これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2011年08月01日

あらゆるモノがインターネットにつながる世界
モノのインターネット(Internet of Things)

モノのインターネット(Internet of Things)とは

インターネットの普及はますます進展しており、総務省の調査(※1)によると、平成22年(2010年)のインターネットの人口普及率は80%に迫っています。また、インターネットに接続される端末も、パソコンだけでなく、モバイル端末や、ゲーム機、TVなど、身の回りのさまざまなデバイスが利用されるようになってきました。

このような状況の中で、将来のインターネットとの関わりを予測するキーワードとして注目を集めているのが「モノのインターネット(Internet of Things)」です。モノのインターネットとは、世の中に存在するあらゆる(さまざまな)モノ(商品、物体、設備)がRFIDやセンサーを備えると共に、それらのモノがインターネットに接続されることにより、モノの個体情報を識別したり、そのモノが置かれた状況を把握したり、そのモノ自体を制御することができる仕組みや概念のことを指し示します。
すなわち、モノのインターネットの実現により、これまで認識できなかった、現実世界に存在する多数のモノの状況を、瞬時に識別することが可能になります。

※1 総務省:通信利用動向調査
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

モノのインターネットの仕組みを支える技術

モノのインターネットを支える技術にはさまざまなものがありますが、特に次の4つの技術が注目されています(図1)。

RFID、センサー技術

RFIDによりモノの個体を一意に識別可能になります。また、GPSなど位置情報システムを組み合わせることにより、地球上のどこにそのモノが存在するか、さらにどこへ移動したのかを特定することができます。
モノの状態を検知するセンサー技術については、多岐にわたっており、温度、湿度、傾き、揺れなどのさまざまな状態を定量的に検出することができます。

ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN: Wireless Sensor Network)の利用

ワイヤレスセンサーネットワークとは、複数のセンサーを無線でネットワーク化することにより、センサーが感知するさまざまな情報をダイナミックに把握し、そこから得られる情報を多様な用途に利用するシステムのことを指します。
この技術を応用することで、人の行動や、屋外/屋内の環境等を的確に把握することができ、その場のユーザーニーズに即した情報提示、サービス提供が行えます。

IPv6の利用

モノのインターネットの実現には、非常に多数のデバイスがインターネットに接続することになります。そのため、インターネットについては現在のIPv4よりもより圧倒的に多くデバイスを利用できるIPv6(※3)を利用して、実現されることが一般的になると考えられます。

データを集約し分析する技術

モノのインターネットを活用するためには、多数のデバイスから送信されるデータを集約する仕組みや、集約されたデータを分析して活用するソフトウェアが必要となります。データを集約する仕組みとして専用のネットワーク機器を配置することや、集約したデータを分析し活用するためにはビジネス・インテリジェンス(※4)のような技術が必要となります。

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図1.モノのインターネットを支える技術

※3 これからはコレ!:次世代IPアドレス!「IPv6」
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/7/
※4 これからはコレ!:ビジネス・インテリジェンス〜企業内の情報を“見える化”するために〜
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/31/

モノのインターネットの実用例と今後

モノのインターネットは、すでに一部の企業や自治体によって、実証実験や実践的な活用が始まっています。以下は、その実用例の一部です(図2)。

交通システムの最適化

車の混雑状態を検知し、街全体の渋滞の緩和を行う
車同士がお互いに通信し事故を防止

店頭や工場での在庫管理の高度化

商品在庫、配置のリアルタイム管理、不正検出

医療モニタリングシステム

各種生体センサーにより体調を管理、必要に応じた医者の診断実施
在宅ケア、遠隔医療などが可能

食材のトレーサビリティの実現

食材や素材を個別に管理、生産、加工、流通、販売までの履歴を収集
履歴情報を参照とした食の安全を提供するシステム

社会を変えるモノのインターネット
図2.社会を変えるモノのインターネット

このように、モノのインターネットの実現により、交通、店舗、製造、医療、食品などあらゆる場面において、無駄の排除や、全体最適による生産性や品質の向上の実現が期待されています。ただし、モノのインターネットの実現に関しては、セキュリティやプライバシーについてどのように解決するのかという課題も残っています(※5)。

※5 総務省:IPv6によるモノのインターネット社会ワーキンググループとりまとめ(案)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6_internet/20619_8.html

2011年8月

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