2011年02月01日
コンポーネントの組合せによる製品のバリエーション管理の実現
「SAP-PLM」が持つ4つの特徴。
1. 最上流の構想段階から生産段階の各種部品表まで全ての部品表の統合管理を実現
2. コンポーネントの組合せによる製品のバリエーション管理の実現
3. 設計業務に対する基幹系情報の提供、CADデータ取込みなどの連携支援
4. 設計変更時、設計部品表と製造部品表の同期支援
前回は、「最上流の構想段階から生産段階の各種部品表まで全ての部品表の統合管理を実現」についてご紹介しました。 2回目の今回は、「コンポーネントの組合せによる製品のバリエーション管理の実現」です。
顧客要求の多様化と製品仕様の肥大化
私は通勤電車でよく携帯プレイヤーで音楽を楽しんでいます。回りを見渡すと多くの方がイヤホンを通して音楽などに聞き入られているのですが、私のよりさらに新しいモデルの携帯プレイヤーもチラホラ。私は「最近は同じ製品シリーズでも種類が豊富になり、選ぶ楽しみが増えたなぁ」とつくづく思います。
では、同じ製品シリーズにいくつの製品が存在するのでしょう?携帯プレイヤーを例にちょっと計算をしてみたいと思います。それには色・データ容量・ラジオ・画像再生などの仕様項目と各仕様項目の仕様値の個数(バリエーション)が必要です。
製品シリーズでのバリエーションの計算例
上記の例ですと1つの製品タイプに72パターンの製品が存在します。6色・3容量サイズなど、1つ1つの仕様項目の仕様値の個数はさほど多いように感じないのですが、製品シリーズ全体ではかなりの数になります。
前回、システム上で製品を表現するデータには品目と部品表があるとお話ししました。もうお分かりのように、この製品シリーズ全てを表現するには72パターンの部品表が必要です。この製品シリーズに共通の変更が発生すると、72パターン全ての部品表を迅速かつ確実に修正しなくてはなりません。このような顧客要求の多様化に柔軟に対応するには効率的な部品表の管理が必須です。
製品のバリエーション管理とSAP-PLM
では、効率的な部品表の管理とはどのようなものでしょうか? 以下の2種類の部品表のデータモデルをご覧ください。製品単位での部品表に比べると製品シリーズ単位の部品表は1つにまとまっており、前述のシリーズ共通の変更にも迅速かつ確実に対応できることがお分かりいただけると思います。SAPではこの製品シリーズ単位の部品表をサポートしており、「スーパーBOM」と呼んでいます。
製品単位での部品表 と 製品シリーズ単位での部品表「スーパーBOM」
さらに、SAP-PLMでは、この「スーパーBOM」をうまく作成・維持するための管理ツールを持っています。その主な特徴は以下の通りです。
特徴1) | 品目や部品表が未確定な構想段階から製品の構成を管理できる |
製品上の機能配置等や構造を「ノード」と言う概念を用いて大まかに構成していきます。その上で、各「ノード」の取り得る部品候補(バリエーション)を、「バリアント」として定義します。このノードとバリアントは適宜、登録・変更・削除が可能で、正式に品目と部品表が確定されるまでの構想段階の試行錯誤を支援します。同時に「開発中の製品シリーズにどの程度のバリエーションを持たせるのが最適か」を社内の各部門で早い時点から課題共有することができます。 |
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特徴2) | 製品シリーズの代表品目と製品ごとの品目を関係付けることができる |
製品シリーズ単位で部品表を管理するには、この製品シリーズに具体的な製品がいくつ存在するのかを関連付けて管理できなくては意味がありません。このツールでは、製品レベルに対応する最上位の「アクセス・ノード」とそのバリエーション「アクセス・バリアント」にて、製品シリーズの代表品目と個別製品ごとの品目を関係付けることができます。これによって受注時には代表品目としておき、詳細が明確になった時点で仕様情報を付加するとシステムが自動的に代表品目から個別製品の品目に変換する機能(販売バリコン)を実現しています。 |
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特徴3) | 製品を構成する部位ごとにバリエーションをグルーピングして管理できる |
製品レベルと同様に機能的な構造を「ストラクチャ・ノード」で表現し、そのバリエーションを「(コンポーネント)バリアント」で定義します。こうすることで部品表上のどの構成部品同士が代替の関係であるかが明確になります。さらにストラクチャ・ノードのバリアント間での関係性(ディスプレイがGraphicタイプならメモリは16G以上など)も併せて定義することが可能で、製品シリーズの中から仕様にしたがって個別製品を選択する際のサポートに活用できます。 |
製品シリーズ別部品表の管理ツールのイメージ
製品バリエーション管理のまとめ
このようにSAP-PLMは、製品シリーズ別の部品表を持つだけでなく、その特性に応じた管理ツールも備えています。また、SAP-ERPからこの製品シリーズ別の部品表を活用することで、製品開発後の調達・製造などの日常業務において、受注時の販売バリコン、生産計画時の製品バリエーション自動配分などの各種機能を用いることで業務効率向上が図れます。
多様な顧客要求に迅速に対応すべく、各企業は製品バリエーションの見直しを迫られています。その結果、製品バリエーションを決定づける仕様は複雑で多岐に渡るものとなり、それらを維持・管理するには多くの労力が必要となっています。また、膨大な仕様の組合せの中から最適なものを顧客に提案するには、幅広い知識・ノウハウが必要とされるため、その運用は困難を極めています。
これらの課題解決に向けて「SAP-PLM」は大きな貢献を果たしていきます。
2011年02月
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