これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2015年01月01日

困ったときは一緒に考えてくれる!
コグニティブ・コンピューティング

コグニティブ・コンピューティングとは

Cognitive(コグニティブ)は直訳すると、「認知」と訳される言葉です。「認知」とは、「対象物を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程」を意味します。つまり、コグニティブ・コンピューティングとはシステム自身がある事象について考え、自分なりの答えを導き出す仕組みのことを言います。さらには、その導き出した答えに対する評価を得ることで学習し、より正確な答えを導き出せるようになる仕組みも実現されています。

これまでのシステムが担っていた、人間に与えられた命令を処理するという枠組みを超えて、人間がシステムに問題提起し、システムに答えを教えてもらうことを可能にする技術として注目されています。

コグニティブ・コンピューティングの活用例

どういった場面でコグニティブ・コンピューティングが役に立つのでしょうか。図1に旅行を計画するときのコグニティブ・コンピューティングの活用例を示しています。ユーザーがシステムに対して、「アメリカへ旅行に行きたいのだが、旅行先でどこに行ったらいいのだろう」と問いかけると、システムは観光名所や食文化に関する大量の情報から判断して、ユーザーに旅行プランを提案します。

人間が考えるときと同じように、周囲の状況も考慮して取るべき行動を考えてくれるのです。コグニティブ・コンピューティングでは特に、人間だけでは判断が追いつかないような、身の回りの大量の情報から判断する必要がある場面で役立つと言われています。

図1:コグニティブ・コンピューティングの活用例
図1:コグニティブ・コンピューティングの活用例

コグニティブ・コンピューティングの仕組み

ここまでは、コグニティブ・コンピューティングを利用する側の視点で説明しました。ここからは、技術的な視点でコグニティブ・コンピューティングを実現する要素技術の一部を紹介します。

  • 傾向分析
    ソーシャルメディアの投稿などのユーザーに関する情報から、そのユーザーの性格や嗜好などを分析することができます。この分析結果を利用することで、ユーザーにとって、より有益できめ細やかなサービスを提供することが可能になります。
  • 自然言語認識
    従来のシステムに理解させることが難しかった日本語や英語などの自然言語をシステムに認識させることができます。大量の情報と照らし合わせることで文章構造を理解させ、これまで人間でしか行えなかった質問応対やメール対応といった業務もシステムが行うことを可能にします。
  • 意思決定支援
    ユーザーが意思決定を行う際に、システムが考えた結果をユーザーに示すことで、意思決定の手助けを行うことができます。ユーザーだけでは考えつかなかったアイデアをシステムから得ることを可能にします。

これらの技術は、システムに答えを導き出すための材料となる大量の情報を与えることで実現されます。その情報源にはWeb上にある情報だけでなく、TwitterやFacebookといったSNSや、インターネットに接続されたあらゆるセンサーデバイス(※1)から得られるデータを用いることができます。


※1:あらゆるモノがインターネットにつながる世界 ~「モノのインターネット(Internet of Things)」
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/227/

コグニティブ・コンピューティングの今後

今後、コグニティブ・コンピューティングを使ってシステムに個人のニーズを理解させるITシステムのニーズが高まると言われています。人間とシステムが知恵を出し合ってシステムを構築することで、これまでのシステムでは考えられなかった仕組みの構築が可能になるでしょう。
今すぐにこういったシステムをつくるのは難しいかもしれません。しかし、一部の企業ではコグニティブ・コンピューティングを利用したシステムがすでに採用されています。システムと人間が協力して考える時代もそう遠くないものとなっています。


2015年1月

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