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2020年09月01日

製造現場のIoT活用について②
~産業機械との組み合わせ~

今回は、『産業機械(PLC)との接続方法、活用事例』として具体的に産業機械からデータを収集する方法と事例について紹介します。 製造現場には、いろいろな産業機械、工作機械、測定器、検査機、人・物の位置を検知するセンサーなど多数のデータ収集対象があります。 この中で、多数を占めるのは、産業機械です。
産業機械を自動運転する仕組みとして、PLC(Programmable Logic Controller)が多く用いられています。(シーケンサーと呼ばれることも多いですが、シーケンサーは、三菱電機のPLCの商品名です。) 産業機械を自動運転するために、産業機械に多数のセンサーを付け、その計測値の値から条件を判断し、バルブの開閉、テーブルの移動、ポンプの運転、モータの回転、ヒータによる加熱などなどの制御を行っています。

PLC

図1:PLC(Programmable Logic Controller)
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PLCには、外部と接続するために、LAN接続機構や、RS232C,RS485といった外部インタフェースを持っています。このインタフェースでパソコンと接続することで、センサーの測定値、アクチュエータの動作状態を収集することができます。このパソコン(ゲートウェイ G/W)から、インタネット回線などを通じて、大規模なデータ蓄積機構にデータを送信し、蓄積したデータを可視化することで、産業機械の動作状況、履歴をリモートから、リアルタイムでモニターすることができます。 これによりDX(デジタルトランスフォーメーション)のための、デジタルツインが実現可能となります。

産業機械からのデータ収集

図2:産業機械からのデータ収集
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産業機械からのデータを収集・蓄積・可視化するとどのようなことができるようになるのでしょうか? いくつかの事例を紹介いたします。
最初の事例は、故障予知保全、最適運転支援について、全国各地で稼働している移動産業装置の例です。
GPSによる位置情報で、日本のどこで稼働しているのか、稼働状態は正常か、それぞれの細かい稼働情報を現地作業者、ユーザの統括運行管理者、メーカの設計者が共有することができます。 何か問題が生じたとき、メーカの設計者は瞬時に現場、現物の状態を把握し、現地作業者に運転支援指示を与えることができます。 また、ユーザ統括運行管理者は、最適な配備、最適な燃料配送計画を現実に基づいて判断、計画できます。

移動産業装置の例

図3:移動産業装置の例
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次の例は、大規模な生産工場の事例です。
ラインには25台の生産設備がラインを構成しています。 それぞれのPLCから1秒ごとに7,000点データを収集し、ライン全体の生産状況をモニタリングすることができます。センサーの計測値、バルブ、コンベアー速度などをリアルにモニターすることができます。

大規模生産工場の例

図4:大規模生産工場の例
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また、前回ご紹介した、ISO22400 製造管理指標を計測し、見やすく可視化することで、生産ラインで今起こっていることを把握し、改善、次の一手を打つための正確な情報を迅速に入手することができます。 さらに、次のステップとして、収集、蓄積したデータを機械学習を活用し高度なシミュレーションを行うことで、最適な工程変更や、設備の故障予知、操業異常の識別、修正などさらなる、生産効率向上、製品品質向上につなげることができます。

今回は、産業機械(PLC)をIoT化する方法、活用事例、それによって見えてくるDXについてご紹介いたしました。 次回は、『工作機械(PMC)との接続方法、活用事例』についてご紹介いたします。

このコラム記事の関連する以下のWebセミナーを、来る9/24(予定)に開催いたします。

事例で解説!IoTで製造現場の「5ゲン」を見える化
デジタルトランスフォーメーションを実現するためのIoT活用・実現方法

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2020年9月

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