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2009年10月01日

生産管理システム構築の10ポイント ③
受注処理機能の重要性

製造業では何らかの生産管理システムが導入されて業務を運用しており、ほとんどの企業がコンピュータシステムに依存した仕組みとなっております。生産管理における生産計画、材料手配、製造、出荷等の各業務は受注処理により登録された受注情報に基づいて処理されています。不整合な情報、間違った情報が受注情報として受付された場合には生産管理全般において機能障害を引き起こし、生産活動ができなくなります。
受注情報は生産管理における入り口情報として極めて重要な情報であり、種々のチェック機能を通過し、生産に必要な情報が付加されて生産管理の各業務に情報を提供しています。
下記は受注受付機能の概要と他業務との関連を図示したものです。

受注受付機能の概要と他業務との関連図

顧客から受付する受注情報を利用して各生産業務が行われています。そこで受注・生産関連情報についての主な関連業務とシステム上の考慮点を下記にまとめたものです。

受注・生産関連情報 考慮すべきポイント 主な関連業務 システム上の考慮点
生産計画 生産指示 購買 在庫管理 出荷 売上以降
製品 製品変更 - 基本的には変更前品名の取消、変更後品名の追加として処理し、変更前品名の対応は以下となる。
1.生産段階の場合
・ 該当オーダーが生産指示前の段階では生産再計画で対応可能であるが、部材発注済みは対応処理必要。
・ 生産指示済について生産中止の判断は工程管理担当者の処理にまかせる。システムで出来ることはオーダーのひもつき生産の場合、ひもつき解除する程度。
2.在庫品の場合(生産後在庫、在庫引当)
・ オーダーひもつきをフリー在庫に変更
・ 出荷指示済みの場合は変更不可にする必要あり。現物が既に出荷済の可能性があり、人的による対応が必要。
数量変更 - 基本的には数量の減少は上記と同様に減少分を取消として処理することが妥当である。増加分については生産では追加指示扱いとなり、在庫、出荷関連では増加に対するシステム的問題は少ない。
仕様 製造仕様変更 - - 製造標準の変更は変更の度合いにもよるが、部材発注、生産指示が既にされている場合は製品変更と同様の処理を行なうことがベターである。
出荷 数量分割出荷納期 1受注に対して数量分割出荷は発生するものとして納期、納入先単位に情報を分割できるようにしておくこと。
出荷特記 - - - - - 顧客からの出荷に関する要望であり、営業より特記として自由に記載できるものを設ける。
納入先 - - - - - 納入先は出荷単位に設定すること。納入先は受注時は未決定、現場へ直送等があり、コード化できないことが多い。(郵便番号で住所表示)
納入先の変更は出荷指示後は変更不可にすること。
預り品出荷 - - - 預り売上(下欄参照)したものを出荷することである。預り売上した段階で社内在庫より払出し、別在庫として取り扱うことが必要。売上は預り売上で計上するため出荷では売上連携しない。
金額 単価、金額 - - - - - 単価は仮単価、未決定の運用が必要であり、単価決定の機能を別途設定すること。仮単価の場合は仮売上可能であるが、未決定の場合は売上計上できない。
請求先 - - - - - 顧客(含一次、二次)マスターに請求先を設定することが通常であるが、請求先の変更があることを考慮すること。
JV分割 - - - - - ゼネコン、土木関連受注にはJVがあり、複数ユーザーで売上を分割して請求する場合を考慮しておくこと。(JV:Joint Venture 協同企業体) 
預り売上 - - - - - 生産または在庫引当して売上のみ計上し、現物は出荷しない。出荷は預り出荷で行なう。預り売上したものは社内在庫より払出し、別在庫として管理することが必要である。
受注取消 受注取消 生産指示、出荷指示されている場合は基本的には取消不可にすることがベターである。この場合、生産指示、出荷指示を取消して受注取消ができるようにする。在庫引当されていれば、在庫ひもつけの解除が必要。生産指示済でも受注取消可能とする場合は前期の製品品名変更の変更前製品と同様の処理が必要である。

上記は生産管理における項目の関連をまとめた一例であり、項目・内容は業種、企業によって異なります。
受注情報は生産業務全般に対して情報を提供しており、生産管理の重要な位置づけにあります。
受注情報と業務の関連ついて上記のようなまとめを行うことで、項目の関連性、考慮点が明確になり、システム設計における漏れを事前に把握することができると考えております。

2009年10月

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