社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2018年05月01日

少子高齢化社会におけるITの可能性
~スマート企業からスマートプラネット CSRからSDGsへとつなぐのはIT~

SDGs

5月になり、ネクタイも外れていよいよビジネスも熱くなってきました。今年はスポーツもMLBの大谷選手をはじめNPB、FIFAワールドカップなど色んな話題が満載で盛り上がっており、それが景気にも好影響をもたらしているのではないかと感じます。足元のITサービス産業の需要も旺盛で人材不足がいよいよ深刻化しています。キャリア採用で即戦力を確保しようとしても、こういう局面では思うように採用できないので、急がば回れで新卒採用の増加と早期育成でリソースギャップを埋める事とし、この4月は例年より3割増の新入社員を迎えて入社式に臨みました。昨年5月のコラムでも新入社員へのメッセージを紹介しており、それを読み返しましたが今でもそのまま使えるのでご参考までにLink※1を貼っておきます。「これからのデジタル革命を担うのは君達だ、それがうらやましい」、といった趣旨です。

※1 新たにIT産業に関わる人たちへ
https://www.kobelcosys.co.jp/column/president/20170501/

そこで今月は続編としてデジタル革命がもたらす社会貢献への可能性について考えてみます。日本や北欧に代表される成熟国で近い将来に到来する少子高齢化社会では労働人口の減少が懸念されています。その不足の解消策として1.女性、2.高齢者、3.移民、4.若者、5.障がい者の5つの活用が挙げられます。それらを具現化するために、そしてそもそも生産性向上の要として期待されているのがデジタル革命です。

子育て中の女性を活用するためのe-Work、高齢者が働き続けられるためのITやロボットによる様々な補強支援、移民による低コストサービスをオンサイトやオフショアで提供可能にするITインフラ環境やセキュリティ確保、若者の活用についても早期育成プログラムに加えて地方からの若者流出を防ぐ意味でもローカルで快適な生活を営みながら、ビジネス活動は都市部在住と変わらぬ環境を手に入れることがITにより実現可能になって来ています。障がい者へのITによる支援はIBMが先行して推進しており、情報アクセシビリティーの先駆者であり自身も視覚障がい者であるIBMフェローの浅川智恵子さんが有名ですね。近年アクセシビリティーは高齢者や非識字者が情報を得るためにも注目されているそうで、先進国の労働人口不足への補充に大きな期待が寄せられています。

ど真ん中の労働生産性向上に対して一般企業ではITがAI、IoT、ブロックチェーン、RPA※2などで貢献していくことは議論の余地もありませんが、ITが人の仕事を奪うのではなく、人でなくともできる仕事はITに任せて人は人にしかできない仕事に注力することになるのでしょう。一方で一般社会では高齢者が増えるのに、介護、見守り、病院への送り迎え、買い物、配送、食事etc.の支援を今日のように人間が中心でやっていては人が全く足りません。厚生労働省の社会保障審議会で2017年に示された資料によると2025年には38万人の介護人材が不足するという見込みだそうです。質の良い外国人を集めることも実情では苦戦しています。しかしITサポートレベルが向上して人工知能と画像センサーでの見守り、介護ロボット、自動運転での送り迎え、買い物宅配などが実現すれば案外労働需給は緩和するのではないでしょうか。日本企業はAI/IoT/RPAなどデジタル化を推進して生産性を向上させ、労働者不足の解消と競争力の強化を推進し続けていくでしょう。日本の社会システムも同様にITを駆使してサービス人材の不足解消を急ぐ必要があります。ITサービスに従事する我々は、CSR活動の一環としてもそこに貢献していきたいものですね。

※2業務の自動化を推進 ~RPA(Robotic Process Automation)~
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/20170601/

一方、国連ではSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」なる人類が平等に幸せになるための目標がセットされました。これは生産性の向上ではなく恵まれない人や国・地域も先進国と同じように幸せになる様に、そしてそれが持続的・永続的に進む様にという目標なのですが、この実現もITなくしてはありえません。IBMは2008年に世界中の企業、政府、市民社会の先見的なリーダーがスマートなシステムの可能性を認識し、経済成長や短期的効率化、持続可能な社会発展・成長などの実現を支援するためのイニシアティブとしてSmarter Planetを提唱しました。それから10年後の今こそ、その概念が具現化されようとしています。

冒頭でも述べましたが足元のITサービス産業の人材不足は深刻ですが、このトレンドはしばらく続くと思います。なぜなら上述したようにデジタル社会の到来でITサービスの領域は広がる一方であり、当分は仕事量が不可逆的に増えていくからです。これからIT業界に参加する若者たちは、食いっぱぐれる事はまずないでしょう。どの分野で活躍するか、したいか、いくつもの選択肢があり羨ましい限りです。ぜひとも高いモラルを持って、少子高齢化社会への対応からSDGsまでITが人類の幸せを守ってくれるような世の中を彼らに作り上げてもらいたいものです。

2018年5月

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