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2009年12月01日

生産管理システム構築の10ポイント ⑤
生産指示における適切な製造ロット編成

生産指示とは一般的に生産計画において確定した製造ロットを順次製造現場に生産依頼されることです。
生産指示の方法は企業、業種により様々であり生産計画がなく、受注情報よりそのまま指示を作成することもあります。また、生産指示には顧客からの受注情報のみでなく、販売予測により先行手配するものもあります。下記は生産指示とその周辺機能の事例を図示したものです。

生産指示とその周辺の事例

<生産指示と製造ロット>

生産指示は生産対象オーダーより原材料の引当可否、納期、工程負荷を見ながら現業部門にリリースしていきます。生産指示は納期、製造リードタイムより製造着手日を設定して順次生産指示を行いますが、工程異常、特急品の発生、原材料不足等により人的調整が必要なことがあります。
生産指示を行う上でもう1つ考慮しておきたいことは生産指示における製造ロット数のことです。
製造ロットは工程処理される単位となり、製造工程の形態、仕掛・製品管理単位により異なりますが、この製造ロットの大きさにより工程管理を複雑にする場合もあります。
生産工程には最適ロットがあり、少量では生産性がダウン、多量では工程仕掛の増加が発生したりします。製造現場では生産指示単位に作業を行なったり、勤務時間単位で作業を行ったりしており、工程管理面からどのような大きさの製造ロットにすれば作業効率、管理効率がよくなるかを考慮することが必要です。生産指示における製造ロットとして以下のようなものがあります。

  • 受注単位のロット
    大型機械または特注品の製造において1受注で数量が数台の場合は製造ロットを1台づつ分割することがある。1製品毎のロットトレースが必須の場合はこの方法となります。
  • 工程の処理能力、生産性により集約・分割したロット
    標準品の製造に適用されるものであり、製造工程において人がハンドリングできる範囲で数量を集約・分割します。
    製造数量が大きなものは分割、小さなものは集約して製造ロットを編成します。製造ロットの適正化により工程前の仕掛在庫を減少させ、円滑に工程を流すことができる。
  • 材料引当単位のロット
    主材料の引当ロット単位に製造管理が必要な場合に適用されます。生産指示に対して材料を引当した単位に製造ロットを作成するものです。引当するときにロットの適正化の考慮が必要な場合があります。装置系の製造指示ではほとんどがこの方法により製造ロットを作成しています。

自動車部品を製造している企業の事例ですが、顧客への納入予定は月2回あり、その納期で部品の生産指示を行っていました。1つの指示は顧客の半月分の必要部品であり、その製造ロットはいくつかの工程を通過します。7-10日要する工程、1-2日で完了工程等があり、日数を要する工程では工程前に仕掛品が山積み状態になっていました。また、日数のかららない工程では手待ち状態が発生していました。
この企業では当月の工程負荷量より工程ラインの能力を調整しなかった訳ではありません。
製造部門では管理ミスを少なくするため、製造ロットの単位に工程処理することにしており、製造ロットの大きさによりこのような状態が発生していました。
ここで工程処理量を加味して大きなロットは分割、小さなロットは統合して製造ロットを編成した結果、工程が円滑に流れ、工程仕掛が減少し、リードタイムが短縮できたということです。

生産指示の製造ロット編成方法により工程間の物流、工程進捗に対してかなり影響があります。
工程および製品管理の両面から製造ロットをどれくらいの大きさにしたらよいかを考慮してみてはいかがでしょうか。

2009年12月

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