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2010年08月01日

次世代IPアドレス!
IPv6

移行背景

インターネットを利用する際には、ネットワーク上に存在するコンピュータや携帯電話などの機器をそれぞれ区別するために、IPアドレス(Internet Protocol Address)が必要となります。IPアドレスとは、ネットワーク上の住所のようなもので、個々の機器に割り当てられる一意な識別番号のことです。IPアドレスには、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの2種類が存在します。インターネット利用時には世界中で一意となるグローバルIPアドレスを、企業内や家庭内のLANなど限られたネットワーク内ではプライベートIPアドレスを使用します。LANからインターネットへ接続するには、複数のプライベートIPアドレスを1つのグローバルIPアドレスに変換して利用しています。
現時点では、IPv4(Internet Protocol Version 4)というバージョンのIPアドレスが広く利用されています。IPv4のグローバルIPアドレスは約43億個もありますが、世界の総人口である約67億の人々が1人1つのIPアドレスを使用する場合には、数が足りません。さらに、近年は先進国だけでなく、BRICs(Brazil:ブラジル、Russia:ロシア、India:インド、China:中国)を中心とした経済発展が著しい国々においてもコンピュータや携帯電話の普及が進み、インターネットを利用する人が急増しています。総務省の『IPv6(後述)に関する中間報告書』によると、世界中で使用されていないグローバルIPアドレスは残り4.4億個であると報告されています。このままインターネットの利用者が増え続けると、早ければ来年にもIPアドレスが不足するのではないかと予測されています。(図1.参照)
この「IPアドレス枯渇問題」と呼ばれる問題を解決するために登場したのが、IPv6(Internet Protocol Version 6)です。

図1.IPv4アドレス枯渇後
図1.IPv4アドレス枯渇後

IPv6とは

IPv6とは、IPv4を拡張したIPアドレスの新しいバージョンであり、約340兆の1兆倍の1兆倍のIPアドレスが利用できます。例えばこれは、世界中の人々1人1人にIPv4の総数である43億個のIPアドレスを割り当てたとしも、その使用量はIPv6の総数の1%にも満たないほど膨大な数です。(図2.を参照)
このIPv6を導入することのメリットとしては、次のようなものがあげられます。

 

  • IPアドレスの増加により、新規サービスの開拓が可能となる
  • 強化された暗号技術を用いたことで、セキュリティが確保される
  • 通信側と受信側が直接接続することにより、通信速度が向上する

 

図2.IPv4とIPv6の個数の比較
図2.IPv4とIPv6の個数の比較

IPv4からIPv6への移行に向けた取り組み

近年では、コンピュータや携帯電話だけでなく、ゲーム機やカーナビなどの機器を使用したインターネットの利用がますます進んでおり、さらに多くのIPアドレスが必要とされています。また、IPv6に対応したOSや周辺機器、応用ソフトウェアも増えてきています。それにも関わらず、IPv6の利用は本格的に進んでいません。その理由としては、個人や企業で使用している機器によっては、IPv6に対応した周辺機器やソフトウェアなどを新たに購入する必要があることや、ソフトウェアの新規・更新導入にかかるコストが増えること、またはIPv4とIPv6の双方を管理できる技術者が不足していることなどが考えられます。
そのため、ISP(Internet Service Provider)のようなIPアドレス管理指定事業者や総務省をはじめとする、様々な組織や企業がIPv4からIPv6への移行に向けた取り組みを進めています。具体的には、官民一体となったIPv6関連技術者育成の推進や、IPv4アドレス在庫枯渇対応に関する広報活動の展開などが行われています。また、BRICsの国々においては、IPアドレスの不足が深刻化しているため、積極的にIPv6への移行を進めており、実運用を始めている事例もあります。IPv4からIPv6へ移行する理由は、自由に使用できるIPアドレスを増やすためであったり、時代に乗り遅れないためであったり、その国や環境によって様々です。
いずれにしても、IPv4のIPアドレスは残り僅かであり、数年で枯渇するとも予測されているため、IPv6への移行を計画的に取り組む必要があるといえます。

 

2010年8月

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