2014年11月01日
空飛ぶ無人機がもたらす未来
ドローン
ドローンとは
SF映画では、バイクや車などの身近なものが空を飛ぶといった表現がなされますが、現実の世界でも日常生活において空を飛ぶ物体に遭遇する時代が近々やってくるかもしれません。…「ドローン」と呼ばれるものによって。
ドローンとは、無人の航空機全般を指します。元は軍事目的で利用されてきましたが、現在は小型化、低価格化により、一般での活用も進んでいます。
ドローンの大きさは、大きいものは実物の航空機サイズから、小さいものは手のひらサイズまで幅広いものとなります。形状は、一般的な飛行機やヘリコプターと同様のものもありますが、動作制御のしやすさや安定性の観点から、ヘリコプターの一種で、複数の回転翼のあるマルチコプタータイプが主流です。ドローンの操縦は主に、専用のコントローラや、スマートフォン、タブレット端末を利用します。さらにGPSを利用して飛行ルートを指定することで自動飛行が可能なものや、事前にターゲットを指定することで自動追尾できるものも存在します。
ここまで説明すると、「昔からあった飛行機やヘリコプターのラジコンとドローンは何が違うの?」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。ラジコンとドローンとの違いは、以下のような点に現れています。
- 技術の進歩により一定の範囲内で自動飛行が可能
- 飛行させることが目的ではなく、飛行させて何らかの役割をさせることが目的
では現在、一般にドローンはどのように活用されているのでしょうか。次の章では、ドローンがすでに活用されている面と、活用が検討されている面を紹介します。
ドローンの活用例
現在ドローンが活用されている分野には以下のものがあります。
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撮影
地球上には人の手で撮影することが非常に困難な場所がありますが、カメラを搭載したドローンはそれを補う形で活躍しています。上空からの撮影や、危険地帯の撮影、さらにはスノーボードやサーフィンといったスポーツの撮影など、幅広い分野でこれまで見たことないような映像が撮影されています。
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農業支援
農業分野では、種や農薬の散布作業や、日射、温湿度、CO2などの情報を取得可能なセンサーを取り付けたドローンによる生育状況の定期的な監視が行われています。
一方、今後の活用に向けて検討が進んでいる分野には以下のものがあります。
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宅配
現状は鉄道やトラックなどを利用した貨物輸送が主流ですが、この宅配作業をドローンが担うということが検討されています。
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通信インフラ
世界中のあらゆる場所でインターネットの利用を可能とするための取り組みの一つとして検討されているのが、ドローンを活用する方法です。旅客機が飛行する高度よりもさらに上空にインターネット接続環境を提供するドローンを飛ばし、地上からドローンを介してインターネットを利用するという構想です。
このようにさまざまな場面での活躍が期待されるドローンですが、実現に向けた大きな課題もあります。次の章では、それについて紹介します。
ドローン利用への壁
ドローンを一般利用するにあたって一番の障壁となるのは、法規制です。すでにドローンの利用に関しての制度化を進めている国や地域もありますが、利用そのものがグレーゾーンとなっているところがほとんどです。そもそも法が、生活圏におけるドローンの利用を想定しておらず、制度そのものがないためです。この点に関しては、今後さらに注目を集めることで、進展が期待されます。
また、数多くのドローンが空を飛ぶことを想定すると、一般道における信号機などの制御を行う「交通管制システム」や、航空機を円滑に飛行させるための「航空管制システム」のような管制システムの整備も必要となります。
これら以外にもプライバシーの問題や、故障時の危険性や責任の問題など、課題は山積していますが、どのような技術であれ、新たに登場し、それが一般で利用されるその過程においては、必ず議論され、利用に際してのルールが決められるというのが世の常とも言えます。いつの日か、SFのように、空飛ぶ物体が庭先にモノを運んでくる、そんな時代が来るかもしれません。
2014年11月
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