2012年04月01日
スマートフォンへの搭載で期待が高まる近距離無線通信
NFC(Near Field Communications)
NFCの最近の動向
現在の日本では、駅の券売機でわざわざ切符を買わなくても、プリペイド形式の非接触ICカードでタッチするだけで、改札を瞬時に通り抜けることができます。また、コンビニのレジの読み取り機におサイフケータイ(※)を「かざす」だけで、小銭を出すことなく簡単に決済が行えます。このように電子マネーやクレジットカード、乗車券などの非接触ICカードと、専用のリーダーとの間で情報のやり取りを実現する技術をNFC(近距離無線通信技術: Near Field Communications)と呼びます。
NFCの通信規格は国際標準化がすすめられ、日本国内やヨーロッパで普及している通信方式をサポートする規格ISO/IEC18092(NFCIP-1)や、複数の無線通信方式と互換性を持ち共存利用を可能にする国際規格ISO/IEC21481 (NFCIP-2)が定まっています。
このように便利な非接触ICカードも、通信規格以外では様々な規格が混在するため、これまで日本で普及している非接触ICカードは海外では使えず、逆もまた然りという状況でした。しかし、NFCに対応したAndroidなどのスマートフォンが全世界で発売されると共に、非接触ICカードの規格も相互で認証が行われるようになり、今後、世界規模での利用促進が見込まれています。
NFCの基本機能と利用例
NFCの基本機能は、電子マネー、クレジットカードで普及している非接触ICカードと互換性を保つ「カードエミュレーション機能」、近接した機器同士のデータ通信を可能とする「Peer to Peer 通信機能」、さらに外部のICタグの読み取り・書き込みを可能にする「リーダー・ライター機能」の3つがあります(表1.参照)。
機能 | 利用例 |
---|---|
カードエミュレーション機能 従来の非接触ICカードと同じ動作をします。 すでに国内で普及している、非接触ICカードのリーダー・ライターとの互換性があります。 |
レジでの電子マネー、クレジットカードの決済 |
Peer to Peer通信機能 NFC対応機器間で一対一の通信ができます。 |
NFC対応機器同士を近づけることで相手を認証し、データ交換を行う |
リーダー・ライター機能 外部のICタグや非接触ICカードへの読み込み・書き込みができます。 |
商品に張り付けたNFCタグを読み取り、その属性情報をスマートフォンで読み取る |
ますます便利に ~ NFC対応スマートフォンの応用可能性
NFCに対応したスマートフォンでは、決済機能に加え、下記のようなことが可能になります(図1.参照)。
- ICタグを利用した広告やポスターにスマートフォンをかざすだけで、その商品の関連情報や、イベント会場への地図、割引クーポンを入手できる(QRコードの読み取りのように、カメラアプリを起動する必要はありません)。
- レストランや店舗からのクーポンの受取だけでなく、ユーザー間でのクーポン受け渡しも可能(Wi-FiやBluetoothのように、機器間接続のための事前設定は必要ありません)。
-
NFC対応機器同士を近づけることで、名刺・写真・音楽を交換する(赤外線通信のように、機器の位置や角度を調整する必要はありません)。
図1.NFSの応用可能性
また、NFC対応スマートフォンでは、リモートからのロック機能や、データ消去の機能の搭載が必須となっているため、端末の紛失の心配をすることなく安心して利用することができます。さらに、ネットワークからNFCに対応したアプリケーションがいつでもインストールできるので、後から様々なサービスを追加することが可能になります。
今後、NFC対応のスマートフォンがますます普及するにつれて、海外でも様々なサービスを受けられるようになり、「海外旅行はケータイひとつで!」という時代が来るかもしれません。
※ 「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
※ QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
2012年4月
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