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2016年09月01日

エッジコンピューティング
モノのインターネットの課題を解決する

IoTとその課題

クラウドコンピューティングの利用が当たり前となり、さらにセンサーやデバイスがより小さく、より安価に手に入る時代となったことを背景に、PCやスマートデバイスだけでなく、自動車や家電製品、ビルや工場内に設置された機器など、あらゆるモノがインターネットにつながり、お互いに情報をやり取りするようになるIoT(モノのインターネット:Internet of Things(※1))が実現しようとしています。

IoTでは、モノが生み出す膨大なデータを、インターネットを介してクラウド上で蓄積し、そのデータを解析することで新たな価値を生み出したり、解析した結果を再びモノにフィードバックすることで、モノを最適化することが可能になると言われています。このようにIoTの実現には、クラウドとそこへの経路となるインターネットが鍵となりますが、少し長い目で見ると、ここに懸念が生じてもいます。

例えば、Cisco社の調査(※2)において、2020年までにインターネットユーザーは10億人以上増え、インターネットに接続するデバイスは100億増加すると予測しています。インターネットに接続するデバイスの増加は、そのままデータ量の増加となり、クラウドでのデータ処理に遅延が発生し、リアルタイム性が損なわれる、といった課題が生じる可能性が指摘されています(図1)。

IoTとその課題
図1 IoTとその課題

そこで、このような課題に対する解決策の1つとして登場してきているのが「エッジコンピューティング」です。

※1 あらゆるモノがインターネットにつながる世界 モノのインターネット(Internet of Things)
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/227/
※2 出典:Cisco Visual Networking Index Complete Forecast Update, 2015-2020
https://apjc.thecisconetwork.com/site/content/lang/ja/id/5833

エッジコンピューティングとは

エッジコンピューティングのエッジは「端」を意味し、デバイスなどのモノとクラウドとの間の、よりモノに近い位置(ネットワークの端)にデータを処理する基盤を配置し、近隣で生み出されるデータをそれぞれエッジ側で分散処理した上で、処理結果をクラウドと連携させるという考え方を指します。すなわち、データの蓄積と処理をすべてクラウドに集約するのではなく、データが生み出される場所の近くの処理基盤に一部を任せることで、データの処理の遅延を極小化し、リアルタイム性を維持することを可能にします(図2)。

例えば、自動車などの移動物体が周りの状況を把握し対処する場合や、店舗や街角におけるカメラによる監視、AR(Augmented Reality:拡張現実)やゲームなど、今後データ量が増加したとしてもリアルタイム性が求められるものへの用途として期待されています。

エッジコンピューティング
図2 エッジコンピューティング

エッジコンピューティングの現状

IoTの実現と同様、エッジコンピューティングの実現にも様々な企業や団体の協力が必要です。現在はシステム構成や管理方式などの標準化や普及に向けた業界団体での取り組みが始まっている段階です。

現在はまだIoTを導入している企業も少なく、導入している企業でもモノからのデータはリアルタイムに見えていると思います。その為、IoTに今後訪れる課題や、その解決策であるエッジコンピューティングについては、まだまだ先の話のようにも聞こえます。しかし、昨今の技術の普及の早さを考えると、エッジコンピューティングを必要とする状況も早々に訪れると思われますので、ぜひご注目ください。


2016年9月

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