これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2017年05月01日

サーバーのカスタマイズはお手の物?!
~構成管理ツール~

Infrastructure as Codeとは

今までこのコラムで、何度かInfrastructure as Codeというキーワードが登場しました。Infrastructure as Codeとは、インフラ(ITシステムを構築するための設備やソフトウェアを整備した環境)の設定を、手動ではなくプログラムを使って設定する仕組みのことです。仮想化技術やクラウド技術が当たり前のように利用されるようになった今日では、大規模なインフラを効率よく管理するために、構築や運用を自動化するニーズが強くなってきています。本コラムでは、ヒューマンエラーの発生や、システム管理者の高負荷作業の問題を解決できるようになるInfrastructure as Codeを実現する便利なツールをご紹介します。

(参考)
サーバー運用の概念を変える!Infrastructure as Code(2013年6月)
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/292/

構成管理ツールとは

Infrastructure as Codeを実現するツールの一つに構成管理ツールがあります。構成管理ツールとは、ユーザーの追加やソフトウェアの設定、ネットワークの設定などの、サーバーの構成に関する設定を変更できるツールです。通常、サーバーにOSを導入しただけで使用することはありません。ソフトウェアの導入や追加の設定などを行い、目的に合わせてサーバーを構築します。これらの作業を、手動ではなく構成管理ツールで行うことで、Infrastructure as Codeのメリットである、自動化の実現やヒューマンエラーの軽減を享受できます。さらに、対象となるサーバーはクラウドや物理・仮想などの場所を問わないため、一度構成管理ツールで作成したプログラムを使い回すこともできます(図1)。

プログラムの使い回し
図1.プログラムの使い回しが可能

構成管理ツールの冪等性(べきとうせい)とメリット

聞きなれない言葉ですが、「冪等性」とは同じ操作を何度実行しても同じ結果が得られるということです。構成管理は冪等性を担保していることが特徴です。

「神戸太郎」という名前のユーザーを追加するプログラムを実行した場合を考えてみます。例えばプログラムにユーザー追加以外の変更が必要になり、このプログラムを再度実行する必要が発生しても、追加されるユーザーは初回の「神戸太郎」のみで、プログラムの実行時にユーザーが追加できない、「神戸太郎」が2名追加される、といったエラーが発生することはありません。これは、構成管理ツールが「神戸太郎」のデータを確認し、データが存在しない場合のみユーザーを追加するプログラムを実行するためです。他にも、特定のファイルに文字を追加するプログラムを実行したとしても、該当する文字がすでに追加されていれば、必要以上に追加されることはありません。

一からユーザーを追加するプログラムや、ファイルを修正するプログラムを作成する場合、目的の処理の前にユーザー有無の確認や、ファイル存在の有無、すでに文字が入力されていないかどうか、という様々な判定作業が必要になります。このプログラム作成自体にも時間がかかりますし、複数回実行してもエラーにならないよう、冪等性を担保するようにプログラムを作成しなければなりません。

しかし構成管理ツールを利用すると、判定機能が付いており、冪等性も担保されていますので、サーバー構築を行っているシステム管理者は負荷が飛躍的に軽くなる上、ヒューマンエラーからも解放されます。 (図2)。

構成管理ツールの冪等性
図2.冪等性が担保される場合(左)と担保されていない場合

最後に

仮想化技術やクラウド技術の発展で、サーバーが早く、かつ容易に利用できるようになりました。これは、物理機器を用意する必要がないためです。このことから、システム管理者一人あたりが担当するサーバー台数が増加する傾向があります。構成管理ツールを利用すれば、サーバー台数が増加したとしても、システム管理者の作業負荷を抑えることができます。そして、サーバーを利用する企業にとっては、柔軟で高品質なサーバー構築と、人件費の削減や構築・運用の時間短縮を両立できるなど、多くのメリットを享受できます。

今後も自動化のニーズはますます強くなると予想されます。構成管理ツールを使ったサーバー構築を進めることで、ITトレンドである自動化の波に乗って行きましょう。

2017年5月

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