社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2018年10月01日

改善テーマのネタは尽きない
~大いなる不満と普通の向こう~

pumpkin

10月となり秋も深まってきました。当社は12月が会計年度末なので、いよいよ第4四半期に突入し最終コーナーでの追い込みをかけることになります。本年度はおかげさまでITサービス業界は活況でありますが、それに甘えることなく年末に向けてお客様のご要望に沿えるよう努めたいと思います。

コベルコシステムでは毎年9月に業務(CS)改善活動の発表会を実施しており、社長をはじめ当社の役員全員が聴講し審査をしています。本年度の活動登録は90チーム、そのうち発表予選に応募したのは26チームで、そこから厳選された8チームが発表しました。最優秀賞は「RPA活用によるテストの自動化と品質向上への取り組み」が受賞しましたが、テーマ設定、活動内容、成果、横展開可能性などの審査項目からみても素晴らしいものでした。

当社の社員数は約1,100名ですが、そのうちの改善活動参加率は約55%でした。今年で業務改善活動(当初CS改善活動としてスタート)は16年目、発表会が14年継続している事もあり業務改善活動がCSにつながる企業文化として全社に浸透している手応えを感じ嬉しく思っています。最近はリソースがひっ迫して、なかなかこういった小集団活動や社員教育には時間が割けない状況の中ですが、組織や個人の業務目標とも連動させることを奨励しているのが奏効しているかもしれません。

取組テーマは、品質向上、生産性向上、スキル向上・技術伝承、お客様拡大・深耕などに大別されますが、ネタはまだまだ尽きないと感じました。テーマ設定は、何をするか、から考えると行き詰りやすいのですが、不満=改善機会と捉えると尽きることなく出てきます。当社ではお客様満足度(CS)調査や社員満足度(ES)調査を毎年実施しているのですが、これは満足度の確認というよりは不満=改善機会の確認・発見が主目的です。「Be a Trusted Partner」の長期経営ビジョンを実現するためにも、継続的に改善テーマを発見、設定し、それに取り組むことを全社員に求めています。部門によっては、お客様とCS調査結果をもとに改善テーマを共有し、活動進捗を中間報告し、1年後には成果を評価してもらうというPDCAサイクルを廻してCS向上を目指しています。これはお客様のご意見を反映できる良い取り組みなので、横展開を推奨しています。

ところで、不満=改善機会の話題から日本IBMの中興の祖である椎名元社長の名言の一つである「大いなる不満:Glorious Complaints」を思い出しました。「会社に対する不満・クレームがあるなら遠慮せずエスカレーションしなさい。それが会社を良くする大いなる宝の原石だ」という意味です。椎名社長の時代はIBMがコンピュータ業界では独壇場であったので、けっこう独善的な業務プロセスが多かった中での戒めの名言でしたが、今もそのまま活かせる言葉だと思います。

他方で逆説的な話なのですが、「日本のような成熟社会では不満はあまりない、欲しいものもない。でもだからこそ、その先にあるものが見えればそこにチャンスがある」という講演を最近聴講しました。これは、ネスレ日本の高岡代表取締役社長兼CEOのメッセージです。グローバル食品企業ネスレのなかで、日本という人口減少かつ成熟市場を担当しているとスイス本社からの成長期待度は低かったでしょう。そこに小規模オフィスや個人にターゲットし、便利さ手軽さを提供することで新たなビジネスチャンスを見出し、ネスレ日本は大きな成長を成し遂げました。特に不満も欲しいものもなく普通だった人に、便利と感動を提供すればそれは大きな満足とビジネスが得られるという訳です。この考えにとても共感できました。こちらは改善というよりは創発でしょうか。最近ホットな話題であるデザイン思考はこの考えと共通するものも多くありますし、ネスレ日本もデザイン思考に取り組んでいるように思えました。当社でもデザイン思考を全社員に浸透させたいと思い、研修プログラムをスタートさせています。

それにつけても改善・創発のネタは尽きることはなさそうです。ネタを探す意欲がある限りは。

2018年10月

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