社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2006年03月06日

堀江氏と三木谷氏にみるベンチャービジネスの成功と失敗

ITベンチャーの雄、時代の寵児としてもてはやされていたライブドアの堀江貴文氏−ホリエモンと、同じく六本木ヒルズ族の代表である三木谷浩史氏率いる楽天。片やM&Aを繰り返し、時価総額最大化経営をうたい、片や経常利益率28%の超優良会社へと大成長を遂げています。二人は、性格、人生観、起業動機、経営Vision、両社の起業風土、そしてリーダーシップスタイルなど、多くの面で対極にあります。その差はつきつめると両アントレプレナーのリーダーシップの差に辿りつきます。

リーダーシップ理論のPM理論によると、リーダーシップ行動は

  1. 課題軸(P軸:Performance)
    =集団として課題、仕事の達成に直結した行動
  2. 人間軸(M軸:Maintenance)
    =人間として部下への思いやりや集団としてのまとまりの維持に結びついた行動

によって表されます。そしてこの課題軸、人間軸の二つの軸でともに高いスコアを示す行動のスタイルが最も普遍的で有効なスタイルと云われています。

さて、このPM理論で見るかぎり、堀江氏は典型的なP型リーダーであり、三木谷氏はPm型(ラージPスモールm)リーダーと云えます。堀江氏はM軸(人間軸)への配慮がなかったため、周囲や先輩、サポーターの意見を聞かず独断先行してしまい、結局破滅してしまったといえる一方、三木谷氏はバランスのとれたPm型リーダーシップを発揮し、また人の縁や人脈を大切にするネットワーク型リーダーとしても有効に行動し、抜群の効果的なリーダーシップを発揮してきたと言えます。

コンプライアンスに厳しく対処し、高い企業倫理をもって経営することは、このリーダーシップ発揮の前提条件ですが、堀江氏や挫折したベンチャー経営者は倫理面で失脚するケースが多く、こうなる奥にはリーダーシップのあり方の誤りが密んでいると考えます。企業におけるリーダーシップの発揮を考える時、このようなP(課題軸)とM(人間軸)とのバランスを高いレベルに保つことを常に念頭に置いて行動する必要があります。組織のマネジャーに限らずプロジェクトにおけるプロジェクトリーダーも同様です。

組織でもプロジェクトでも当然一人では成り立ちません。コベルコシステムがめざす「自立」も人々の中で協調し切磋琢磨しながらの自立でなくては意味も価値も持ちません。人々のネットワークの中で生かされ、そしてその中で自立して行ってこそ、事業の遂行と成功はもたらされると、私は考えています。

M型(人間軸)リーダーを更に進化させたネットワーク型リーダーシップ(人の縁を大切にする)や、サーバント・リーダーシップ(ビジョンや理論を共有し、スタッフを支持し、導く)は、IT革命による社会変革の進む中、今後益々必要になってきます。

コベルコシステムにおいても、マネジャーのみならず社員の一人一人が随所に主となり、当事者意識を持って、課題軸でも人間軸でも高いレベルでのリーダーシップを発揮することが会社の「自立と成長」の要、ひいてはお客様の夢を実現する企業になることだと考えています。

(敬称を略させていただきました)

2006年3月

代表取締役社長(当時) 酒井哲夫

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