2025年01月01日
スポーツから学ぶ、相手に対する「リスペクト」
~ダイバーシティ推進に向けて~
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
この年末年始も多くのスポーツ大会が開催されました。各競技にはその競技に精通した人にしか分からないルールが多くありますが、そのなかにはルールには定められていなくても、慣例として行われている、あるいは行ってはいけない「暗黙のルール」も存在します。
例えば野球では「点差の離れた終盤にバントや盗塁をしてはならない」、「殊勲の本塁打を打った後でも相手に向かって大喜びしてはいけない」。卓球やテニスで「ネットインしたら相手に謝る」。卓球で「11-0と完封勝ちしてはいけない」と相手にわざと1ポイント与えることは、その是非をめぐってニュースで話題になったこともありました。
意外と知られてないところでバスケットボールには「ガベージタイム」という時間があり、残り時間からすでに勝敗が決している場面では「ダンクなどの派手なプレーをしない」、「相手のシュートに無用な反則はしない」とされています。これも「残り何分で何点差」と決められているわけではないですが、一つの目安として控え選手が経験を積むために出場するようになったら「白旗宣言」でガベージタイム突入とされています。
いずれも、そこにあるのは相手に対する「リスペクト」、相手を尊重し敬う気持ちです。特に劣勢な相手や敗者に対して追い打ちをかけるようなプレーはスポーツマンシップに欠ける行為であり、相手だけでなく見ている人たちをも不快にさせます。
そのような相手に対する「リスペクト」や「フェアプレーの精神」が重要視されているスポーツの一つがカーリングです。競技規則の最初に「カーリング精神」が記されており、そこには「決して相手を貶めるためにプレーするのではない」、「不当に勝つくらいならむしろ負けること選ぶ」、「不注意にもルールを破ってしまったら、誰に言われるまでもなく、自ら違反を申し出るものである」などと書かれています。
その象徴的なルールが「コンシード」です。これは「譲る」という意味となり、試合途中で負けを認めることです。「ギブアップ」だと「降参」の色合いが濃いですが、「コンシード」は「我々も精一杯戦ったが、あなた達の方が素晴らしかった。勝利はあなた達のものです」という意味合いで、敬意を込めて相手に握手を求めます。イギリス発祥で同じ「紳士のスポーツ」と言われるゴルフにも同様のルールが存在します。
ビジネスや社会における重要な考え方として「ダイバーシティ」が叫ばれ始めてから久しく、ほとんどの企業が具体的な取り組みをスタートさせています。しかしながら、女性や高齢者、障害者の活躍推進、外国人の雇用促進、そして多様化する性的マイノリティへの理解など、まだまだ対応が不十分な状況です。職場における誤解や偏見、コミュニケーションの障壁など克服すべき課題は多く残っています。そのような現状を打開するには、社員全員がどのような場面でも相手を「リスペクト」して接することが重要です。人間は感情の動物だという通説もあるように、自分自身の感情が相手の感情に大きな影響を与えます。相手を「リスペクト」する気持ちが伝わることによって、はじめて相手の心を開き動かすことができるのだと思います。
多くの日本企業は「多様性が大切」と言いながらも、無意識のうちに「同一性」を求めてしまうことが多いと言われ、性別、年齢、国籍などの「違い」を尊重し「リスペクト」する風土を醸成するには相応の時間が必要です。だからこそ、改善に向けた活動を一刻も早く始めて地道に浸透させていくことが大切です。
まずは、上司や先輩社員が日頃から職場のメンバーに興味を持つことです。社内会議でも決して上位者の意見を押し付けるようなことはせず、また多数決的な結論を急がず、お互いの意見を尊重する。そして優れたアイデア、意見にはたとえ若手であろうと、上位者はためらわずに「コンシード」する。そんな場面が増えるだけでも職場の雰囲気は変わっていくのではないでしょうか。
新しい年を迎え、当社も「リスペクト」、相手を尊重し敬う気持ちを改めて意識する一年にしたいと思っています。社員同士がお互いの「違い」を今まで以上に理解し尊重し合う職場に変わっていきたいと願っています。
「違い」を知り、「違い」を楽しむ。そういった企業文化を醸成していくことが「自分らしく働ける職場」であり、「個人の成長と能力が最大限発揮できる職場」を実現する近道だと考えています。
2025年1月
ライター
代表取締役社長
瀬川 文宏
2002年 SO本部システム技術部長、2008年 取締役、2015年 専務執行役員、2017年3月より専務取締役、2021年3月代表取締役社長に就任。現在に至る。
持ち前のガッツでチームを引っ張る元ラガーマン。
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