これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2024年11月01日

運用を科学するAPM(Application Performance Management)
~APMの活用でIT運用の高度化を加速~

今回から数回に渡り特別版として、当社CTOによるコラムをお届けします!

APM(Application Performance Management)とは

運用を科学するAPM
APM(Application Performance Management)とは、アプリケーションのパフォーマンスを包括的に監視、管理、最適化するための仕組みです。一般的にシステム監視というとインフラの稼働状況を監視するものですが、APMでは、そのインフラ上で動くアプリケーションの動作に注目しています。システムやネットワークの構成要素の応答時間、可用性、リソース使用状況などをリアルタイムで監視し、エンドユーザー(アプリケーション)の視点から健全性やパフォーマンスを観測することにより、問題を早期に検出して対応することを目的としています。

1.APMが注目される背景

① 労働人口の減少による人手不足
先進各国では、高齢化、少子化により労働人口が急速に減少しています。中でも日本はそのペースが著しく、この先も労働力不足が進行し、「経営リスクの1つになる」とさえ言われています。
IT業界においても、要員が非常にタイトな状況が続くと予想され、これまで以上に「人に依存しないIT運用」が求められます。

② クラウドベスのシステムへのシフト
クラウド上のサービスを効果的に活用し、システム開発を行うクラウドネイティブ開発が進む一方で、オンプレミスの既存システムもたくさん残っています。これらが組み合わさった企業のITシステムは複雑さを増しており、運用負荷が高まる傾向にあります。

このような背景の中、「運用を科学する」技術が進化しつつあります。日本では、まだ馴染みが薄いですが、欧米では多くの企業で先行事例が見られます。その代表的なものがこの複雑なITシステムを監視し、問題を早期に検出するAPMです。まさに「これからはコレ!」の技術と言えるでしょう。

2.APMの概要

APMは、監視機能だけでなく、可観測性(オブザーバビリティ)という特徴も併せ持っており、複雑なIT環境で今何が起こっているかを見える化し、その原因特定を容易にしています。APMでは、①から④までの機能によりこれを実現しています。

① モニタリング
サーバー、アプリケーション、データベース等のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題を早期に検出する。
② 分析予測
過去のパフォーマンスデータを分析し、パターンや傾向を把握することで、将来の問題を予測し、予防策を立案する。
③ トラブルシューティング
パフォーマンスの低下や障害が発生した場合に、原因を特定し、解決策を提供する。
④ 自動化
パフォーマンスの問題が検出された場合に自動復旧を行うなど、自動的に対応策を実行する。

これらは、各システムの構成要素に組み込んだエージェントが情報を出力し、それらを集約したデータを統合的に分析することで実現可能になります。
最近では、これらの技術にさらにAIの要素を組み入れた製品・サービスも販売されています。

3. 期待されるAPMによるIT運用高度化の加速

これまではユーザーから「対象のアプリケーションのレスポンスが遅い」というクレームが入ってから調査を行うケースが多々ありましたが、可観測性を持つAPMを活用すれば、クレーム発生前に、IT環境の状況を察知し、迅速に対応することが可能になります。
APMの進化によりこれからのIT運用はさらに高度化・効率化され、各企業のIT運用における人手不足を解消し、よりユーザー満足度の高いサービスを提供することができるようになるでしょう。
 
コベルコシステムにおいても保守運用の高度化の取組みを実施してきており、これらの技術に取り組んでいきます。
(常務取締役 CTO CIO 林 高弘)

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