社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2019年05月01日

令和時代を予測する。デジタル時代に持続的成長するために!
~ITは便利に貢献するソリューションで変化は激しいが、コトの本質は不変~

新緑

いよいよ令和時代に入りました。日本の人口(平成29年10月時点)を元号別に割合で見ると、昭和生まれが73.0%、平成生まれが25.6%、明治・大正生まれが1.3%となっているそうです。令和時代が仮に25年から30年続くとして、私も含め昭和戦後生まれの人たちは人生100年時代とすると、その次の元号まで4つの時代を生き続ける可能性が多分にあるという事ですね。それまで心身ともに健康でありたいものです。

さて4月に新元号が発表されてから平成を振り返り、令和を予測するという類の記事がそこかしこに見当たります。それに乗じるわけではないですが、このコラムで令和時代のITがどうなるのかを考えるのも一興かと思い、私見で無責任な予測をしてみる事にしました。
まずは環境変化について確実に起こる事は、東京オリパラ、大阪万博、消費税10%(2019年10月の可能性は75%)、超少子高齢化社会=生産年齢人口(15歳~64歳)の激減(図1)。一方で新興国の人口爆発と成長。そして5Gを皮切りにした本格的なデジタル時代の到来です。
次におそらく起こる事(確率50%以上)として思い浮かぶのは、安倍政権連続4選、習近平中国国家主席の3期目続投、トランプ大統領の2020年再選、米中の貿易摩擦から冷戦へ。日本は両大国とのバランス国交と観光立国、外国人労働者の受入でGDP減少に歯止め。超高齢化社会に伴う福祉財源不足対応として、年金減や税収増、医療費増などの施策。電子決済の進化など。 予測が難しいのは、ブレグジット(=Brexit、イギリスのEU離脱)の行方、中国共産党支配の継続、日本の憲法改正などでしょうか。

これらの環境変化を踏まえてITビジネスはどうなるか、大胆予測してみたいと思います。 まずテクノロジーの進化は留まることはないでしょう。デジタルトランスフォーメーション(DX)の3要素で言うと以下となります。

  • アルゴリズム領域:AIの進化
  • ビッグデータ領域:IoTや各種センサー、衛星画像などで世の中を全てデジタル化した良質なデータの集積
  • インフラ領域:データを快適に稼働させる5Gやクラウド、量子コンピュータなどの進化

これら要素技術を活用して自動運転、自動翻訳、各種ロボット、ドローン、介護サービスなどのソリューションも進化するので、少子高齢化社会に対応するためにもDXのニーズは増加の一途を辿ります。ソサエティー5.0(Society 5.0※1)は、日本政府が提唱する未来社会のコンセプトで、DXにより先に述べたような経済発展と社会的課題の解決を両立する、新たな未来社会を創ろうというものです。つまりは民間だけでなく公共も合わせてDXニーズが増加するという事です。

もう一つのキーワードは同じく政府・経産省の言うところの「2025年の崖」です。この説明は先のコラム※2で述べていますので割愛するとして、わたしの肌感覚ですが基幹システム再構築の需要は2025年までにはこなし切れないと予測します。これはIT人材の不足というよりも、需給GAPが埋められないからであり、結果として2030年くらいまでピーク需要を山崩ししてこなすことにならざるを得ないでしょう。生産年齢人口は確実に減少しますが、実質的な労働人口を維持するためにシニア(65歳→70歳)、女性、外国人の活用とAI、ロボットなどによる生産性向上をIT業界は特に進めていきます。加えて新卒・キャリア共に採用増を継続しますが、それでも追い付かないと思います。問題は2030年以降基幹システム再構築の需要がピークアウトした後にどうなるか、ということですが、私は先の見通しを楽観視しています。世の中とテクノロジーの変化が続く限り、企業の基幹システムおよびDXも変化対応するので令和時代のIT需要は衰えることはなく、ITサービスの内製化が低い日本のITサービス業界はGDP以上の伸びを示すでしょう。

ではそういった時代を見据えて当社は何に取り組むべきか、ですがITは変化が激しく先を読むのは5年先でも困難です。先日、お昼休みにいくお店で観たテレビ番組で、平成元年の女子高生の三種の神器としてポケベル、プリクラ、使い捨てカメラがあり、それが今日ではスマホ一つで賄えている、という話題がありました。この番組はITの進化を言いたかったのですが、進化の一方で女子高生のやりたかったコトは、仲間内のコミュニケーション、記憶、記念としての画像の共有、お手製のコンテンツ作成とその共有などですが、それは今も昔と変わっていないと私は思いました。便利さや即時性、共有性、エンタメ度合いなどが高まる方向へ人は志向するのであり、ITはそれらを加速するソリューションで変化は激しいが、コト(=志向する対象)の本質はあまり変わらないという事なのでしょう。

当社は長期経営ビジョンに「Be a Trusted Partner」というものがあり、お客様に信頼され、共に成長することを標榜しています。これは言い換えれば、ITの変化動向にアンテナを立てたうえで、お客様のコト(課題の本質)を理解して最適なソリューションを提供し続ける事を言っています。令和時代はお客様が企業価値としてSDGsやSociety5.0といったコトを志向する訳ですが、その具現化に必要なITソリューションを提供していきたいし、それを愚直にやり続ける事で持続的成長を続けたいと思います。

余談になりますが、日経ビジネスの巻末にある「賢人の警鐘」で富士フィルムの古森会長が「社会情勢や技術動向を敏感に感じ取り、数年先を予測したうえで会社としての対応策を準備する。そしてそれを実行し成功に導く。」ことが経営者に求められると言われています。古森会長ほどのカリスマな経営リーダーシップはなかなかできないまでも、ある程度までは先を予測したうえで経営していきたいと思い、今回は不遜にも私見を述べましたがいかがだったでしょうか。

201905_2L.png

図1:総務省 我が国の労働力人口における課題 より
(クリックして拡大できます)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html

※1:Society5.0
https://www.gov-online.go.jp/cam/s5/

※2:デジタル・トランスフォーメーション(DX)と「2025年の崖」
https://www.kobelcosys.co.jp/column/president/20181201/

2019年5月

ITの可能性が満載のメルマガを、お客様への想いと共にお届けします!

Kobelco Systems Letter を購読