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2017年02月01日

LPWA
あと一歩届かないところにもネットワークを

多様化するネットワークのニーズ

IoT(Internet of Things)の普及に伴い、モノ(デバイス)とデータのやり取りを行うためのネットワークに対する関心が高まっています。IoTでは多数のデバイスを無線でネットワークに接続します。この無線通信にはスマートフォンでよく使われる3GやLTEといったモバイルネットワーク、Wi-Fi、Bluetoothが使われます。これらのネットワークは数十Mbps~数百Mbpsの高速な通信が可能です。

しかし、これらの通信方法は消費電力が大きいため、バッテリーから電源を供給されるデバイスでは駆動時間が短くなることがあります(※1)。さらに、BluetoothやWi-Fiの通信距離は数メートル~約100メートルとなっており、1つのアクセスポイントでは広いエリアに配置されたデバイスをカバーすることができません。3GやLTEを使用した場合でも、山奥などの基地局から遠い場所では電波が届かないことがあります。

そこで、消費電力が少なく通信距離が長い無線通信技術のニーズが高まっており、そのひとつとしてLPWAが注目されています。

各通信方法における通信距離のイメージ
図1.各通信方法における通信距離のイメージ

※1 Bluetoothには低速な代わりに消費電力の小さい規格もあります

LPWAとは

LPWA(Low Power Wide Area)とは、低消費電力で広いエリアをカバーする無線通信技術の分類です。LPWAでは、1つの基地局で数キロメートルのエリアをカバーすることができます。バッテリー駆動のデバイスや、電波が届きにくい場所にあるデバイスでも使用できるため、IoTの利用シーンをさらに広げることができます。例えば、充電などのメンテナンスが頻繁にできないセンサーの通信に消費電力が少ないLPWAを使うことで、バッテリーを長持ちさせることができ、センサーを設置してから何年もメンテナンスが不要になります。

しかし、消費電力や通信距離においてメリットがある一方、通信速度には制約があります。LPWAにおける通信速度は規格により異なりますが、数百bps~数百Kbpsのとても低速な通信となっています。(LTEは数十Mbps~約百Mbps)このような制約はありますが、IoTでは小さなデータを断続的に送受信することが多いため、通信速度の影響をあまり受けません。LPWAにはNB-IoTやLoRaWANなどの規格があります。NB-IoTは国内の携帯電話事業者が実用化に向けた実証実験を進めています。LoRaWANなどの規格では設置や使用にあたって免許が不要な周波数を使用しており、基地局となる機器も安価であるため、誰でも気軽にネットワークを構築することができます。

LPWAのイメージ
図2.LPWAのイメージ

LPWAの今後

LPWAを使うことで、今までは電波が届かないところにあったデバイスをネットワークに接続できるようになります。ただし、LPWAの規格は現時点で多く存在しており、標準となるものがまだ定まっていません。携帯電話の通信回線を提供するキャリアの動向や、各規格の発展に注目しつつ、IoTにおける通信技術を選定していく必要があります。

3GやLTEではあと一歩届かなかった環境がネットワークに繋がることで、IoTの世界がさらに広がっていくでしょう。


2017年2月

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