毎月更新中!社長通信 社長・田野美雄が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2019年01月01日

次のステージに向けて
~IBM進化論に思う事~

椿

新年あけましておめでとうございます。2019年の干支は「己亥(つちのとい)」ですが、亥年には「次のステージに向けた準備期間」といった意味があるようです。平成31年4月30日で平成が終わり翌日から【新元号】元年5月1日になりますが、まさにデジタル時代の変革への備えを終えて、活用の時代に突入しようとしている今を表していますね。弊社も長期経営ビジョン「Be a Trusted Partner」への変革の足固めとして位置付けた中期経営計画「Get Trust! 2020」が2年目を迎えますが、足固めはまだ道半ばです。一部は進んだ一方で、足元が繁忙でつま先立っていて踏み固めるどころではなかったのです。今年も繁忙は続きそうですが、そのなかでもしっかり次のステージに向けた準備を怠らないようにしたいと思います。

昨年末も色々な出来事がありました。(この原稿を起草している時点ですが)私のなかではゴーンショック、IBMによるレッドハットの4兆円買収、神戸製鋼ラグビー部が日本一に輝いたのが特に印象的でした。ゴーンショックについてのコメントはメディアに委ねるとして、嬉しいのは何と言っても神鋼ラグビー部の優勝です。トップリーグ(TL)決勝トーナメントを兼ねた日本選手権決勝は神戸製鋼がサントリーを55-5で下し、TLでは初年度の2003~04年シーズン以来となる15季ぶり2度目の制覇、日本選手権の優勝は18大会ぶり10度目となり、最多記録を伸ばしました。
ここ1年神戸製鋼所は暗い話題ばかりでしたが、グループを挙げて品質問題に真摯に取り組み再発防止に努めてきました。「正しいことをやり抜く約束をしたのだから胸を張って前に進もう」とトップから社員にメッセージ発信してきました。それが、ラグビー日本一復帰で気持ちが一つにまとまったような気がしています。2019年はラグビーワールドカップが日本で開催されますが、日本代表がどこまでやれるか、これでラグビー熱がますます盛り上がるのではないかと今から楽しみです。

さてもう一つの話題であるIBMの4兆円買収ですが、これをIT業界やユーザー企業の皆さんはどのように受けとめているのでしょうか。賛否両論はあるとは思いますが、今回はIBMファンの一人として、IBMの進化を前向きに論評してみたいと思います。私がレッドハット買収を好意的に捉えている最大の理由(あくまでも仮説)は、IBMがついにメインフレーム(MF)からの訣別に覚悟を決めたという事です。IBMのロメッティCEOは「ほとんどの企業はクラウドへの移行は2割までしか到達していない。基幹系システムへの移行が今後本格化する」とコメントしています。これは言い換えれば、「MFで稼働している基幹システムのクラウド移行が今後は本格化する。その移行環境をIBMは提供していく」としているのですが、ある意味で安定した収益源でブルーオーシャンでもあったMFに見切りをつけ、クラウドビジネスに本格参入するという覚悟の表れだと思います。これは良く考えれば理にかなっています。

俗に大企業、一流企業と呼ばれる企業が主なIBMの顧客なのですが、彼らが自社の基幹システムをアマゾンのクラウドサービス(AWS)に代表されるパブリッククラウドにて、稼働させている事例はほとんどないと推測されます。特に金融や鉄鋼、自動車、通信メディアなどの業界はMFで競争力のある基幹システムを50年近く前から構築してきたので、その大切なシステムやデータを簡単にはクラウドへ移行することはできないでしょう。例えその運用コストが半減したとしても。でも、もし運用コストが1/10以下になったらどうでしょうか?どこかで閾値をこえると、それらは堰を切ったようにクラウドシフトすることになると思いませんか。おそらくその時期が近付きつつあることをIBMは予測しているのではないでしょうか。そしてそうなる前に、「安心安全にお客様のシステムや大切なデータをお預かりできる環境をIBMはご提供します」と提案して基幹システムクラウドのシェアを確保しようとする。そのための大切な布石がレッドハットの買収であるというのが推論です。

今のIBMのクラウドシェアは2%、AWSが50%で首位、マイクロソフト(MS)が13%で2位につけていますが、MSが急にシェアを伸ばしているのはGAFAに比べればまだMSの方が企業間取引における安心感があるからだと推測しています。IBMが基幹システムの受け皿としてのクラウドソリューションに本腰を入れてプロモーションすると、5年後には20%くらいまでIBMのシェアは上がってくるのではないかというのが私の推測ですがいかがでしょうか。もちろんAWSやMSも技術投資などで競争力を上げ対抗するでしょう。しかしIBMは優良企業の顧客基盤を有しており、ここがGAFAやMSとの大きな差別化要素なのです。本年はIBMのクラウド事業にとっても次のステージへの大切な準備の年となるのではないでしょうか。

さらにもう一つ、IBMには量子コンピュータという宝物があります。デジタルトランスフォーメーション(DX)のキーワードがAIとビッグデータですが、AIはアルゴリズムの進化(深化)で、ビッグデータはその指数関数的な量の増大で、それらを処理するコンピュータパワーも飛躍的な向上が求められ、既存のスーパーコンピュータの能力では対応しきれなくなりつつあります。そこで圧倒的な処理能力を持つ量子コンピュータの登場となるのですが、実用レベルでの開発においてはIBMが頭一つ抜けています。DXのインフラにおいてもIBMは優位にコマを進めつつあるのです。さて、新元号の時代においてIBMの進化はあるのでしょうか。

2019年1月

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