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2018年11月01日

デジタル時代のものづくり②
~金融に学ぶデジタル化のヒント~

デジタル化の波が想定以上のスピードとパワーで日本に押し寄せています。デジタル化の波に上手く乗って新たなサービスを生み出し、業務効率化を大幅に高めれば、競合他社に大きく差をつけることができます。逆に、デジタル化を無視し、既存のビジネスや業務のままでは、デジタル化の波に押しつぶされてしまうかもしれません。マーケティングで著名なコトラー教授は、“Digitize or die”、つまり企業に「デジタル化するか、死ぬか」と警告しています。日本の製造業もデジタル化に取組み、さらに加速する必要があります。今回は、製造のデジタル化の取組み状況を金融業と対比することで、今後製造業においてデジタル化を推進する上でのヒントを探ってみることにします。

デジタル化取組み業種別割合

図表1:デジタル化取組み業種別割合(%)

まず、製造業と金融業のデジタル化の取組み状況を比べると、図表1のようになります。どちらの業種もデジタル化を実施している企業の割合が、2016年に比べ2017年はほぼ倍増しています。製造業の2017年デジタル化実施率は、素材製造が15%、機械器具製造が26%と伸びていますが、金融業の36%とは大きな差があります。また、実際に成果をあげている企業の割合を見ても、金融業は製造業に比べ、かなり先行しています。しかしながら、金融業では図表1に示されるように、成果を挙げている企業の割合は1割程度で頭打ちとなっています。また、デジタル化への取組み企業割合(検討中+実施)も伸びていません。一方、製造業では、取組み企業割合は昨年より大幅に増加し、これからもまだ増える余地がありそうです。そこで、今後の製造業におけるデジタル化の取組みでは、検討や実施だけで終わることなく、確実に成果を出していくことに留意する必要があります。そうはいっても、デジタル化は試行錯誤が伴う、難しい取組みです。例えば、経営会議にてデジタル化の目的と目標を設定し、その達成に向けてマイルストンでの進捗報告や見直しを適宜行うなど、成果につなげる仕組みが求められます。

デジタル化のカテゴリー別取組み状況

図表2:デジタル化のカテゴリー別取組み状況(2017年)

次に、デジタル化のカテゴリー別取組み状況は、図表2にようになります。一般的にデジタル化のカテゴリーは、「商品・サービスのデジタル化」と「プロセスのデジタル化」の2つに大別できます。「商品・サービスのデジタル化」には、製造業であればスマート製品やサービス化などが、金融業であればロボ・アドバイザーやPFM(個人資産管理)などが含まれます。一方、「プロセスのデジタル化」には、製造業では現場の見える化や設備故障の予防・予知などが、そして金融業では窓口業務の効率化や与信・審査業務の高度化などが相当します。図表2の製造業と金融業を見比べると、製造業は「プロセスのデジタル化」に偏り気味であるのに対し、金融業では両カテゴリーのデジタル化に取組み、デジタル化の検討や実施を推進しています。今後、製造業においては、「商品・サービスのデジタル化」にもっと目を向け、両方のカテゴリーをバランスよく検討・実施を進めていくことが、企業におけるデジタル化の加速につながると考えられます。

デジタル化取組みへの経営層の関与

図表3:デジタル化取組みへの経営層の関与(2017年)

最後に、デジタル化取組みへの経営層の関与度合いを見てみます。図表3の業種別の経営者関与度の高い企業割合が、図表1の業種別デジタル化取組み企業割合(実施中+検討中)とほぼ一致しています。つまり、経営層の関与度の高さは、デジタル化の推進度と強い相関があると言えます。製造においても経営層のデジタル化に対し高い関与がある企業割合は50%前後で、既にかなり相当高い数字ですが、できればさらに金融並みの70%まで高まることが望まれます。

2-3年前までは、デジタル化は一部の先進的企業による取組みと見なされていましたが、今では、大半の企業にとっても重要課題になってきています。製造業においても、企業規模や業種に関係なく、各企業がデジタル化を進めて行くことが求められるでしょう。しかしながら、デジタル化を検討、実施していくことまではできても、成果を出していくのは簡単ではありません。製造業といえども、従来のものづくりのプロセスでのデジタル化、現場発のデジタル化にとどまっていては、限界があります。デジタル化では先を行く金融業を参考にすることで、デジタル化を加速し、確実に成果を出していくことを期待します。

注)図表のソース:JUAS「企業IT動向調査報告書2018」から編集・加工

2018年11月

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