これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2021年09月01日

IoTからIoB(Internet of Behavior/Bodies)の時代へ

はじめに

最近、身近でIoT(Internet of Things)の活用シーンを見かけることが多くなってきました。IoTとは、「モノのインターネット」と言われており、「モノ」をインターネットに接続する技術のことです。我々の生活に欠かすことのできない技術になりつつあるIoTですが、近年ではIoTからさらに発展した技術が出てきています。それが「IoB」です。米国のIT調査会社ガートナー社が「2021年の戦略的テクノロジートレンド」の1つにこのワードを選出するなど、注目を浴びている技術です。

IoBとは

IoB(Internet of Behavior/Bodies)は、人の行動をデジタルで追跡する技術を指す言葉です。IoTはモノとインターネットを繋ぐのに対し、IoBでは人の身体や行動をインターネットに繋ぐものです。IoBは2017年頃から使われるようになり、近年また注目を浴びています。
IoTは、スマートフォンからの照明操作や、バスなど交通機関のリアルタイムの運行状況把握などモノの操作やモノの状態検知ができる技術です。一方、IoBではスマートウォッチで身体の状態の測定や、位置情報の把握、顔認証といった、モノではなく人の身体や行動にまつわるデータを取得し活用することができる技術です。

IoTとIoBの違い図1:IoTとIoBの違い
(クリックして拡大できます) 

IoBのフェーズと課題

Internet of Bodiesは、人間の身体をインターネットに接続する技術と言われており、ノースイースタン大学のアンドレア・マトウィーシン教授がIoBの3つのフェーズについて述べています。(図2参照)
第1フェーズ「定量化」と第2フェーズ「体内化」については、スマートウォッチやペースメーカーなど既に実現されているフェーズです。第3フェーズ「ウェットウェア」については、脳に直接デバイスを繋げるフェーズで、現時点ではまだ研究段階にあります。主に、ヘルスケア領域において更なる活用が期待されていますが、一方IoBデバイスに蓄積された情報がサイバーテロによって漏洩してしまう可能性や、国によって異なる文化的・倫理的な価値観についての問題も指摘されています。

IoBの3つのフェーズ図2:IoBの3つのフェーズ
(クリックして拡大できます) 

今後のIoB

IoBという言葉が使われ始めた頃はInternet of Bodiesとして、ウェアラブル端末などを介したデジタルヘルステック領域のキーワードとして認識されていましたが、昨年ガートナーが開催した「Gartner IT Symposium/Xpo 2020」では “Internet of Behavior” として紹介されています。同社によると、Internet of Behaviorは顔認証、位置情報の追跡、ビッグ・データといった、個人に絞った技術を組み合わせ、結果として生じたデータを関連する人の振る舞いに結び付けるものとしています。
ガートナーは、2021年から2022年にかけこの技術が飛躍的に成長するとしています。もともと2020年のレポートでは2023年までに世界人口の40%の個々の活動がデジタルで追跡されると予測していましたが、今年2021年のレポートでは2025年末までには世界の約半数の人々がIoBの対象になると述べています。しかし、一方で前述したようなセキュリティや人体への影響という安全性の課題もあります。今後、さらにIoBが浸透するためには、まずユーザーが安全に利用できる環境を整えることが最優先でしょう。

2021年9月

ITの可能性が満載のメルマガを、お客様への想いと共にお届けします!

Kobelco Systems Letter を購読