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2021年01月01日

SDGsで三方よし

テレビに映る政治家やコメンテーターが胸にカラフルな丸い形のバッジをつけているのを見た人は多いのではないでしょうか?同様のマークは電車や雑誌の企業広告でも目に付くのですが、このバッチやマークの意味することはあまり知られていないようです。中にはオリンピック関係のバッチと勘違いしている人もいます。

SDGsカラーホイール

図1:SDGsカラーホイール

このバッチはSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)活動の一環で用意され、SDGsに取り組み、賛同している人であれば、だれでも自由に身につけられます。SDGsとは2015年9月の国連サミットで満場一致で可決された2030年までに達成すべき国際目標のことで、貧困や雇用、差別、気候変動などの問題を解決する17の大きな目標と、その下に169の具体的なターゲットが設定されています。バッチの17色は、濃い目の緑が「13 気候変動への対策」、薄めの青は「14 豊かな海を守る」というように各目標に対応します。SDGsは企業や自治体だけでなく、全ての人が達成すべき目標です。例えば、環境負荷の高いプラスティックの使用を減らすためのレジ袋有料化や紙製ストロー利用は、我々個人のSDGsに向けた具体的な活動です。

17のSDGsアイコン

図2:17のSDGsアイコン

企業におけるSDGsを社会や環境をよくする活動というと、社会貢献活動と捉える人がいるかもしれませんが、大きな違いがあります。企業にとってのSDGsとは、社会課題に事業活動として取組むことで、企業自身が持続的に成長し、価値創造することです。つまり、「事業で儲けるためにも、SDGsに本気で取り組もう」ということです。特にヨーロッパ各国はSDGsに積極的に取り組んできていますが、日本でも取り組む企業が増えてきたところです。
企業が事業活動の一環としてSDGsに取り組む理由は大きく3つあります。

まず1つ目は、企業が継続的に成長し、収益を上げていくために、大きなビジネチャンスや有望な市場を確実に捉えていく必要があります。SDGsの7つの目標や169のターゲットは、企業にとってのビジネスチャンスです。例えば、SDGsのエネルギー問題に取り組み、自動車、飛行機、電車、船舶などの移動手段のために再生可能エネルギーを本格活用する技術や製品を実現していければ、企業は新たに大きな収益を上げることができます。SDGsの各目標とターゲットはそれぞれが大きな潜在市場ですが、従来のやり方は通じません。SDGsの目標達成は、企業にとってのイノベーションとなります。

2つ目の理由は、企業に迫りくる様々なビジネスリスクを回避し、事業継続していくためです。企業が事業運営していくには、原材料調達、水資源やエネルギー確保、働き手確保、地域社会との関係構築などが不可欠ですが、至る所にビジネスリスクが潜んでいます。企業は規模の大小にかかわらず、調達先や販売先のサプライチェーンをたどると、世界のさまざまな地域と事業がつながっています。企業は発展途上国や各地域の抱える問題を解決することで、自社にとってのビジネスリスクを回避・抑制することができるのです。

もう一つの理由として、SDGsに積極的に取り組むと、企業や製品のブランドを高めることもできます。製品を選ぶ際に、社会、環境への取り組み姿勢が積極的な企業と消極的な企業の製品を比べると、SDGsに積極的な企業の製品を選ぶでしょう。採用においても同様です。SDGsへの取り組みを明確に示す企業は、意欲的で優秀な人材を惹き寄せることもでき、反対にSDGsに後ろ向きの企業は、若い世代の関心を得ることが困難になります。

とはいっても、企業がSDGsの取り組みを重ねても、必ずしも直ぐに目に見える経済効果に結びつかないこともあります。事業環境が厳しくなると、SDGs推進に否定的な意見もでてきます。このような場合は、自社にとってSDGsが将来の企業価値向上に効果があり、中長期的には財務面効果が期待できることを示すことも必要です。SDGsの取組み調査の企業格付けでは、上位にランクされる企業ほど営業利益率やROEが高い傾向があることが分かります。また、「三方よし」を経営哲学とする近江商人は、「売り手によし」と「買い手によし」で成立する商いに、「世間によし」を加えています。近江商人はSDGs実践で本業を伸ばし、多くの一流企業、長寿企業を創業してきたと見ることができます。

SDGsへの取り組み状況を業種別にみると、製造業は、他の業種に比べ先行しているようです。製造業の取り組み例では、製品ライフサイクルでの二酸化炭素削減や社内での再生可能エネルギー比率向上、脱プラスティックなど、特に環境関連の対策に力を入れています。

コロナ禍は、SDGs目標達成を難しくしているようです。国連はSDGsの進捗について、「道のりの3分の1まできたが、世界は2030年までの目標達成の軌道に乗っていない」と指摘しています。次の10年は、ポストコロナの新しい企業運営や働き方にシフトしつつ、SDGs目標達成へ行動していく年にしないといけません。日本の製造業が世界の先に立ち、目標達成を推進していくことを期待します。

2021年1月

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