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2016年08月01日

ブロックチェーン
次世代の金融取引を担う技術

ブロックチェーンはBitcoinを始めとした仮想通貨に用いられている技術です。現在、ブロックチェーンを仮想通貨ではなく一般的な金融取引にも活用しようという動きがあります。実際に、各金融機関でもブロックチェーンの研究や実証実験が行われ始めています。

ブロックチェーンには様々な特徴がありますが、主な特徴は、以下のような形でデータを保存していることです。

  • 同一のデータを分散して保持・共有する
  • チェーンのように過去のデータの後に新たなデータを連ねて記録する

以下では、ブロックチェーンを用いた金融取引システムと既存のシステムとの違いを説明します。

既存の金融取引システム

既存の金融取引システムでは金融機関の特定のサーバーが台帳を管理しています。取引が行われる際には、特定のサーバーがデータを操作・管理します。一ヵ所にデータが集中しているため、台帳を管理するサーバーが停止してしまった場合には、システム自体が停止してしまいます。実際には、回避するための対策が行われていますが、大がかりなシステムや多額なコストが必要となっています。

既存の金融取引システム
図1 既存の金融取引システム

ブロックチェーンを用いた金融取引システム

ブロックチェーンを用いた金融取引では各地に分散したサーバーがそれぞれ同じ台帳を保持します。取引が行われる際には、各サーバーの台帳に取引履歴が記録・共有され、整合性のチェックが行われます。各台帳との整合性に矛盾がなければ、取引が完了となります。

ブロックチェーンを用いた金融取引システム
図2 ブロックチェーンを用いた金融取引システム

分散して台帳を持つことで、一台のサーバーが停止しても他のサーバーで取引履歴を保持しているため、引き続き取引が可能であり、停止時間が極めて少ないシステムを構築することができます。他にも、過去の取引履歴を連続して記録し、同一のデータを分散して保持しているため、口座の金額を勝手に変更する不正操作等、悪意のある攻撃に強くなります。分散された全てのデータを同じように、かつ矛盾の起きないように書き換えることは事実上不可能だからです。つまり、集中管理に必要な大型コンピューターは不要となるため、システム投資を大幅に抑えることができるようになるのです。

ブロックチェーンの今後

現在は主に金融取引システムでの活用が始まっているブロックチェーンですが、他の用途にも応用されています。データの履歴があり、改ざんが難しいという特徴を活かし、宝石などの高額な商品の認証や取引履歴の管理にブロックチェーンを活用しているケースもあります。今後は自動車など身近な製品の購入管理への導入も想定されており、工場の出荷時や販売店での購入時にブロックチェーンでデータを記録し、購入者の認証や取引履歴の管理ができるようになるでしょう。

また、IoTデータ活用においてもブロックチェーンの導入が考えられています。各デバイスで取得したデータはサーバーやクラウドに蓄積され、分析を行っていますが、ブロックチェーンを活用することで、デバイス間でデータを共有でき、一ヵ所にデータを集める必要がなくなります。将来的にデバイス自身がデータを分析するようになれば、分析結果からリアルタイムにアクションを起こすことも可能となります。

今後、ブロックチェーンがどんな場面で活用されるか、大いに注目されています。


2016年8月

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