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2020年12月01日

製造現場のIoT活用について(最終回)
~製造現場での情報収集、スマートフォン・タブレットの活用~

今回は、『製造現場での情報収集』として、スマートフォン・タブレットの活用事例、利用上の注意点について紹介します。
現場において、設備の点検や生産実績の収集に、汎用のタブレットや、スマートフォンを活用することができます。例えばGPS位置情報、カメラ、音声、Bluetooth通信、NFC通信の各機能はパワフルなIoT端末として大いに活用できるでしょう。 ただし、タブレットやスマートフォンを活用するためのアプリケーション開発、保守、配布を独自で構築するとなると大変です。そこで第三者アプリケーションを活用すると、画面、入力、入力チェック、デジタル測定器との連携が、プログラム開発不要で、迅速、柔軟に実現できます。

スマートフォンやタブレットで収集するデータは、現場でしか収集できない貴重なデータではありますが、その他の産業機械、工作機械、ビーコン・RFIDなどから収集したデータと連携して初めて活用ができるようになります。

  • IoTを構成する巨大なデータの一部として考え、活用していかなければなりません。
  • IoTで収集するデータ取扱要件として、多種多様、大量、将来にわたって成長(変化)があります。
  • IoTは、データの収集・保管・蓄積手段であり、経営効果を実現するためには、さらに、有用な情報に加工しなければなりません。

加えて、このデータを将来にわたって有効な資産とするためには、データの入れ物、データレイクの考え方が必要になります。

IoTプラットフォームサービスでは、「データの流入」・「蓄積」・「活用(流路)」の3つのレイヤーで、あらかじめ想定した標準モジュールを用意しています。流入・蓄積・活用流路の3層に、特性に応じた標準処理モジュールを用意することで、柔軟性、短時間での拡張性を実現しています。

データレイクの概要構成図図1:データレイクの概要構成図
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では、実際に、スマートフォン・タブレットを用いた現場で他の収集事例を紹介します。 最初は、スマートフォンのカメラ、マイクを使った現場設備の点検事例です。

スマートフォンのカメラ、マイクを使った現場設備の点検事例図2:スマートフォンのカメラ、マイクを使った現場設備の点検事例
(クリックして拡大できます)

  • 産業機械、工作機械の故障時には、写真や音も重要な診断材料になります。
  • 設備点検個所にビーコン、NFCタグを取り付け、それを読み取ることで、点検漏れを防ぎます。
  • RFIDのうち、電波を利用するもの(433MHz,920MHz)は、電波利用申請が必要です。
  • 点検結果を入力するとすぐに結果を判定し、異常、正常判断ができます。
  • 音声認識技術を用いて、声による入力、入力ガイドも実用化されています。

次は、Bluetooth対応測定機器を用いた事例です。

Bluetooth対応測定機器を用いた自動入力図3:Bluetooth対応測定機器を用いた自動入力
(クリックして拡大できます)

  • 人手での検査工程での活用場面です。
  • 製品の試験・検査工程でも、人手による計測がまだ多く残っています。
  • 何回か計測し、メモ書きし、平均を計算し、検査結果表に入力する。
    このような場合、転記間違い、計算間違い等のリスクがあり、また、検査作業に時間がかかります。
    Bluetooth対応測定機器を用いると、計測、ボタン押下、計測結果の自動転記ができます。
    計測した結果を平均し、判定し、再計測の指示、正常・異常判定が行えます。
  • 検査漏れをなくし、検査手順を正しく行うためには、製品ごとの検査項目自動選択、検査順序指示、異常時の手順を指示しなければなりません。
  • 官能検査、外観検査、聴音検査では、その証憑として、写真、音声、映像記録の保管も必要になります。

スマートフォン・タブレットの入力画面開発は、純粋にその機体の開発言語を用いて開発すると、機体が持つすべての細かな機能を活用できます。しかし反面、開発費が高価でかつ、機体のバージョンアップ、機種変更に都度対応していく必要があります。
ご存知の通り、スマートフォン・タブレットの基本ソフトは頻繁にバージョンアップされます。都度、開発したアプリケーションを対応確認し、場合によっては改造し、各機体に一斉に配布することは、運用面でも大きな負担となります。
当社では、BIツールであるMotion Board や 第三者の簡易開発ツールを用いて、データレイクと連携したシステムを構成し、安く、早くシステムを開発する方法を提案しています。
単純な現場入力画面では、開発期間は1日程度で、プログラムを一切書かずに、Webアプリケーションを提供しています。もちろん、お客様自らでも開発が可能です。

今回は、スマートフォン・タブレットを現場のデータ収集に活用する方法を紹介いたしました。
今年7月から全6回の連載をご覧いただき誠にありがとうございました。来年は、内容を見直し連載再開を検討しています。

2021年、皆様のデジタルトランスフォーメーション、IoTの活用の取り組みがますます活発化し、成功されますことを心より祈念申し上げます。


※当社ホームページに、IoTプラットフォームサービスの紹介資料を掲載しています
https://www.kobelcosys.co.jp/solution_service/detail/kits/

※このコラムに対するお問い合わせフォーム
https://www.kobelcosys.co.jp/inquiry/other/

2020年12月

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