これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2012年02月01日

データをより効率的に利用するために
ストレージ自動階層化

ストレージ自動階層化とは

「ストレージ自動階層化」とは、「ストレージ階層化」における課題を自動化により解決した技術です。では、「ストレージ階層化」には、どんな課題があるのでしょうか?

「ストレージ階層化」とは、異なる性能のストレージ・デバイスを組み合わせ、利用頻度の高いデータを高速なデバイスへ、利用頻度の低いデータは安価で低速なデバイスに保存するという考え方です。
現在、主流のストレージ・デバイスとしては、高速なものから順に「SSD」、「SAS HDD」、「SATA HDD」などがあります。一般的に、高速になるほど、容量は小さくなり容量あたりの単価は高くなります(図1参照)。

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図1.主要なストレージ・デバイス

ストレージ階層化は割と古くから存在し、「ILM(※)」にも、情報の効果的な活用とストレージ投資の効率化を、ストレージ・デバイスの使い分けにより実現する考え方として取り入れられています。

ストレージ階層化は、コストパフォーマンスの高いストレージ環境を構築する上で非常に優れた考え方であるものの、実現するためには日々更新されていくデータの利用頻度の統計などを集計・精査し、データの再配置を行う必要があり、手動で行うには非常に手間が掛かります。
この課題を自動化により解決した技術が、今回のテーマである「ストレージ自動階層化」です。

  • ※ILM : Information Lifecycle Management (情報ライフサイクル管理)
    情報の生成から廃棄までの流れにおいて、その情報の重要度や利用目的・頻度などが時間と共に変化していくことを考慮に入れた上で、効率的に活用していくための方法論の集合体 ストレージ自動階層化の動作

ストレージ自動階層化の動作

「ストレージ自動階層化」は、メーカーから提供されるストレージ・システムやソフトウェアによって実現されます。細部はメーカーごとに異なりますが、基本的な考え方は以下のようなものになります。

例として、上記で挙げた3種類のストレージ・デバイス(SSD、SAS HDD、SATA HDD)を組み合わせた「ストレージ自動階層化」を実現します。
運用開始当初、全てのデータは一番低速なSATA HDD上に保存されます。運用されていくうちに、データは利用頻度に応じて、より高速なSSDやSAS HDDに自動的に振り分けられていきます。データの振り分けが進みSSDが一杯になった後は、SSD上の利用頻度が低いデータとSAS HDD上の利用頻度が高いデータの入れ替えを行うなど、利用頻度の高いデータが出来る限り高速なストレージ上に存在するように自動的に調整されます(図2参照)。

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図2.ストレージ自動階層化の動作【拡大図】

ストレージ自動階層化の利点

常に最高のデータアクセス速度を求めるのであれば、全てのデータの保管にSSDを採用することが理想ですが、相応の出費を覚悟することになります。しかし、一般的にデータアクセスの80%はストレージの20%に集中すると言われており、コストパフォーマンスの観点から見ると、上記の選択は過度の出費と言わざるを得ません。とはいえ、コストのみを考えてSAS HDDやSATA HDDのみを採用した場合、今度は十分なパフォーマンスが出ない可能性があります。
そこで「ストレージ自動階層化」の出番です。多くのデータアクセスが集中すると言われるストレージの20%に高速なSSDやSAS HDDを、残りの80%に低速ですが安価なSATA HDDを採用し、階層化の制御を自動化することでコストを抑えながらも最大限のパフォーマンスを実現することができます。
近年の調査によると、企業が取り扱うデータ量は年平均50~60%程度の割合で増加し続けていると言われています。爆発的に増加するデータを効率的に運用していく上で、高速でコストにも優れたストレージ環境の構築が可能な「ストレージ自動階層化」技術は、十分に検討する価値があります。

2012年2月

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