2016年10月01日
APIエコノミー
他社が公開するサービスを活用したシステム構築
APIエコノミーとは
近年、会社のWebサイトに地図サービスの地図を埋め込むことが一般的になっています。以前は自社で地図の画像を作成していましたが、地図サービスの地図を使用することで、作成の負荷を軽減できユーザーにとっても使いやすいものを提供できます。このように他社のサービスを自社のシステムに組み込むための仕組みをWeb API (Application Programming Interface) と呼びます。単に用意された地図を組み込んで表示するだけでなく、プログラムでマーカーや線を表示するなどカスタマイズすることも可能です。他にも、複数のAPIを組み合わせて革新的なシステムを作ることもできます。
図1. APIを使ってWebサイトに地図を埋め込む
これまでAPIはWeb系の企業が提供することが多かったのですが、さまざまな業種でビジネスのコア機能をAPIとして公開し、他社や個人の開発者に利用してもらうという取り組みが広まりつつあります。業務提携したパートナー企業に公開するだけでなく、広く公にAPIを公開することで、予想もつかなかったような使われ方をされるようになるかもしれません。このようにAPIを公開・利用する経済圏をAPIエコノミーと呼び、大手IT調査会社でも今後拡大すると予測されています。この経済圏の中では、使いやすいAPIを公開していることがビジネス上の競争優位になるでしょう。
APIの利用側と提供側のメリット
APIを利用する側には次のメリットがあります。
- 他社のAPIを使用することで素早くシステムを構築できる
- 複数のAPIを組み合わせて新しい価値を生み出せる
APIを提供する側にも次のメリットがあります。
- 自社のAPIを使って開発者にアプリケーションを作ってもらうことで、マーケットシェアを広げたり、新しいイノベーションを生み出したりできる
- 便利なAPIを有償で公開することで収益を上げられる
APIエコノミーの適用例
APIエコノミーを活用してシステムを構築する例として、次のようなものがあります。
- 地図サイトが公開しているAPIを使って、自社のWebサイトに地図を表示する
- 機械学習に強みを持つベンダーが公開している画像認識APIを使って、農作物の仕分けシステムを開発する
- 銀行・クレジットカード会社などが公開しているAPIを使って、顧客の資産を管理できるサービスを構築する(図2)
図2. 金融機関が提供するAPIで資産管理サービスを構築する
今後もさまざまな業種の企業がAPIを公開していくと予想されており、APIの重要性は増していきます。例えば製造業であれば、サプライチェーンにおける受注・発注がAPIで行えるようになることが考えられます。発注側は工場の稼働状況や需要などのデータに基づいて、APIの機能を利用することで、自動的に最適な発注先に必要な量を発注することも可能になります。受注側もAPIを利用して各社の発注状況をリアルタイムで把握でき、生産量の調整が容易になります。このように便利に使えるAPIの公開・利用が進んでいく中で、APIエコノミーが存在感を強めていくことでしょう。
2016年10月
最新の記事
年別
ITの可能性が満載のメルマガを、お客様への想いと共にお届けします!
Kobelco Systems Letter を購読