社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2005年11月07日

熊野古道 小辺路(こへじ)を歩く

昨年7月にユネスコの世界遺産に選ばれた「熊野古道 小辺路ルート」を山歩きの仲間15人と一泊二日でトレイルしてきました。

熊野古道は昔「蟻の熊野詣」といわれた熊野三宮への参詣道でした。いくつかのルートがあるが、私達は高野山から熊野本宮までの山や峠を越える高野熊野街道とも呼ばれる小辺路ルートの一部を美しい紅葉の中歩いてきました。

熊野古道というのは中世日本最大の霊場であった熊野三宮へ続く信仰の道であり、日本中のあらゆる階層の人々が様々の願いを込めて歩いてきた祈りの道でした。後白河上皇はなんと33回、後鳥羽上皇は28回も自らの足で詣でられたといいますから、この信仰の篤さは半端ではありません。又この熊野は日本民族の建国神話にまつわる重要な地でもあります。
初代天皇の神武天皇が日本統一時この熊野から奈良に攻め入りようやく日本の建国を果たしたとされている逸話が残っています。

この山歩きの会をスタートして15年になり、今回は20回目の記念の会ということで、熊野小辺路ルートを辿り、その途上にある標高1324メートルの伯母子岳(おばこだけ)に登山することになりました。初日はケーブルカーで高野山に上り、バスに乗り継ぎ、4時間程、霧雨の中宿泊地の野迫川村にあるホテルまで、小辺路を歩きました。

2日目は昨日とは打って変わって突き抜けるような青空の秋晴れとなり、朝8時ホテルを出発し、いきなりの急坂をあえぎあえぎ、約7kmの行程をのぼりつつ、紅葉に真っ赤に染まる奥高野の山々と木々を眺めながら、昼前に伯母子岳山頂に到達しました。山頂からの大峰山麓等、紀伊山地の雄大で神秘的なパノラマと赤く染まる山々の美しさに心を奪われ、登頂の感激にしばし浸りました。帰途は伯母子峠を越え、今度は急な下り坂を足腰の痛みを耐えつつ小辺路のもと来た道を引き返しました。

大自然につつまれ、歴史に刻まれた小辺路ルートのトレイルを心ゆくまで満喫し、身も心もリフレッシュ出来た2日間でした。

この山歩きの会は竹中工務店様のIT部門の方々と、当時担当の日本IBMの山好きな連中がはじめ、そこにコベルコシステムの有志も加わり15年20回を数えるに至りました。よくもつづいたものと思います。正に継続は力なりで、多くの関西の山々を歩き、登ることができ生涯に残る思い出をいくつも刻むことができました。体力の続くかぎりこの会をつづけたいものと思っています。山好きの方は是非ご参加下さい。大歓迎です。

さて、日本の建国につながる熊野古道を歩きながら、ついつい日本人の原点とは何だろうと考えていました。それはやはり和と誠を尊ぶ大和魂ということかと思い至りました。
万物と共生をする自然観、どこにでも神が遍在するという八百万(やおろず)の神の概念、そしてそれらから芽生える運命共同体的社会のあり方が私達の原流にあります。
そして日本的経営も根はここにあると思います。

企業は運命共同体であり、ある種家族であり、従って全員の共通の利益のために、長期的な組織の維持繁栄こそを最大目標とする集団主義的な日本的経営がここから生まれてきたものと思います。

私達も経営の原点を考える時、この和と誠を基本とした日本的経営に立脚する事が必要だと改めて考えた次第です。

2005年11月

代表取締役社長(当時) 酒井哲夫



記念する 紅葉の小辺路 20回

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