これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2013年06月01日

サーバー運用の概念を変える!
Infrastructure as Code

Infrastructure as Codeとは

IT業界においてインフラストラクチャーとはITシステムを構築するための設備やソフトウェアを整備した環境を指します。一般的にCPU、メモリー、ディスク、ネットワークといったコンピューター資源やOS、ミドルウェアなどで構成されます。
「Infrastructure as Code」とは、今まで手順書を元に手動で行ってきたインフラストラクチャーの構成管理を、スクリプトや外部ファイルに記述し自動的に行う仕組みのことです(図1)。ここで利用するスクリプトや外部ファイルは、アプリケーションのプログラム・コードのようにバージョン管理され、動的に変更が可能であり、さらにその変更は自動的にインフラストラクチャーの構成へと反映されます。

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図1.Infrastructure as Codeによるインフラストラクチャー構成管理

Infrastructure as Codeの具体例とメリット

仮想化技術の発展により、開発環境と本番環境は限りなく同じ状態にする事が可能になりました。これは、機器やドライバの差、手動で構築されることによるバージョンや設定の細かなずれといった点を意識する必要がなく、全く同じ構成の環境をコピーする事が出来るためです。
Infrastructure as Codeは、この仮想化技術によって利便性の増したITシステムの活用を更に推し進めるために有用です。たとえば、仮想環境に開発環境用と本番環境用に全く同じ数、同じ設定のコンピューターを構築する場合、次のようなメリットがあります。

メリット1:「手動設定によるミス」の回避

システムを構築した時には、二つの環境は全く同じものであるため、開発環境で稼働したプログラムは本番環境でも同じように稼働します。しかし時が経つにつれてOSやミドルウェアの構成変更などが開発、本番環境で相互に発生し、開発環境で動いたプログラムが本番環境では動かないといったことが生じてきます。正しく構成管理を行ってきたつもりでも、人手ではミスが発生し得るからです。
Infrastructure as Codeにおいては、インフラストラクチャーの構成は一元的に管理され、変更は自動的に反映されるので、いつでも全ての環境が同じ状態に保たれます。つまり、開発環境で動いたプログラムは、本番環境でも間違いなく正常に動きます。

メリット2:構成のバージョン管理

本番環境の要件で構成変更が即座に開発環境に反映できず、ずれが発生することがあります。
Infrastructure as Codeを用いた場合、変更内容は一元的に保管されているので、ずれは発生しません。また、新たに構成変更が生じた場合も、構成はバージョン管理されているため、本番環境への適用タイミングでバージョンを合わせることで、両環境を全く同じ状態にすることが可能です。

メリット3:リソースの有効活用

開発環境が不要な時期は開発環境をすべて削除し、必要になった時に改めて構築することができます。また、負荷テストなどのために専用の検証環境を構築する場合にも、簡単に本番環境と同じ状態を用意できます。このように、要望に柔軟に対応できるため、リソースの活用という側面から見ても有用です。

このように運用の負荷を削減しつつも柔軟にITシステムを構築できる仕組みとしてInfrastructure as Codeが注目を集めています。

ビジネス・ニーズの変化に柔軟に対応していくために

長らく企業におけるITシステムへの取り組みは、アプリケーション開発と運用保守の2つに分けられてきました。多くの場合、お互いが密接な関係にあるにもかかわらず、それぞれ開発、運用保守を効率化するためのプロセスや技術、ノウハウを独自に蓄積し、同じ企業の中でも別々の文化を築いてきました。
しかし、企業におけるITシステムの重要性が日に日に増し、ビジネス・ニーズに即応することが求められる昨今、アプリケーション開発部門と運用保守部門が密接に協力していく必要があります。開発部門で、常にソフトウェアをデリバリー可能な状態に維持する「継続的デリバリー(※)」において自動化が推進されているのと同じように、運用保守部門でもInfrastructure as Codeによる自動化を推進していくことが、相互理解の手助けとなるのではないでしょうか。

【※】サービスの開発と運用を一体化!ユーザーに素早く価値を届ける「DevOps」
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/279/

2013年6月

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