き抜いた、と言えるのではないでしょうか。第3 Stageの新日常もバブル崩壊後と同様に不況対応で変わった行動・生活様式が普通のものになるという事なのだと思います。それこそNew Normalですが、その変化に早く適応し確実に利益を確保し成長する事業体が令和時代を勝ち抜いていくのでしょう。強い企業は予測能力が高いのではなく、変化に気付き対処するスピードが速いのです。

アフターコロナでの新たな日常(New Normal)においては、緊急事態宣言下で加速したテレワークに代表されるITをフル活用した生活やワークスタイルになることは間違いないでしょう。デジタル(Cyber)と現実(Real)の共存、Mixed Realityの生活様式が加速します。パンデミック以前はCyber:Real=1:9位であったのが緊急事態宣言下で8:2に激変し、第2 を経て第3 Stageでも6:4でCyber優位の生活に変わっていく可能性があります。以前の本コラム(※1)でモノ(道具、手段:時代とともに変化する)とコト(目的、ゴール:人の変わらぬ欲望)について語っていますが、モノがCyberでコトはRealとも言えると思います。アフターコロナの令和時代はデジタル時代となり、DXというモノを駆使して生産性の向上が期待されます。その上で少子高齢化社会における人類の幸せというコトを提供できる事業体に変化即応する事が「新たな日常」を生き抜く要件なのでしょう。当社もITサービスを生業とする以上は、その一翼を担って令和時代に社会貢献したいと思います。その為には何を変えるべきか、それが次の中期経営計画のテーマになってくるでしょう。

※1:2017年12月01日モノからコトへの破壊的イノベーションとデザイン思考
https://www.kobelcosys.co.jp/column/president/20171201/

2020年6月

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