社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2015年06月01日

論文に挑戦する意義
IBMユーザー・シンポジウムin金沢に参加して

6月あじさい

北陸新幹線が開通した今、最もホットな観光地として注目を浴びる金沢で、5月14日~15日の2日間、第53回IBMユーザー・シンポジウムが開催されました。このシンポジウムはユーザー同士の「価値ある研鑽」と「有益な交流」という理念の下、毎年開催地を変えて開催されてきました。この場はまた、ユーザーが応募した論文から優秀論文を発表、表彰する場でもあります。今年は123編の論文が集まりました。当社も毎年、この論文の入選を目指して、多くの社員が学術論文に準じて執筆し、入選すればご褒美としてこのシンポジウムに招待されることを楽しみにして取り組んでいます。今年は銀賞2件、銅賞1件となりました。

銀賞を受賞した論文「アプリケーションのデプロイへのDocker導入の提言」では、システム開発における開発環境と本番環境の差異による問題解決にコンテナ型仮想化ソフトのDockerを応用する試みについて提言しています。同じく銀賞の「保守運用フェーズにおけるアジャイル開発の適用について」では、アジャイル開発手法をアプリケーション保守業務に適用し、属人化による業務負荷アンバランス、業務引き継ぎ不足による問題などの解決にチャレンジした事例を紹介しています。合わせて、日本GUIDE/SHARE委員会が行っている研究プロジェクトの優秀論文の発表も行われ、当社の社員が所属するチームの論文は「システム基盤の設計品質と実装品質を向上させるための手法」など3件が選ばれました。

論文に取り組むことは、新しい技術への挑戦や困難な課題の解決、業務効率化、品質向上への取り組みなど、自分の体験や知識を整理し、それらを普遍的な考察や気づきや理論に昇華することによって研鑽する機会となります。また、それらの論文を発表することによって他のユーザーに有益な知識や情報を提供できる機会にもなります。経験した仕事は、単にそれを成し得たことで終わらせず、それを振り返り、論文として整理することによって、より深い知識やスキルになると思います。これは社員のスキル向上のみならず、知識や経験のアセット化が重要なITサービス企業にとっても普遍的な価値のあるものです。当社ではこれまで培ってきた業務ノウハウや技術・スキルをアセット化して「秘伝のタレ」、「秘伝のワザ」としてお伝えしていますが、論文はそれを支える重要な取り組みだと考えています。

基調講演ではコマツの坂根相談役から「日本再生(ダントツ国家)~企業と国の構造改革」と題して地方活性化と製造業復権に向けた力強いメッセージをいただき、当社も神戸に位置する製造業のIT会社として元気づけられました。初日の夜の交流会では、厳かな琴と横笛の演奏、石川県の新鮮な食材による加賀料理と地酒を堪能しながら、他社からの参加者と親睦を深め、盛り上がりました。発表の合間を縫って、130年ぶりに復元された金沢城の河北門を覗きました。平成22年に完成したばかりで、ヒバの香りと木肌がまぶしい内部は釘を一切使わない当時の工法で建てられており、素晴らしいものでした。金沢城の隣の兼六園も外国人観光客でいっぱいで、皆さん心から楽しんでおられるようでした。陶器、漆器の工芸、和食、お城に日本庭園、ここ金沢は日本の伝統があふれており、地方活性化と日本の価値を見直す良い機会となりました。


2015年6月

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