社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2015年07月01日

よみがえる白亜の姫路城によせて

姫路城

永らく兵庫県に住みながら、一度も中を見学したことがなかった姫路城を先日初めて見学してきました。築城以来400年たったお城は今回の「平成の大修理」と呼ばれた大規模な保存修理工事を経て、まさに白く輝く姿を現し、この3月にグランドオープンしたのです。あいにくの土砂降りの中、海外からも多くの観光客が訪れていました。大天守閣は、五重七階、高さ31メートルを超す巨大木造建築で、2本の通し柱で支える構造です。木造でこんな大きな構造物が何百年も自然災害に耐えながら現存していることは驚異です。もともと、かなり無理をした構造のために、修理も頻繁に行われ、柱なども追加されているようです。そのおかげで現代までおおよその原形を留めており、1995年の阪神淡路大震災でも大きな被害はなかったとのことです。特に、戦争での中断をはさんで昭和9年から39年まで行われた全解体修理は史上初で、多くの発見があり今回の修理につながる基礎的なデータが取れたのだそうです。大天守閣の傾きの原因など維持管理上重要なもので、今回の保存修理でもそれが生かされ、耐震補強もされたようです。

そして、この400年の歴史を持つ姫路城は、現代の建築技術のみならず、ICT技術も活用してその歴史を学んだり、経験したり出来るように工夫されているのです。AR*1を用いて現存しない建物をCGで表示したり、当時の暮らしを再現したり、単に見学するだけでない、プラスの楽しみが溢れています。また、姫路駅から城郭までのエリアでは無料のWi-Fiが利用でき、色々な街の情報が発信されています。観光客がお城までの街を楽しみながら、地域も潤すような仕組みが用意されています。地元兵庫県の宝であり、日本で最初に世界遺産登録された貴重なお城ですので、ぜひ多くの皆さんに見学していただいきたいと思います。

さて、姫路城もそうですが、ICTを活用することは、公共領域において広く普及が進んできています。昨年3月にご紹介した大阪グランフロントにおけるWi-Fiや画像データの活用も同様で、今後、生活のあらゆるシーンにICTが溶け込んでいくと思います。そこからビッグデータの有効活用により、さらに効果的なICTの活用が進んでいくでしょう。

ビジネスの世界に目を転じますと、今後ますますCAMSS*2の活用が進みます。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の2015年企業IT動向調査によると、ビッグデータについては47%の企業が検討から実際の活用まで行っており、特に大企業で活発なようです。クラウドの普及状況では、パブリッククラウドはまだWebやフロント系が中心であり、基幹系システムでの導入はこれからのようです。一方、プライベートクラウドは一部の導入を含めると、アンケート対象企業の4割程度が取り組んでおり、かなり当たり前になってきたことがうかがえます。ただ、実際にクラウドを活用するには多くの課題もあります。中でも、企業情報システムをクラウド化する場合には、基幹システムと周辺システムとの連携が重要であり、クラウド間連携、オンプレミス(自社内で持つ情報システム)とクラウドの連携、およびこれらのハイブリッドクラウド環境全体の統合運用が必要不可欠となります。

コベルコシステムでは、6月3日、「コベルコシステム クラウドインテグレーションサービス」を発表し、これまで提供してきたクラウド関連ソリューション/サービスを体系化・テンプレート化したサービスの提供を開始しました。このサービスによって、パブリッククラウドとプライベートクラウド/オンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウド環境での統合システム基盤の計画から構築、運用までをトータルに支援し、より早く、お客様の効果的なクラウド環境を実現することができるようになります。

姫路城の話から最後は弊社のクラウドサービスの話になってしまいましたが、華やかなお城には多種多様な柱という支えが必要であるのと同じように、ICTが普及する裏にもその実現を支える地道な技術や仕組みが必要だということをお伝えしたかったのです。



*1)AR:Augmented Reality(拡張現実)の略称。コンピューターを利用して、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術。

*2)CAMSS:最も注目されている技術 Cloud、Analytics、Mobile、Social、Securityのこと



2015年7月

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