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2012年05月01日

決算期変更のグループ経営に与える影響

上場会社において決算期変更の検討を行っている会社が増えているようです。決算期の変更を行うことは、法対応手続、税務、開示などの対応に少なからず負担がかかりますし、子会社において決算作業の早期化を求められる場合もあります。このようなデメリットがあるにも関わらず、なぜ決算期の変更の検討が行われているのでしょうか?
その目的には、やはりIFRS(国際財務報告基準)への対応がありますが、決算期変更のメリットはそれだけにとどまりません。今回は、決算期の変更とそれがグループ経営管理に与える影響についてまとめていきたいと思います。

決算期に関する規定

日本基準では、連結会計上の決算期について原則として同一でなければならないとしながらも、子会社と親会社の決算期の差異が3ヶ月以内であれば、子会社の決算をそのまま連結に取り込むことを認めています。(ただし、グループ間取引に関する重要な差異については、連結決算上の調整が必要となります。)
一方で、IFRSでは、実務上不可能でない限り決算期は同一ではなければならないとされています。「実務上不可能ではない限り」という言葉を厳格に解釈すれば、決算期を統一しないことが可能なケースは、現地国の法制度上の制限など極めて限定的であるといわれています。また、例外的に統一しなかった場合でも、決算期の差異は、3ヶ月を超えることができませんし、親会社の決算期に合わせた財務諸表を作成するために仮決算を行う必要が生じます。このようにIFRSでは、決算期の統一について日本基準よりも厳しいルールが課されています。

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決算期統一の方法

日本企業の典型的なパターンとして親会社が3月決算、海外子会社が12月決算というケースが多く見受けられます。従来、決算期の統一は、子会社が、親会社の会計期間に合わせるという方向性が一般的でした。

最近、IFRSの適用を検討している企業による決算期変更の事例が多く見受けられますが、その中には、海外子会社に合わせて親会社の決算期を変更するケースも出ています。海外に子会社を多数抱えるグローバル企業では、子会社が変更するよりも、親会社の決算期を変更する方が効率的な場合もあるからです。

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また、会社法では、決算期変更時のみ12ヶ月を超えて、18ヶ月までの決算を組むことが可能となっています。会社法改正以前であれば、3ヶ月とか9ヶ月といった短い期間で、続けざまに決算作業を行う必要がありましたが、長い変則決算期間を採用することが可能となったので余裕をもった対応が可能となっています。このような会社法の改正も、決算期の変更が行いやすくなった背景にあるように感じます。
一方、法人税法上の規定では、1年を超えて申告期間とすることはできず、期首から12か月後までの期間で納税する必要があります。つまり、最低1年に1回は税務申告しなければいけないことになっていますので留意が必要です。

決算期統一のグループ経営に与える影響

  1. 決算期統一と子会社の決算早期化
    これまで認められていた日本基準における、3ヶ月のずれは、連結決算作業スケジュール上の猶予期間として機能していた子会社も多いものと思われます。
    海外子会社では、現地基準で12月決算の制度会計が一通り済んでから、3月決算用の親会社向け連結用報告資料の作成に取り掛かっていたとしても、スケジュール的な問題は生じなかったでしょうが、今後はそうはいきません。
    もし、決算期が、統一されれば、3ヶ月もあった猶予期間はなくなり、親会社への連結決算のための報告(連結パッケージの提出)までの期間は、一気に縮まってしまいます。子会社にとって必然的に決算作業の早期化が求められるので要注意です。
  2. 決算期統一と経営管理
    決算期の統一は、一義的にはIFRS適用のために不可避的な対応として行われています。しかし、開示資料をみると、以下のようにIFRS規定への準拠のみならず、連結決算の精度向上やグループ経営の効率化を図ることを変更理由としてあげている企業が多くあります。

    <変更理由の事例1>
    当社グループの連結ベースでの予算編成や業績管理等、事業運営の効率化を図るため、当社および国内の子会社の決算期を変更し、グループ全体の決算期を統一いたします。また、将来適用が検討されている国際財務報告基準(IFRS)に規定されている連結会社の決算期統一の必要性にも対応を図るためです。

    <変更理由の事例2>
    海外連結子会社と決算期を統一することで、グローバルな事業の一体運営の推進、及び経営情報の適時・的確な開示による更なる経営の透明性の向上を図るため。また、将来適用が検討されている国際財務報告基準(IFRS)に規定されている連結会社の決算期統一の必要性にも対応を図るため。 

    日本基準において、連結会社間の重要な差異が修正することが求められていたとしても、ずれた期間の業績(期間損益)を修正することまでは求められていません。そういう意味では、日本基準の連結決算は、期間対応のずれを許容しているということになっています。
    決算期を統一すれば、これまで海外連結子会社について生じていた3ヶ月のずれが是正され、期間対応がより適切な連結財務諸表が作成されることになります。
    また、グループ管理においてもメリットがあります。企業グループでは、グループ全体を通した経営計画/年度予算(Plan)をもとに、事業運営(Do)を行い、さらに期間ごとに各セクションの業績評価(Check)を行います。そして、その結果をもとに改善活動(Act)につなげるというPDCAサイクルを繰り返すことが必要です。
    例えば、親会社の決算日が3月末であり、子会社の決算日12月末よりも遅れているケースなどでは、グループ経営のPDCAサイクルのずれによる支障が生じる可能性があります。新年度のグループ経営方針が、グループ各社に早期に伝達されれば問題ありませんが、親会社の決算日(3月末)の直前になってしまう場合には、子会社における新年度の開始時点(1月)では、新経営方針が提示されていないケースなどがその一例です。
    決算期の統一によりPDCAサイクルのずれがなくなり、各セクションの業績評価についても面倒な調整を施す必要がなくなって、グループ経営管理が効率的になります。

2012年5月

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