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2023年01月01日

ビジネスの成長に活かすオブザーバビリティ

オブザーバビリティとは

世の中でDXが叫ばれている中、ビジネス課題を解決するために業務のIT化が進んでいます。IT化のメリットがある一方で、DXを実現するためのシステムの構造やシステム間連携が複雑化してきています。そのため、システムの維持・運用が煩雑で管理しきれなかったり、障害箇所の特定に時間がかかったりしている問題があります。複雑化したシステムであっても素早く障害を検知し、原因を究明するためのオブザーバビリティが注目されています。

この“オブザーバビリティ(Observability)”とは「Observe(観察する)」と「ability(能力)」を組み合わせた造語であり、観察する能力という意味を持っています。オブザーバビリティはその意味が表わす通り、システムの状態(システムの内部)を把握できるようにするためのアプローチです。後述しますが、システム運用に関する内容だけでなくビジネスを成功させるために必要なアプローチにもなっています。

モニタリングとオブザーバビリティの違い

現在でも多くのシステムではモニタリングによってシステムの状態を把握し、必要に応じ検知してアラートをだしていることが多いようです。モニタリングで言うシステムの状態とは、システムが停止しているかどうか、設定したしきい値から外れていないか、外れていた際はアラートを出すという事後対応的な運用になっています。これは物理マシンや仮想マシンのようなインフラ基盤に注目した運用といえるでしょう。

オブザーバビリティでは上述した通り、インフラ基盤であるCPUやメモリなどに留まらずシステムが今どのように動作しているかを把握するものです(図1)。そして、得た情報をもとにシステムの改善に向けてアクションを起こすことができるようになります。

モニタリングとオブザーバビリティ
図1:モニタリングとオブザーバビリティ

オブザーバビリティの3つのシグナル

オブザーバビリティを実現するためにはログ、メトリクス、トレースが大切であり、これらをオブザーバビリティの3つのシグナルと呼んでいます(図2)。

3つのシグナルを利用し、システムの状況を常に観測し続けることでシステムの障害時間の短縮に繋がるアクションを起こすことができます。例えば、トレースを使い、ユーザーが特定の操作をした場合のエラー状況などを把握できるようになります。また、常にリソース状況を観測することで、今後必要になるリソースの使用予測や余剰リソースの削減にも繋げることができます。

オブザーバビリティの3つのシグナル
図2:オブザーバビリティの3つのシグナル

オブザーバビリティをビジネスの成長に繋げる

オブザーバビリティは単にシステム障害の早期対応や、システム改善だけをターゲットとせず、ビジネスを成功させるためにどのように取り入れるのかを考える必要があります。例えば3つのシグナルで取得する情報を分析し、ユーザー体験がどのように向上したか、それによってユーザー数は増加したかなどが挙げられます。他にも、障害が起こる前の兆候を検知して事前に対応することで障害発生を回避し、ビジネスの機会損失を抑えることができるでしょう。

最後に

オブザーバビリティによって、ITシステムの運用効率化だけではなく、ビジネスインパクトを抑える効果があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
DXを進める中で、単にモニタリングだけではなくオブザーバビリティを取り入れ、ビジネスの成長に役立てるのがよいでしょう。

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