お客様にご満足いただくために CSコラム お客様とともに考え、ともに挑戦し、ともに『夢』をかなえたい。そんな想いを幹部が語ります。

2014年07月01日

第23回 お客様の信頼を得る
取締役 経営企画部長 衣川龍太郎

私は、神戸製鋼所溶接事業部門の出身で、今年の3月にコベルコシステムに入社し、4月から経営企画部長を拝命しています。

コベルコシステムでは、全社を挙げて全員参加型のCSに取り組んでいます。中でも、お客様の直接の窓口であり、マーケティングの最前線を担当する営業部門の役割は、非常に大きいと思います。私も神戸製鋼所時代は長く営業に携わってきました。造船や自動車、化工機、橋梁・鉄骨等の大手ユーザーに対する営業、問屋さんや代理店さんへのいわゆる流通営業、代理店さんの営業車に同乗して町の鉄工所に飛び込みセールスをしたこともあります。思い出話を始めるときりがありませんが、いろんな経験から私なりに導き出したのは、「いかにお客様の信頼を得るか」に尽きます。月並で、言い古された言葉ではありますが、実現するのはそう簡単なことではありません。また、お客様との信頼関係なくしてCS向上など望むべくもないと思います。

どうすれば、お客様との間に信頼関係が築けるでしょうか。

本来お客様と営業は、会社対会社の利害や立場や思惑がぶつかり合う関係ですから、簡単に信頼関係を築けるものではありません。むしろ、かなり難しいことなのだということをまず自覚する必要があります。その前提に立って、「信頼」を得るという明確な目的意識を持って、日常の営業活動にあたることが重要だと思っています。

もう少し具体的に言うと、まずは「時間を守る」とか、「聞かれたことに答える」とか、「約束を果たす」とか、そういう小さな「信用」や「誠実」を何度も積み重ねて、信頼関係のベースを作ること。その上で、時として会社対会社の思いがぶつかる実際の交渉の場においては、むやみに抵抗したり批判するのではなく、常に相手の立場を理解するように努めながら話を進め、お互いが納得感を持てる妥協点、共有点を見出すこと。このような実績の積み重ねが根底にあった上で「訪問頻度」「情報提供」「アフター5」などの要素が絡み合って、ようやく信頼関係が芽生え、深まり、ひいてはCS向上に繫がっていくのです。営業には、ともすれば華やかで派手なイメージもありますが、CS向上につながる営業活動の本質は、むしろ極めて地道な作業の繰り返しだと思います。

もう一つ重要なことがあります。このように「信頼を得る」ことは簡単なことではありませんが、それを維持するのも、同様に難しいということです。苦労して得られた信頼関係も、たった一つの失敗や些細な不注意で、いとも簡単に崩れてしまうことがあります。さながら、9回裏2アウトまで頑張ってきた野球の投手が、たった1球の失投で敗戦投手になるように。営業を担当された方なら、誰でも一度や二度はそんな経験をお持ちでしょう。信頼関係ができたからといって、中々気を抜くことはできない訳です。今、この原稿を書きながら、私も過去の苦い経験が頭の中をよぎっています。やはり、改めて営業は大変な役割だと思います。

さて、CS向上のために「お客様の信頼を得る」ことが重要であり、それには地道な努力が必要であるという観点で書き進めて来ましたが、ここで、私なりの一つの結論を申し上げます。それは、CS向上は、机上の計算やきれいごとで短期間に成し遂げられるものではなく、お客様対営業(および関係者全員)の、人間対人間の関係の中でじっくりと培われていくものだ、と言うことです。CSポイントを定量的に把握し、その動向を見極め、変化の要因を探ることは非常に大切なことですが、その数字の裏に隠された本質を見抜く意識を持つことは、さらに重要なことではないでしょうか。

先日、IBMが毎年まとめている「グローバル経営層スタディ」の最新調査の内容を聞く機会があり、世界中の多くの経営層が「顧客が自社の戦略決定に強い決定力を持つ」と考えていることがわかりました。また「高業績企業ほど顧客と密接に連携している」という調査結果もありました。

お客様との信頼関係を築き、CSを向上させ、お客様の重要なニーズを抽出する。そして、それを経営に生かすことで市場やお客様から新たな信頼を獲得する。そのようなサイクルが実現できれば、お客様にお喜びいただける素晴らしい会社になっていくことは間違いありません。コベルコシステム全員で目指して行きたいと思います。

2014年7月

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