社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2006年09月04日

第一回コベルコシステム経営塾を終えて
サーバント・リーダーシップをめざして

次世代経営幹部の養成を目的にした第一回コベルコシステム経営塾が先日終了しましたので、その概要と私なりの学びと気づきにつき報告します。

7月5・6日、7月28日、8月25・26日と3回の研修を、リーダーシップ研究の日本における第一人者の神戸大学金井壽宏教授の全面的なご指導と全日程でのご教授をいただき、主として14名の部長クラスを塾生として開催しました。塾長の私も全日程参画し、適宜討議にも参加し共に学び共に色々と啓発された有意義な研修であったと実感しています。
リーダーシップに絶対唯一の正解はなく、結局は自らのライフステージの各段階で経験する種々の「一皮むける経験」を元に自分の「リーダーシップ持論」を創り出し、進化させていき、そしてそれを上司や部下や仲間とシェアしていくことが最も大切な事だと学びました。既に塾生の多くは部門の皆さんとリーダーシップについてのシェアを始めています。

リーダーは「大きな絵を描き自ら率先して変革をフォロアーと共に実行する」人であり、その為にはリーダーシップの2軸である課題面(パフォーマンス、ビジョン、戦略等)と人間面(エモーショナル、人脈ネットワーク、モチベーション等)の2つの軸をバランス良く最高に発揮し、統合することが強く求められます。これは単に組織のリーダーに求められているだけでなく、プロジェクト・マネジャーやプロジェクトリーダーの皆さんにも求められているリーダーシップのあり方です。ぜひPM、PLの皆さんも自分のリーダーシップについて再考してみて下さい。

又リーダーは常に戦略的発想をすることが必要です。目的意識を明確にして行動し、枝葉末節にとらわれず根源的に考え、部分最適ではなく全体最適を常に思い、短期のみならず長期的視野に立ってしかも選択とプライオリティを明確にして発想し、心を込めて行動することが必要です。今回の経営塾の中で、サーバント・リーダーシップというリーダーシップのあり方について教わり、大変感銘をうけました。リーダーの仕事はサービス業であり、あたかもお客様に奉仕するように、部下の成功に尽くすことこそがリーダーであるという考え方です。主役は現場を担当する部下であり、上司ではありません。又リーダーが従僕であるということでは決してありません。

ヴィジョンと方向性を示し、目的地に船を航行していく責任はすべてリーダーにあります。私達はお客様の夢を共有し、お客様の成功に貢献することを経営ヴィジョンとして掲げています。お客様の成功に真の意味で尽くすことを宣言しました。サーバント・リーダーシップはこの経営ヴィジョンの実現に尽くすことも意味しています。会社全体でお客様の成功に尽くし、リーダーは部下の成功に尽くし、本社部門は現場の成功に尽くし、そして社員はお客様の成功とヴィジョンの実現に尽くすことが広義のサーバント・リーダーシップであると考えます。このサーバント・リーダーシップの考え方は当社の経営ヴィジョンの実現には大変適した重要な考え方であり、今後当社において展開していければと考えています。

戦略論の中ではBSC(バランスド・スコア・カード)もとり上げ、宝酒造様の事例発表と神戸大学三矢裕助教授の大変力のこもった有意義な解説とガイドをいただきました。当社のBSCは全社に於ける方針管理、目標管理の仕組みとして「財務、お客様、内部プロセス、成長と学習」の四つの視点をバランスをもって推進して行く為に部長クラスにまで導入しました。本年よりBSCを全社の戦略推進の為の経営ツールとしても活用するように試みています。BSCは「成長と学習」の視点の目に見えない資産である人財や組織のケイパビリティの向上、組織文化・風土の醸成が経営におけるすべての基礎であり、それを基にして組織プロセスの変革を行い、お客様に価値提案を行い、結果として財務業績の向上につながるという経営哲学をもっています。そしてBSCはサーバント・リーダーシップの支援ツールでもある事も気づかされました。戦略マップは出来上った戦略や施策を因果関係でつなげ見える化をはかるためのツールというだけではなく、戦略や施策を立案するための文字通りの戦略を絵に立案するツールであり、その為には「数年先に食べたいモチ」が何であるかを明確にし、戦略MAPを作ることが最も大事であると教えられました。

私達コベルコシステムは2008年に一流SIerになることを宣言しました。そしてこれを実現するには1人ひとりの社員が一流のプロフェッショナルにならなければ達成できません。一流の事業ユニット、一流の部門、一流の社員の集りこそが一流企業の証しです。そしてその為に最も強く求められているのが正に一流のサーバント・リーダーです。今回のコベルコシステム経営塾の実施を通じて上記のような想いを強くした次第です。最後に紙面を借りまして、終始暖かくご指導いただいた金井先生に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

2006年9月

代表取締役社長(当時) 酒井哲夫

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