社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2019年09月01日

人は何のために頑張るのか、ラグビー精神に学ぶ
~人間性、社会性の高い社員は仲間の為にハードワークできる~

ラグビーボール

9月になりました。いよいよラグビーワールドカップ2019日本大会が20日から始まりますね。直近の日本代表の戦績も好調で期待も高まってきています。これに乗じたTVドラマでも池井戸潤原作の「ノーサイド・ゲーム」が好評でラグビーが日本でもいよいよブーム到来でしょうか。というわけで今月はラグビーネタでいきたいと思います。

実は私自身はラグビーについて全くの素人で、子供時代の青春ドラマや新日鉄釜石のV7や平尾時代の神鋼V7を認知している程度でした。ルールもラグビー精神も知りませんでした。それが2015ワールドカップでの南アフリカ戦での日本勝利や2018日本選手権にて神戸製鋼コベルコスティーラーズの18年ぶりの優勝を契機にお客様や神鋼グループ内で何かとラグビーが話題となり、遅ればせながら興味を持つようになったというお恥ずかしいものです。

ラグビーの精神として「One for all, All for one」が有名ですが「ひとりはみんなのために、みんなは一つのこと(勝利)のために」という意味で使われるこのフレーズは、個を犠牲にしてチームに貢献するところを美学と感じる日本人には受けているのでしょう。(本場イギリスではあまり使わないそうです)ちなみに2009年にワールドラグビーのメンバー協会は共にラグビーがもたらす人格修養の中心には品位、情熱、結束、規律、尊重と、5つのコアバリューを特定しています。今ではこれらの要素は『ラグビー精神』の特色をありのままに保つため、ワールドラグビー憲章にも取り入れられています。旧来からのラグビー経験者や愛好家の方々からすれば当り前のことを書き連ねてしまいましたが、今さらながら高邁な精神に感服します。

そんな中で神鋼グループのノーベル賞と言われる田宮賞の最優秀賞である金賞に神鋼ラグビー部の「復活をかけたチーム変革」が選出され、その講演を聞く機会がありました。神鋼が優勝できたのはサッカー界でのメッシに匹敵するラグビー界の大物プレーヤーであるダン・カーターの加入が大きいと言われていますが、15人がプレーするチームで一人が傑出していてもそれだけでは勝てません。ダン・カーターが来たのは神鋼がウェイン・スミスという優れた指導者を招聘していたからです。ウェイン・スミスが神鋼に来たのは互いに尊敬しあっていた故平尾誠二さん(元神鋼ラグビー部GM)がいたからで、トップラガー同士の強いつながりを感じます。

講演では①環境整備、②優れた指導者の招聘、③優れた選手の獲得の3つの変革について説明がありました。①はポスト平尾体制への変革ですがここでは割愛します。②③は前述しましたが、ウェイン・スミス(WS)の変革についてもう少し詳しく述べます。まずWSが行ったのは価値観の統一でした。「優勝」という目標達成に向けて多様な背景を持つ選手・スタッフを束ねて同じ方向に向かわせるために「優勝しなければならない」共通の理由・動機づけを植付けたのです。それは、「今の勝敗は未来に続くチームの歴史の一部となるので、価値を高めて次代へジャージを受け渡すことが使命」、「チームメンバーも神鋼の従業員=STEEL WORKERである」、「我々の目指すべき姿は仲間の為に困難な状況に立向かいハードワークするSTEEL WORKER」、「会社や先人たちの努力に思いを馳せリスペクトする」と言ったものでした。これらを通じて会社やチームの歴史・文化を学ぶことが愛着や愛情となり心の拠り所=プライドとなって会社・チームへの帰属意識が高まってきたという事です。WS変革のさらに注目すべきは人間性を重視したチーム作りで、これはニュージーランド代表オールブラックスのコーチとして18年関わったWSの真骨頂です。「より良い人間がより良いオールブラックスを作る」という実績に基づいた信念で、チーム強化にはラグビーだけでなく社会性、人間性も重要というものです。神鋼に来てからもオールブラックスをスティーラーズに置換えて人としての成長を促したのです。副題にある「人間性、社会性の高い社員は仲間の為にハードワークできる」もWSの言葉です。そして見事に結果として優勝を成し遂げました。

これらから会社運営において学ぶべきことは多々あると思い感銘を受けました。何の為にこのチームは存在するのか、それを実現するためにチームと自分は何をすべきか、それを現実にする為に如何に頑張るかということなのですが、そのベースとなるのは上記を理解・納得し行動できる人間性です。「何の為に」を単に年度目標の為にと捉えるのではなく会社の成長の為に、更には会社を支えてくれるお客様をはじめとする全てのステークホルダーの為に、という使命感を全社員に共有させたいものです。これが納得できれば人間性・社会性が高まり、結果として仲間の為に、会社、お客様の為に、そして社会の為に頑張れるのだと思います。

「人間性、社会性の高い選手は仲間の為にハードワークできる」

弊社の社員もそうなってほしいと思います。「Be a Trusted Partner」という長期経営ビジョンが価値観の統一を促し、人間性を高める動機づけになればどんな状況にも立向かえる強い組織になるでしょう。お客様のために、仲間の為にハードワークできるような…そしてそれは自分のために。

2019年9月

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