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2010年03月01日

生産管理システム構築の10ポイント ⑧
製品トレーサビリティの簡便的な方法

製造された製品がどのような原材料を使用し、どのような工程を通過して、いつ製造され、製品検査はどうであったかをトレースすることを製品トレーサビリティと言います。製品を出荷して何らかの異常が発生した場合に製造に遡って調査し、異常発生の原因を究明して、同様な問題が発生する可能性のある製品を抽出して対処するためには製品の製造過程をトレースできるしくみを構築することが必要です。
製品トレースのしくみとは製品製造における原材料使用実績、製造工程実績、検査実績等を蓄積し、その製品の原材料ロット、工程の処理実績を追跡し、同じ原材料の使用または同じ時期に工程処理された製品の把握ができることです。
このしくみの構築には大容量情報の蓄積と高速検索が必要となりますが、近年のコンピュータの大容量化、高速化の環境を安価で構築することができるため、昨今の製造業における製品トレーサビリティのシステム化はかなり進んでいます。
しかし、製品のトレーサビリティを完璧にシステム化するにはあらゆる製造情報の蓄積が必要であり、製造部門の負荷が増大するため、システムと手書き帳票を併用して対応している企業がほとんどです。
トレーサビリティの必要性を簡単にまとめると以下となります。

トレーサビリティの必要性

1. リコールによる回収範囲の縮小化
2. 事故などの賠償への対応の迅速化とお客様への信頼度の確保
3. 調達部品の信頼度

下記の図は組立業における部品使用のトレースデータの一部です。
1-06の部品に異常が発生した場合にそれを使用したものを特定したものです。 下記の図は部品使用の簡単な例ですが、部品使用以外に加工・組立等の工程実績、検査実績等の蓄積が必要となります。

組立業における部品使用のトレースデータ例

下記表は製品をトレースする場合の関連を表示したものです。

製品トレース関連図

製品トレースのための必要情報蓄積において製造部門ではかなりの作業負荷がかかります。
ここで原材料の使用に関して実績の入力を行わずに製品トレースを行う簡便的な方法をご紹介いたします。
この事例はある企業において実施されたものです。

簡便的な製品トレース情報蓄積の事例

原材料を1品管理し、製造において使用したロットを1品単位に全て、正確に入力すれば、完璧な製品トレーサビリティを行なうことができますが、現場における負荷が大きいため何とか入力しないで、ある程度のトレースができないかとの要望がありました。

下記の例は原材料、中間品等の出庫、使用において先入先出を原則とした場合にシステムで自動トレースをしたものです。

先入先出を原則とした場合のシステム自動トレース例

上記トレースはシステム的に連携させたものであり,上記例で製番123でロットA-1の近辺の在庫が使用された場合も考慮して、異常に対しては8/5前後に入庫した原材料が調査対象になります。

2010年3月

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