毎月更新中!社長通信 社長・田野美雄が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2019年04月01日

IT人材の適性に文系・理系は関係ない
~気にしているのは日本だけ?日本人はパターン化がお好き~

チューリップ

今日は新元号の発表がありますね。さて皆さんの感想はいかがでしょうか。それはさておき、4月は入社式から始まりますが多様な新入社員を各社が迎え入れたことと思います。当社も例年より多めで45名(子会社を含め64名)を迎え入れました。昨今のIT人材の需給ギャップは深刻ですが、それを解消するためには新入社員の増強と早期育成にかける事が、急がば回れとなると信じています。デジタル変革(DX)時代に突入し、ITニーズが多様化し膨張していく中でITサービス市場は当分の間は成長を続けるでしょう。その成長に取り残されないように人材の確実な増強と技術変革への追随という質と量の充実を図っていく事が当社のリソース戦略となっています。

さて今月のテーマは新入社員の属性を俯瞰して思うところがあったので、それを題材にしました。例年の当社の新入社員を属性で区分すると、男性:女性=3:1、文系:理系=3:2、関西:関東=3:1となっていたので、こういうバランスが当社には良いのかなと思っていたのですが、本年は文系:理系のバランスが変化し80%弱を文系が占める結果となっています。3月23日の日経新聞の一面トップでも「理工系採用未達深刻に」という見出しで、AI/IT人材の不足と供給源としての理系人材の採用難を取り上げていましたので、そういった影響もあるのかもしれません。

当社では本年度の新卒は例年の5割増しで採用をしたので、採用基準を緩和して量を確保したのではないかと人事部に確認しましたが、それはしていないとのこと。それでは理系の学生応募が売り手市場で獲得競争が激しく採用数が増えなかったので、結果として文系の比率が上がったのかと問うと、それはそうかもしれない。ただし、採用基準の適性テストや面接に文・理の区分はしていないという事でした。当社の適性テストは能力面とパーソナリティ面とを把握するもので、その診断には採用後の能力評価との検証結果から見て一定以上の信頼を置いています。能力面ではさらに論理的理解と計数理解に分けて診断結果を出していますが、着目すべき点はその結果において文系・理系は関係しないという事です。私はITサービスに従事する優秀な人材と多く交流してきましたが、その中で以前から感じていた仮説に「IT人材の適性に文系・理系は関係ない」がありました。そこで今回の新卒属性分析を契機に当社の部長格以上の上位マネジメントの属性を調べたところ、文系:理系=21:22でほぼ同数でした。さらに次長格以上で確認してみると文系:理系=11:9と文系がやや優勢でした。そもそも当社全社員における文系比率が60%強であり、営業系が8%、本社スタッフが同じく8%いますので、この結果だけで仮説が正しいと主張するには弱いと思いますが、それでも80%強の社員がITサービスのデリバリー従事者で、上位マネジメントの半数強が文系である事は仮説を裏付ける一定のメッセージではあります。

私自身は経済学部出身ですが、中学高校時代に理数系が不得手であったわけではありません。理系でも良かったのですがたまたま高校の担任が文系の方が企業経営に関われる機会があるよ、との言葉を進路相談時にかけてくれたのでそれに乗っただけの動機です。おそらくこのコラムを読まれている方々も文・理の分岐判断はそれほど明確でなかったのではないでしょうか。日本の基礎教育は高いものがあるので、当社を入社志望する学生には一定レベルの理数系素養が文・理を問わず備わっていることが適性テストの結果からわかっています。加えてIT人材には計数理解力や論理的理解力といったIQ要素も必要ですが、コミュニケーション力やリーダーシップ、人間力、向上心といったEQ要素も同等以上に重要です。ではIQ要素は理系優位だがEQ要素は文系優位といった仮説(というか思い込み)が正しいかというと、これもそうではないですね。理系は口下手で人づきあいが苦手、などのパターン化は必ずしも当てはまりません。

ということで、文系でIT業界に入った皆さん、出身学部によるハンディキャップはIT業界には存在しませんので安心してください。文系学生は大学の授業やゼミでのプログラミングや論文作成などを経験しないケースもあるので、新人研修時点では差を感じる部分があるかもしれませんがすぐにキャッチアップ可能です。(でも論文を書く訓練はしてもらいたいものです。※1)そしてこれからのスキル強化に努めれば次世代のエースとして期待されることになるでしょう。将来のキャリア形成に向けて自信を持って自己研鑚に励んでもらいたいと思います。

ところで文系・理系といった大雑把な区分があるのは日本だけで海外では存在しないようです。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で「文系と理系」※2を閲覧したところ以下のような記述がありました。

“そもそもこんな区別があるのは、発展途上国の特徴である。黒板とノートがあればすむ文系にくらべ、理系は実験設備に金がかかるので、明治時代の日本は、学生数をしぼらざるをえなかった。そこで数学の試験をし、文系/理系をふり分けることにした。入試問題が別々なので、その前の段階で文系/理系を選択しなければならない。
-橋爪大三郎、『橋爪大三郎の社会学講義2』(夏目書房、1997)63頁”

この名残が今に至っているのでしょうか。これに限らず日本には血液型という大くくりされた性格パターン区分もありますね。人間の性格を大雑把に4種類のパターンで区分し、A型はやさしくまじめで神経質、B型はマイペースで陽気、O型はおおらかで感情的、AB型は合理的…などと言われていますが、こんな根拠のない決めつけをしているのも日本だけのようです。このパターン化は私が中学生のころ(1970年前半)に能見正比古氏が「血液型人間学」を出版し一大旋風を巻き起こしてから始まったのだと思います。私も一時はのめり込んだ記憶があります。これがはやったのも日本人がパターン化が好きだからなのでしょうか。恐いのは選挙の論戦においても大雑把な論点で、郵政民営化か否か、憲法改正か否か、とか大阪都構想か否か等で誘導され、その政治家の好き嫌いだけで問題の本質に踏み込まずに判断してしまいがちなことです。パターン化のトラップには気を付けたいものですね。

※1:2017年06月 論文のすゝめ
https://www.kobelcosys.co.jp/column/president/20170601/

※2:ウィキペディア「文系と理系」より抜粋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E7%B3%BB%E3%81%A8%E7%90%86%E7%B3%BB

2019年4月

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