ものづくりコラム 設計、生産管理、原価管理などものづくりに関するトピックを毎月お届けします。

2008年05月01日

製造業のグローバル化

ものづくりコラムでは、今、製造業のお客様が直面している課題と取組みについて連載していきます。
私共はシステムインテグレーターの立場からお客様とともに課題の解決に取組んでおり、その事例をお話することで、それぞれのお客様が課題に取組む際のヒントになればと思います。

加工・組立型の生産形態を持つお客様の多くがグローバル化の課題に直面されています。そこで何回かに分けて製造業のグローバル化についてお話します。

グローバル化の形態は製造の観点から言うと大きく3つに分類されます。

ケース1:工場全体を海外へ

文字通り、海外に工場を移転させる場合です。理由はメインの取引先企業が海外に移転した場合やコスト削減のために移転せざるを得ない場合があります。近年では体力が十分でない会社も移転するケースが増えてきています。
この場合、現地では生産に関してはシステム化されていないことも多く、人手に頼ったオペレーションになることも少なくありません。
日本から見ると「現地でのオーダーの進捗状況が見えない」「日本のお客さまへの納期回答が正確にできない」などの問題が発生します。

これは、いわゆる”海外製造拠点の見える化”ができていないことに起因する問題です。
現地での生産オペレーションが確定しておらず、また作業員のスキルもバラバラなことから、日本で行っていた管理とは違ってくること、また、システム以外の設備投資も大きく、システムに充分投資をしにくい状況も問題を発生させる原因と考えられます。
現地でのオペレーションが進むと日本を通さないオーダーが入ってくるようになり、日本から現地のオーダーがますます見えにくくなってきます。製造拠点を海外に移転した場合は、上記以外に現地での法令順守、会計計上、労務管理などさまざまな問題があります。

ケース2:ラインの一部を海外へ

海外の工場に、ある特定の製品群を移転させる場合と、製造工程の一部を移転させる場合があります。
この場合も工場全体を移転させる場合と同じように海外工場の可視化が問題になりますが、特に(加工などの)ある工程を海外に移転させた場合、日本の生産計画が難しくなることがあります。納期が日本で生産していた時ほど正確でなかったり、納期までのリードタイムが長くなったりします。これが製造形態にまで影響する場合があるのです。

ケース3:キーパーツを海外から調達

メインの製造ラインは日本にあり、一部のキーパーツを海外から調達する場合を見てみましょう。現在の加工・組立型の製造業様では、部材をすべて日本で調達している企業の方が少なくなってきていると考えられます。問題は見込生産、受注生産などの製造形態にかかわらず納期のリードタイムの長い海外調達の部材の扱いにあります。国内で調達する部材をMRPなどをまわしてダイナミックに調達しても海外調達品を別管理していては効果は少なくなります。

次回は、上記のようなグローバル化により、予想していなかった生産形態や調達計画の変化と課題の発生について解説させていただきます。

2008年5月

ITの可能性が満載のメルマガを、お客様への想いと共にお届けします!

Kobelco Systems Letter を購読