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2010年05月01日

生産管理システム構築の10ポイント ⑩
原価管理に必要な生産情報

原価管理方式には標準原価方式と実際原価方式があります。
標準原価方式では原価の標準値を設定して、工程処理量より月次決算の原価を算出し、実際に発生した費用と突合せして原価差額を求め、ある期間の原価差額を集約して売上原価、製品原価、仕掛原価に配分します。
実際原価方式では工程処理量と実際に発生した費用より実際の原価を求め、原価差額は発生しません。したがって、実際原価が『真実の原価』であると思われていますが、実際原価の中には、価格・能率・操業度など、原価に影響を与える要素が、偶然的に混在しており、充分注意する必要があります。
実際原価の計算は、全ての費目の金額が判明してからでないと行えないため、タイムリーな原価情報を提供できないという問題もあります。
どちらの原価管理方式がよいかは企業により異なりますが、標準品を生産している製造業では標準原価方式を採用されている企業が多いようです。標準原価計算を採用することで、偶発的な価格変動や操業の変動で会社業績が左右されません。
どちらの原価管理方式を採用する場合でも製造標準、生産実績等の生産情報は必要不可欠であり、原価管理の精度向上には生産情報の精度を向上させることが必要となります。原価管理においてどのような生産情報が必要かについて装置系の標準原価方式を例としてご紹介いたします。
ここでご紹介する原価管理のしくみは標準原価計算→月次原価計算→原価差額計算の機能に限定してご説明しており、各々について原価管理の概要と生産情報の関連を図示しております。

月次原価計算と生産情報関連図

原価差額分析と生産情報関連図

原価管理に必要な生産情報をまとめると以下のようになります。
※ ◎必須と思われるもの

原価管理ステップ 必要な生産情報
標準原価計算 標準原価の計算に必要なもの
◎ 製造標準(部品構成、処理工程、処理時間等)
○ 生産計画(年度または半期の製品別の生産量)
月次原価計算 標準原価より月次原価算出に必要なもの
◎ 生産投入量および生産量(工程別の実績)
○ 作業時間、稼働時間等(月次原価の計算に必要ならば)
原価差額分析 原価差額が発生した理由を分析するために必要なもの
◎ 標準原価計算において配賦、直課する基準値に対応した生産、工程実績が必要
(標準と実績の生産・操業差異により原価差額が発生する)       

2010年5月

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