2013年09月01日
「SDN」でネットワークをラクラク制御!
注目を集めるSDN
クラウドが企業に普及し始めています。クラウドサービスを提供するために各ベンダーは、物理マシン上に複数の仮想マシンを構築し、それぞれの仮想マシンをセキュリティや可用性を高めるために、別々のネットワークに接続したり、別の物理マシン上へ移動したりしています。そのため、利用者の増加と共に、マシン構成やネットワーク構成は、どんどん複雑さを増しています。
このような状況下で、ネットワークの運用や管理を容易にする考え方として、SDN(Software Defined Network)に注目が集まっています。SDNとは、物理的に構成されたネットワーク上で、ソフトウェアによる仮想ネットワークを構成する考え方を指し、以下の3つの構成要素から成り立ちます。
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SDNコントローラー
ネットワークの制御や管理の中心となるソフトウェア -
仮想スイッチ
仮想マシン同士が通信する際のスイッチ -
アプリケーション
SDNコントローラー上で動作し、「経路計算」や「ネットワークの論理分割」、「ネットワーク監視」などの機能を実現
図1.SDNと従来のネットワークとの比較
SDNを実現するための技術として「OpenFlow(注1)」があり、3つの構成要素の中で仮想スイッチの部分を担います。
注1 : ネットワーク機器の世界を一変させるかもしれない「OpenFlow」
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/243/
SDNによるネットワーク管理の特徴
SDNには、3つの大きな特徴があります。
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ネットワークの一元管理
物理的なネットワーク機器の設定が必要なくなるなど、ネットワーク管理の一元化により、ネットワーク全体の可視化が可能になります。 -
論理的なネットワーク構成
仮想的なネットワーク構成が可能になるため、ある特定の時間だけファイアーウォールの機能を有効とするといった細かい制御ポリシーを設定できます。また、制御ポリシーの作成・修正も即座に実行できます。 -
ソフトウェアによる機能追加
機能の追加をソフトウェアで行えますので、ネットワークのアクセスリストのような自社独自の機能を物理ネットワークの機能に依存することなく追加できます。
どのような場面で活用できる?
SDNは、ネットワークに課題があると感じている企業であれば、クラウドの利用の有無にかかわらずどの業界にでも活用できます。その実用例の一部をご紹介します。
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環境に依存しないネットワークの構築
ビルやフロアー、または組織といった、これまでネットワークを構築する上で影響を与えた環境や枠組みも、SDNならば仮想ネットワークとして実現が可能となり、物理ネットワークとしては柔軟かつ最低限の機器で構築することが可能となります。結果、構築・運用コストの削減を実現することが出来ます。
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データセンター
データセンターでは既に、サーバーやストレージの仮想化が進んでおり、ネットワークの仮想化を導入することで、即応性と柔軟性に富んだデータセンターを実現することが可能となります。また、SDNとオーケストレーター(ネットワークやサーバー、ストレージを管理・制御するクラウド制御基盤ソフトウェア)を連携させることで、データセンターを利用する企業に対して、容易にシステムの構成変更や設定ができる管理機能を提供することができます。(図2参照)
図2.データセンターでの実用例
SDN普及が駆け足で!?
ネットワークに関する課題を解決するSDNですが、現時点ではまだ新しい考え方・技術であるため、ベストプラクティスといったものは存在しておらず、本格的な普及には実績の蓄積と運用管理機能の充実が必要となります。
一方、国内企業の数社が、既に、自社のデータセンターでSDNを採用したり、お客様向けにSDNコントローラーやネットワーク仮想化ソフトといったソフト開発を表明したりしています。構築ノウハウの共有による急速な技術の立ち上がりが予想されますので、今後のSDNの動向が大いに注目されそうです。
2013年9月
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